蒸留酒への誘い① 〜お酒好きの下戸に向く酒とは
先日書いた「なんてけったいな名前! に込めた意味」を、嬉しいことにshimookakoshiro様こと下岡様が素敵な紹介記事として掲載してくださった。下岡様はリアル研究所のすぐ近くでお宿を経営されている方である。下記にリンクを貼っておく。
その記事の中で下岡様は
洋酒やウイスキーに関して、全く無知です。そもそも、お酒は好きですが 下戸なのです。
とおっしゃられている。
実は「お酒好きの下戸」さんこそ、ウイスキーなどの蒸留酒と相性が良いのだ。
今回はそれをお題にしてみようと思う。
(※ここでいう「下戸」とはアルコールに弱い人という意味である。アルコールが全く体に合わない人やアルコールにアレルギーのある人には飲酒は向かないし、絶対におすすめしない。)
蒸留酒とは何ぞや?
そのためにはお酒の分類を書かねばならない。極簡単にさらっと触れておく。それ以上知りたい方はどうぞ思う存分ググって欲しい。
お酒は製造方法によって「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つに分類される。
醸造酒
果実や穀物を原料に、そのままもしくは糖化させたあと、酵母によって発酵させアルコールを得たもの。原料が大麦なら「ビール」、ブドウなら「ワイン」、白米なら「日本酒」である。菌がアルコールを作るため、アルコール度数は5~20度程度までしか高くならない。製造工程上不純物が混ざりやすく、複雑な香りや風味が生じやすい。
蒸留酒
醸造酒を加熱して蒸発(蒸留という)させ、アルコールを摘出したもの。ホップなしのビールを蒸留した「ウイスキー」、ワインを蒸留した「ブランデー」、日本酒を蒸留した「米焼酎」などがある。アルコールが凝縮されるためアルコール度数は40〜70度ほどに高くなる。蒸留工程で余分な水分や不純物・糖質を取り除けるため、純粋な香りや風味で、二日酔いしにくく糖質も低くなる。
混成酒
醸造酒や蒸留酒にハーブや果実、香辛料や糖分などを加えたもの。梅酒、リキュール、ベルモット、みりんなどがある。アルコール度数は約5〜70度まで幅がある。
確かに蒸留酒が純粋な香りや風味で飲みやすいことや、二日酔いしにくいから下戸にも優しいことはわかる。でもアルコール度数が高い段階で下戸には無理だよ、と思うかもしれない。でも実際にはウイスキーラヴァーズさんにはアルコールに弱い方が多い。同居人で当研究所の主任研究員であるマリオもこのタイプ、ウイスキー好きだがアルコールはからっきし弱い。
一般に「蒸留酒をストレートで飲む」というと「お酒が強い」と認識される。この認識が本当は間違っているのだ。ではどうしてストレートで飲む=アルコールに強いと思われているのか?ずっと不思議に思っていた。
今までたくさんの方々と一緒に飲んできて、あるとき気づいたのだが、蒸留酒をお酒に強い人の飲み物だと思っている人は、たいてい飲み方を間違っている。アルコールに強い・弱いは関係ない。むしろどちらかというとアルコールに強い人ほどこの傾向があるかもしれない。
蒸留酒をストレートで出された時、グイッと飲んでゲホゲホむせて、「あー、ちょっときついわ、無理!」って反応する人が多すぎ。「ワインやビールやハイボールはいけるんだけどね。」って言い訳する。それらは初めからグイっと飲める濃度に作ってあるのだ。そんなものとストレートを同じ飲み方しちゃいかん。ストレートをグイッと飲むのは、誰でも無理に決まってる!
蒸留酒は、飲み方さえ間違わなければ下戸でも味を楽しめる。むしろ下戸の方が味のいろいろな要素を大切に噛み締めることが上手なのだ。ビールやワインやハイボールをガンガン飲むのは絶対無理だ。そこはアルコールに強い呑兵衛さんに任せよう。下戸さんこそ本当は、蒸留酒というめくるめく味覚の楽園の一番近くに立っているのだ。
じゃ、実際にどういう風に飲めばいいの?
少し長くなりそうなので、続きは次回に。
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