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日本語の勉強を始めたきっかけは?

先日、日本語学校の文法の授業で、「~をきっかけに」という文型を導入した。このクラスは中級後半クラスで、今は学校からZoomで授業を行っている。中国・台湾・香港・モンゴル・ベトナム・タイ・マレーシアなどのアジア系学生たちが共に学ぶ。授業をする際は、直接法と言って、基本的に日本語だけで行う。だから、わかりやすい日本語で、より身近な例を挙げて、文型の理解を促す必要がある。加えて私たち日本人が誰に、どんな場面で使うのかを意味と共にわかってもらうのも見落としてはならない。

「昔、友達がマンガを見せてくれたことがきっかけで、私はスヌーピーが好きになった」と導入し、私は持っていたスヌーピーのタオルをパソコンカメラの前に近づけた。そのとき、私を画面に大映ししていたので(後ろの板書した字も見せなければならなかったから)、残念ながら学生たち全員の様子はうかがえなかったが、多分ニヤリとしていたのではないだろうか。私がスヌーピー好きだというのは、学生たち周知の事実だからだ。

例文をいくつか挙げて何となくこんな意味か、こう使うのかとわかってもらったら、テキストの例文⇒簡単な練習問題に進む。最後に、定着を図るものとして、口頭作文を各自で考えてもらうことも多い。

「~(こと)がきっかけで、日本語の勉強を始めた」本日のお題はこれである。1分ほど各自考えて、グループに分かれて、学生同士で作った文を共有。その後また戻り、ちょっとひねりを加えて「~さんは~(こと)がきっかけで、日本語の勉強を始めたそうです」と聞いたことを発表してもらうスタイルにした。

何人かに発表してもらったところによると、国での大学入学だったり、日本のアニメや歌を見聞きしたこと(これは定番)の他に、「元カレ(元カノ)に出会ったこと」なども少なからずいた。やはり、外国人の異性の友人がいるのは外国語学習の不可欠要素なのかと、思わずにはいられなかった私である。ただ、今のカレ・カノジョではなく、かつての彼や彼女の出会いのおかげで学生たちの人生の選択肢に日本語が入ってきたのは、教師の立場から見て、ありがたいと言うべきか。

驚くこと、信じられないこと、それに楽しいことなどが百花繚乱のごとく起こるのは、日本語教師にとっての醍醐味の一つなのだ。

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