つつじの花の㊙話
つつじの花が美しい。チューリップやパンジーに並んで、今の季節、様々な色で目を楽しませてくれる。
私が小学1年生の頃。友達と学校からの帰り道、公園のフェンス前に、つつじの花が咲き誇っていた。友達は突然歩みを止め、「つつじの花って、おいしいよ」と言うや否や、勝手に1つの花を取ってしまった。そして、緑色のがくの部分を素早く取り除き、何とそれを口にくわえて吸い出したのだ!「え~!!!」驚きのあまり、私は出ない声を自分の心の中で張り上げた。「つつじ、食べてる!!」厳密にいえば、友達は食べているのではなく、花の中の蜜を吸っているのだった。「おいしいわ~、あんたも吸ってみ」と、気軽に言われ、私は、勝手に花を取ってもいいのか?もし、おなかが痛くなったら?などと、ものすごく葛藤していた。が、友達は私が返事をするまでもなく、すでにピンクのつつじの花を差し出していた。がくを取り、恐る恐る口に入れると・・・甘い。ほのかに甘い。7年の人生の中でも初めて感じる自然の甘さだった。「おいしい」「でしょ!」私は、それから2つ3つ、つつじの花の蜜を吸った。なるほど、ミツバチや、蝶々が群がるはずだ。おいしいんだから。この一件で、”にわかミツバチ”になった私は、自分も自然界に存在している一員なんだと悟った。
あの、自然な不思議な甘さ。はるか昔の記憶でも、忘れることはできない。ただ私の人生において、後にも先にも、つつじの蜜を吸ったのは、この1日だけなのだ。
追記 ネット情報によると、つつじの種類によっては、花の蜜に毒性があるそうである・・・
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