この1ヶ月間、新入生は合格発表や入学式を経て、
4月8日から本格的に京都大学での学びがスタートしました。
これを機に京都大学学術出版会より、京大の6人の先生に、学部学生を対象に、学生時代に読んでおくべきと思う本、最近読んで(読み直して)学生にすすめたいと思った本などを教えていただきました。専門にこだわらず、新旧をとわず、広く「読書」という視点から、先生の推し本を紹介させていただきます。
⚪︎推しメッセージ:
京都大学理学部の元教授であり、世界的に著名な研究者である著者が、量子力学の歴史と現在を解説する。しかしながら数式は少なく(本当は数式が多い方が説明しやすい)、初学者には「物語」として十分楽しめ、量子力学の魅力が余すところなく描かれている。
⚪︎推しメッセージ:
本書は近代世界の環境史を、単なる環境破壊の歴史でも構築主義的な枠組みによる環境言説の歴史でもなく、農林業の営みと「身体史=疾病史」を軸に「環境の比較史」として描いた環境史の古典ともいえる大著である。原著はドイツ語で、数カ国語に訳出されている。
⚪︎推しメッセージ:
歴史学は「お金にならない学問」あるいは「暗記科目」でしょうか?フェイクと真実との区別がつきにくくなった今の時代こそ、歴史を学ぶことが平和で公正な社会をつくるために大切であるということを、本書はさまざまな事例で教えてくれます。
⚪︎推しメッセージ:
「ギリシア神話」をもっとも多く現代に伝えるテキスト。オウィディウスは古代ローマの詩人です。『変身物語』のなかにはおよそ250編の大小さまざまな変身にまつわる神話が含まれていますが、その色彩豊かな描写は後代の文学や美術に強く影響を与えました。
⚪︎推しメッセージ:
『想像の共同体』であまりにも著名な地域研究、比較政治学の巨人アンダーソンの自伝。もともと「日本の若い研究者のために」書き下ろしたものを盟友加藤剛氏が翻訳したもの。自らの生と学問の軌跡をたどりつつ学知や制度の枠組から外へ出よと知的冒険へ誘う。
⚪︎推しメッセージ:
京大の化学は世界トップレベルで、福井謙一先生、野依良治先生、吉野彰先生というノーベル化学賞受賞者が生まれています。本書を読んで、このような「京都学派」がどのように生まれ、育まれてきたかを知り、将来の化学者への夢を描いてください。
-
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
新入生の皆さんが、これからたくさんの良い本に出会えますように。