100年先にも残る石工の仕事 株式会社芳村石材店(石職人)
京都にはたくさんの寺社仏閣があります。長い歴史の中で受け継がれてきた社寺建築で、なくてはならないのが石材です。多くの木造建築の基礎は石材が支えています。その基礎部分や、石材で鳥居や仏像を修復したり、新たに作る「石工」(いしく)という職業をご存知ですか?
江戸時代に創業された「株式会社芳村石材店(以下、芳村石材店)」では、ベテランの石工と共に仕事を行う若い職人さんがいらっしゃいます。
(石工の惠上さん。この職人の世界ではかなり若手とのこと。)
大学時代、神学を学ばれていた惠上さん。日本やヨーロッパの伝統建築に興味をもち、そこから石工の世界を志すようになったそう。
他の伝統工芸や伝統産業の世界にもよくありますが、技術が必要な職業であるためなかなか未経験の方を募集されるところがありません。
惠上さんが就活生だったころ、未経験でも働けるところを探していた時に出会ったのが芳村石材店でした。江戸時代から代々続く芳村石材店では、清水寺や仁和寺など、京都の名だたる社寺仏閣の社寺建築をはじめ、一般建築や公共事業など幅広く石工事を担っています。
「職人の高齢化が進み、石工の技術を残していくために弊社では若手の職人も募集しています」と広報を務める山田さん。
何も知らない中で飛び込んだ石工の世界。はじめは大変なこともたくさんあったと語ってくださりました。
「毎日が知らないことだらけ。6人いらっしゃる職人さんは、それぞれ仕事のやり方を確立されているので人によってやり方が違ったり。僕が入った頃はバブル景気も弾け、かつてのように本番でたくさん練習ができる環境ではなかったので、端材を持ち帰って練習したりしていました」
(芳村石材店では、長岡天満宮の大鳥居 復旧工事を担当。笠石の細部を調整しているところです)
「簡単にはできないからこそ楽しかった」とも。先輩の職人さんの仕事を見て学び、自分でもやってみる。うまくいかないことも多いけれど、少しずつできることが増えていったそうです。
一つひとつできることが増え、今では石材施工を任されるように。京都はもちろん、日本各地でお仕事をされることもあります。
技術は努力の積み重ねなのだと感じました。
職人としてのキャリアは「手元」と呼ばれる石工のアシスタントから始まります。モルタルを練ったり、石を運んだり。体力の必要なお仕事なので、手元時代にしっかり経験を積み、技術はもちろん、体力をつけることが大切です。
「仕事を始めて2、3年ですぐに結果を得ようとしないこと。続けないとわからないことの方が多いです。8年目になりますが、10年続けてやっとわかることがあるのかなと思います」
職人の仕事はすぐに技術が習得できるものではありません。ですが、社寺建築や数寄屋や町屋をはじめ、公園や商店街などの公共工事など、自分が携わった仕事が、今後何十年、何百年と残っていくため、とてもやりがいがあるとお話してくださりました。
(先輩の職人さんと作業中。)
「未来の知らない方にも、自分の作ったものが見てもらえる」そう思うと、とても夢のある仕事ですよね。
そして、じっくり時間をかけて技術を積み重ねていくからこそ、その後何十年もお仕事を続けることができるのだなと思います。
一緒にお仕事をされている最年長の職人さんは、なんと75歳なのだとか!まだまだ現役で働かれているので、自分も頑張らなくてはと身の引き締まる思いになるそう。
まさに「手に職をつける」がしっくりきます。
最高75歳、そして50代の職人が多いこの業界で未来に技術を残すべく、若手の職人さんを募集されています。未経験でも大丈夫!
惠上さんがこのお仕事を始められたときの経験を活かして、年上の後輩の方が入ってこられた時にはいきなり作業を始めさせるのではなく、一通り作業の説明をしたり惠上さんが実際にやって見せてから作業を始めさせていたそう。今後新たに入社された場合も同じように、教えていただきながら働くことができます。
(こんな大きなトラックも、入社後に運転できるようになります)
また、大型トラックやクレーン、フォークリフト、玉掛けの免許など、仕事に必要な資格関係は会社の補助を受けながら入社後に取ることができます。
職場見学やインターンシップも行われているので、現場を知ってから入社することも可能です。
京都には様々な文化財が残されており、文化財関係の現場では、一般の方が入れない場所でのお仕事をされることもあるそう。脈々と受け継がれてきた京都の伝統や文化を肌に感じることができるのも、このお仕事ならでは。
日本の伝統文化、社寺仏閣の建築などに興味のある方、ぜひご応募してみてはいかがでしょう?
100年先にも残る、石工としての仕事に興味をもたれた方はこちらのフォームより当センターまでお問合せください。
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