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20日目

3日ほど更新をお休みし、
オンライン帰省したり、掃除したりとゴールデンウィークらしい休日を過ごしてました。

一昨日は〈関西劇場応援Tシャツ販売〉の報告を、参加館みんなで行いました。ようやく、まとめてご報告できてホッとしております。

当初は500枚も売れたらいい方かなあと思っていたので、26倍以上の注文数になったのには本当に驚きました…。
Tシャツ屋さんも、日々増えていく発注数に最初は「大丈夫っすよ〜」とか言っていただいてたのですが、5,000枚を超えたあたりくらいから雲行きが怪しくなり、最終的にはみんなで目を丸くしました。

という事で、今日はこのTシャツができるまでについて書いてみようと思います。

***

時は2013年頃に戻ります。
実は、その時からTシャツの構想が…
ある筈もなく、まずは関西映画館同士の繋がりについて。

みなみ会館は、2013年の7月に現在でも使用しているDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)用のプロジェクターに交換しています。

それまでのデジタル上映素材は、基本的にブルーレイで上映していましたが、シネコンのDCP化が完了し、この流れがミニシアターについに迫ってきた訳ですね。DCPの作品というのはざっくりと言うと、映画のデータが入ったハードディスクが届き、データをプロジェクターに繋いだサーバーに取り込んで上映をする、という仕組みです。

前任の館長の頃から、この問題に取り組んではいたのですが、当初はDCP化する為には1,000万円以上の費用が必要であるとされてました。

「プロジェクターを買い替えないと映画が上映できなくなるんですね、
はいわかりました。」とは絶対に言えない金額です…。
それは、他の多くの劇場さんたちも同様。

ミニシアター業界では毎年、全国の劇場支配人や上映活動に携わる人たちが集まって、【全国コミュニティシネマ会議】というのを開催しているのですが、当時の話題はこのDCP化の事でもちきりでした。
私も館長になってからは、できる限り毎年参加するようにしていますが、
この当時は、コミュニティシネマ会議とはまた別枠でも、映画館支配人たちが集まって勉強会を開いたりしてました。

色々あって、当時1,000万円かかると言われていたDCP機材は、半額以下の小型プロジェクターが出てきたり、複数館で同時に買うからちょっとお安くしてよ!ね?みたいな交渉の末に、みなみ会館もなんとかDCP化の波を乗り越える事ができました。

あと毎年1月には〈関西映画人賀詞交歓会〉というものもあり、そういった場所やコミュニティシネマ会議、勉強会などでどんどん他劇場の方々と交流できるようになっていきました。
その流れの中で、主に関西の他劇場の方達と色々と相談し合うようになり、一緒に企画をするような事も増えていった訳です。

え〜がな500(※期間限定、学生さん500円観賞サービス)や、次世代映画ショーケース】なんかを開催できるようになったのも、元を辿ればDCP問題があったからなのかもしれません。

また、関西は女性の支配人が多いとか、支配人同士仲がいいよね、とかで様々な場所で取り上げて頂いたり、支配人同士の対談をイベントにして頂いた事もありました。

ただ、昨年8月に当館がリニューアルオープンした後は、新しい劇場のスタイルになかなか慣れず、1つから3つに増えたスクリーンの番組編成にテンテコ舞いになっていて、なかなか他劇場のみなさんと連絡を取り合ったりできない日々が続きました。
自分の館の事でいっぱいいっぱいで、それぞれの動きについていけてなかったし、みんなどうしてるかな、とは思いつつも以前のように頻繁に会う事も無くなっていました。

そんな最中のコロナ騒動勃発。

3月の末頃に、シネ・ヌーヴォの山崎支配人から、
元町映画館の林支配人と私に、
「こんな時期やけど、ニューヨークを拠点とした「Another Gaze」っていうWEBサイトがあって、そこから、関西の女性支配人にインタビューしたいっていうオファーが来ている」と連絡がありました。

ということで、電車を乗り継いで大阪の西九条まで行ったのが3月30日。
めちゃくちゃ久しぶりに、山崎さんと林さんの顔を見た気がしました。

インタビューの中では、「ニューヨークでは、映画館のスタッフを助けるクラウドファンディングが立ち上がっている」という話も。

山崎さんが入れてくれた温かい紅茶とお菓子を食べながらのスカイプインタビュー。
毎日すごく不安で、どうしたらいいかわからない日々を過ごしていたのですが、この時は二人の顔を見てなんだかホッと安心感に包まれていました。

インタビューの後は、「ずっとこうやって、お茶飲んでトイレ行って、お茶飲んでお菓子食べてってしてたいね」なんて事を話ながら、
今後の事や、今の不安について軽く情報を共有した後、すぐにそれぞれの劇場に戻りました。

この頃は、ライブハウスや音楽方面を支援するという動きが活発な時期で、【SUPPORT YOUR LOCAL LIVEHOUSE】というロゴが入ったTシャツが販売されている事をSNSで見かけた時に、
これ、映画館に置き換えて販売したらどうなるかな…とは思うものの、
思うだけで留めてしまっていました。

あの日、二人に会ってなかったら、「関西映画館Tシャツを作る」という行動は起こせなかったかもしれません。

その夜からは、山崎さん林さんと「どこが閉めるらしい」とか、「レイトショーやめようと思う」などの情報を、かなり頻繁に共有し合うようになりました。

そして4月3日の昼頃、ようやく意を決してTシャツの件を切り出してみた訳です。
すぐにお二人からは「いいね」というお返事を頂き、夕方にはTシャツ表面のデザイン案を投げていました。

画像1

最初はスクリーンに文字は無かったのです。

すると、2人からスクリーンに何か文字を入れてもいいんじゃない?と、ロゴについてのご提案が。

【案1】save your local cinema
【案2】love local cinema
ロゴを字幕みたいに、下の方に小さく入れたバージョンも作りました。

あ

最終的に、山崎さんの知り合いの方にネイティブチェックとご意見を頂き、【Save our local cinemas】となったのです。

最初に出したTシャツ画像では、「cinema」が「cinea」になっていて、
大事な大事な「m」が抜けているんです。
上記画像は全部、幻のcineaバージョン。

この日の18時頃、Tシャツのデザインがほぼほぼ出来上がった裏で、
昼頃に投げた箇条書き提案メールを、山崎さんと林さんが文章化してくれていました。

そして20時頃には、参加を募るメールを各劇場に送信してくれているという超絶スピード行動力。
翌日には、賛同者&映画人からのコメント集めの連絡を各方面に取ってくれていました。

私が販売サイト立ち上げと、Tシャツデザインの仕上げをやっている間に、
山崎さんと林さんが参加館を集めてくれて、賛同者とコメントをめちゃくちゃいっぱい集めてくれて、プレスリリースまで投げてくれているという状況です。こんなに頼もしい人たちを、わたし他に知らないよ!
という程の行動力…!

私はというと、販売先のBASEサイトがHTMLじゃないと編集ができない事を知り、慣れない作業に大変四苦八苦してました。
webデザインを生業にしている夫にめちゃくちゃ助けてもらいつつ、おかげさまでHTMLの事がちょっと分かるようになるという進化を遂げてました。

林さんと山崎さんのメールには、私もCCに入れてもらっていたので、なんとなくの流れは見ていたのですが、連日ものすごい数のメールのやりとりが行われていて、まったくついていけませんでした…。

お二人がいなかったら、ここまでの形には絶対にできなかったです。
わたしは、作り物だけに没頭できるようにしてくれて、本当に甘えさせて頂きました。

あんなに大変な状況の中だったのに、めちゃくちゃ手伝って頂き、なんと発案から3日後の4/6(月)には販売を開始する事ができました。
本当に感謝しかないし、本当に素敵すぎるお二人です。

販売開始した夜は、「こんなに気持ちが通じ合って、一直線に何かに向かっていけた事に感動してる」というような事を3人で電話で話しました。
全員が「ありがとう」しか言わなくなる瞬間と、涙腺ゆるゆるに、ちょっと笑った夜でした。

販売がスタートした後は、想像以上の反響を頂き、驚きと嬉しさとありがたさで、もう「わーーーっ!!!」ってなってました。
販売開始から24時間で売り上げが1,000万円を超えた時は、参加館全員で本当にびっくり仰天してました。

様々な媒体に取り上げて頂いたおかげもあり、ものすごい勢いでTシャツが売れていく日々。
極め付けは、金曜夕方6時のニュースに取り上げて頂いた日のこと。
放送が終わったあと「電話が鳴り止まないとはこういう事か…」という体験をしました。本当にありがたかったです…。

最終日には「インターネットがわからないから」と、匿名で出町座に130万円の支援金が送られて来ました。なんと1館につき10万円ずつ…!おったまげ…。筆跡を見るに、おそらく上品なおばあさまからではなかろうか…という妄想を膨らましました。

という事で、販売するに至った〈関西劇場応援Tシャツ〉ですが、
今は、3密を避けながらの発送作業を行ってます。
参加館のみなさんは「発送作業を手伝う!」と仰ってくださいましたが、
今は他府県の横断はやっぱり、しない方がいいと思うので、
お気持ちだけありがたく頂き、みなみ会館で連日チマチマ作業してます。笑

なんとか、マッハでお届けできるように梱包作業の高速化を計ってますが、
そんなこんなで遅くなっているというのもあります…。苦笑

明日には、全量の1/3程はお送りできるかなというところ。
まだ届かないという方、頑張ってますので、もうしばらく待っていてくださいね。笑

ではでは、また次回〜。

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