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【デジタル庁】第3回デジタル社会構想会議について見ていく

考察というほどのことをやっていないなと思いまして、タイトルも少し柔らかくしてみました。また、今回から多少書き始める前に見ていくものに対して前提を書いていくことも意識していこうかなと思います。
このデジタル社会構想会議は下記前回記事でも書いたように重点計画等のデジタル化実現に向けた総論をまとめるための会議になります。昔の(分かる人は少ないと思いますが、)デジガバ分科会みたいなものですね。
そのため、皆様が気になっているであろう「新重点計画」の基にもなる議論が行われるため重要度としてはかなり高い会議になります。そのような観点で見ていただければと思います。

議事次第

第3回デジタル社会構想会議
令和3年 12 月8日(水)9 : 3 0 ~ 1 1 : 0 0 オ ン ラ イ ン 開 催
1.開 会
2.議 事
(1)新重点計画策定に向けた国民からの意見募集について(結果)
(2)地方自治体における好事例の紹介と提案について
(3)新重点計画(案)について
3.閉 会
[資料]
資料1:新重点計画策定に向けた国民からの意見募集について(結果)
資料2:自治体職員有志チーム提出資料(「誰一人取り残さない人に優
しいデジタル化」のために)
資料3-1:新重点計画(案)概要 (構成員限り)
資料3-2:新重点計画(案) (構成員限り)
資料3-3:新重点計画と関連する会議体における議論との関係(構成
員限り)
資料3-4:第1回デジタル臨時行政調査会牧島大臣提出資料(デジタ
ル臨時行政調査会における論点(案))
資料3-5:第1回デジタル田園都市国家構想実現会議牧島大臣提出資
料(デジタルから考えるデジタル田園都市国家構想)
資料4:三木谷構成員提出資料

第3回デジタル社会構想会議 議事次第

PoliPoli Govにて募集している意見の結果を出して、地方自治体の良い事例を紹介。そして新重点計画について話し合うという会だったようです。残念ながら議論の中心となる資料3-1/2/3は構成員限りの公開となっていたため見れませんでした。まぁ仕方がないかと思ってしまいそうになりましたが、これこそ本来は公開すべきなんですけどね。各省調整などしてる最中だから邪魔すんなってことなんでしょうが。

新重点計画策定に向けた国民からの 意見募集について(結果)

結果のサマリーは上図のようです。「同一投稿者又は同様の御意見については割愛する等、 必ずしもいいね数順での紹介とはならない部分がある。」。ふむ、選別の仕方が気になるな見ていこう。

比較的属人的にピックアップされた感がありますね。確かに上位から選定されている感はありますが、「国で統一的かつ単一の仕組みを構築運用し、各自治体は住民サービスに時間と労力を割ける」のような少し過激な意見だったり同じ投稿者だったりした時にカットしているような雰囲気を感じます。ただ、個人的に、このように上位に来ている意見を取り上げないことには違和感を感じます。重点計画で拾うかどうかは置いといて、ここに搭載するものに関しては上位3個(ユーザ重複除く)をそのまま載せる形式でも良かったのでは?と思います。
あと、いいねが1,000件行ってるような明らか不正もしくは別SNSからの引き込みをしている意見に関してはブロックした方がいいんじゃないかとも思いました。

御意見を受けた新重点計画の反映について

○ 行政手続等各種デジタル化への期待や、マイナンバー制度・マイナンバー
カードへの期待など、多様な御意見が寄せられた。
○ いただいた御意見の内容については、本日お示しする新重点計画案に記載
した「デジタル化により目指す社会の姿」や、「デジタル社会実現に向け
た施策」に活用させていただいた。
○ また、前回会議でお示しした「構成イメージ案」についても、御意見を
踏まえて検討を加え、例えば、「国・地方公共団体・民間を通じたトータ
ルデザイン」を項目として追加し、「マイナンバー」「マイナンバーカー
ド」の項目について見直しを行うなど、御意見を活用。
○ 今後も、施策の検討の際に活用していく。

素晴らしい!「本日お示しする新重点計画案に記載した「デジタル化により目指す社会の姿」や、「デジタル社会実現に向けた施策」に活用させていただいた」と書かれていますね。私は意見書かなかったような気もしますが、国民の声が反映されている感があって重点計画の中身がより気になります!
正直、最初から取り入れるつもりだった意見のみ吸い上げて政策の後押しとし、それ以外はなかったことにするような気がしてなりませんが、そうならないよう見守って行きたいなと考えています。

「誰一人取り残さない人に優しいデジタル化」のために ~自治体におけるアプローチ手法のご提案~

どうでもいいのですが、急にフォントが変わりまくってびっくりです。同じプレゼンテーション資料でころころ変えるのはあまり好きじゃないなぁ。
こちらは自治体の有志チームが課題意識や手法提案をするための資料ということらしいです。実際自治体職員の方がプレゼンしたのだとは思いますが、どんなないようなんでしょうか。。見ていきます。

課題意識

• 現在、行政手続のオンライン化が急務となっていますが、オンラインだけでなく従来の窓口を進化させることや、身近な接点の拡充を合わせて進めることが、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」の実現に不可欠だと思います。
• オンラインを使える方には積極的に使っていただき、サポートが必要な方には寄り添い、機会を提供する。
デジタルを活用して多様な選択肢を示すことが、「誰一人取り残さない」ということではないでしょうか。
• そうすることで、利便性の向上にとどまらず、業務の効率化で職員の負荷を低減し、より付加価値の高い業務への注力にもつながります。
• 国と自治体の知恵を集めて、効果的な手法を共に創ることが求められていると考えます。

課題意識部分に対して箇条書きして欲しかったな。まぁ書き方や見せ方はとりあえず気にしないとして、内容に関しては同意見です。従来の窓口を進化させるとありますが、その進化のさせ方が重要です。デジタルプロセスが事務作業やその後のエコシステムまで繋がっていることが必須ではありますが、オンライン対応が難しい人向けの手厚いサービスは別途必要で、その検討も同時並行的に進めていくべきです。

手法は下記の4つが挙げられています。
手法1:対 面 窓 口 の デ ジ タ ル 活 用( 本 庁 舎 ・ 支 所 等 )
手法2:身 近 な 拠 点 で の サ ー ビ ス 拡 充 ( 支 所 ・ 公 民 館 ・ 郵 便 局 等 )
手法3:その場で窓口(効率的な機会提供)
手法4:非対面手続での本人確認手段

妥当だと思います。紙は使わず、データ入力は職員側で対応。可能な限りリモートで対応するが住民側の操作は簡単にするという方式ですね。

今後の進め方(全国的な発展・実装に向けて)

タイトル、半角スペースで文字間隔を調整するのはやめて欲しい。。。

① 国と自治体が共同で発展させる仕組み
• 全国のチャレンジする気持ちのある自治体が、すばやくスモールスタートできる仕掛けと環境が必要
• 全自治体が迅速かつ安価に使える仕組みの導入が、先行事例のスピーディーな横展開に必要
• そのためには、全国の自治体での共用を前提としたサービス形態と導入ノウハウの整備が重要
例)自治体アプリストアを作り、調達の簡素化を図る。
• 例えばデジタル庁の共創PFで関心を持つ自治体を募り、国と自治体の職員をメンバーとしたチームを構成し、最適な環境づくりと横展開に向けてナレッジを積み上げ、共有する。
• これにより、「国と自治体が、共に考え、共に創る」という、デジタル時代に相応しい新しいカタチを実現
② ガバメントクラウド・標準仕様書への反映
• 事例によってはガバメントクラウドと連携して横展開を図ることも考えられる。
• 必要に応じて自治体システム標準化の標準仕様書に反映させることも考えられる。

前回の議事にはそんなこと書いてなかった気がしますが、今後この自治体有志チームは新重点計画に関与するんでしょうね。今後の進め方と書いてるくらいだし。確か会議運用要領に主査が参加メンバーを決めるみたいなことが書いてあったのでそのような権限で参加させてもらったのでしょうね。この先どんな活躍をしてくれるのか期待したいところ。
また、上記意見に対してですが、ある程度制限は必要だと思いますが「国と自治体が、共に考え、共に創る」良いと思います。自治体の人の方が国民の声を直接聞いていますし、国民にとって何があると良いかというイメージも持ちやすいと思いますので、協力してやっていただければと思う次第です。

デジタル臨時行政調査会 における論点(案)

デジタル臨調って奴ですね。政府DXの観点から法令改正など踏まえた検討をするもの。デジタル臨調はデジタル社会構想会議の下に位置する会議のため、上位からその論点案を出したようです。(案)なので牧島大臣からの資料ということになっています。
大体デジタル臨調の会議で公開された資料ですが、一応紹介して行きます。

いつものやつ。日本が色々なランキングで下の方にいますというものですね。

デジタル臨調設置の背景ですね。「構造改革」が必須だと。

目的は上の三つ。デジタル原則は手続法の際にあったデジタルファースト、ワンスオンリー 、コネクテッド・ワンストップのようなもので、今回は「デジタル完結・自動化原則」「相互運用性確保原則」「デジタル共通基盤利用原則」「アジャイルガバナンス原則」「官民連携原則(GtoBtoCモデル)」を。これを達成するために法律、組織、基盤などの構造改革を行っていくという趣旨のものです。

以前、下記のようにデジタル原則の方向性を直したらいかが?みたいなのは書いており、前回コメントした時と内容に変化がないのでコメントは省略しますが、ここ本当に大事なのでもう少し内容は考えた方がいいと思います。

well-beingやsustainabilityはどこかで聞いたことある単語ですが、こんな感じの取り組みの仕方で目的の生活を実現したいということでしょう。ここで重要なのは、「デジタル基盤」がサービス・アプローチ、公共サービス基盤、デジタル・インフラを指している。そして、「公共サービス基盤」が「認証」「決済」「共通機能」「データ連携基盤」、「デジタル・インフラ」が「ガバメント・クラウド」「データセンター」「公共サービスメッシュ」「通信インフラ」「セキュリティ」であるということでしょう。正直単語の平仄は政府側から発信して欲しいところですが、こういうのを見て少しずつ気持ちを理解していく必要があるのが現在のところ。

で、行政改革推進会議向けに行政事業レビュー年次公開検証(秋のレビュー)をして12月の「行政改革推進会議」で各省向けに何かをする、とあります。記載日時点でこの会議も開催されていました。(下記URLのものです)

この会議は総理大臣(岸田さん)が構成員になっているのですが、その会議から通告が出ています。これはまぁ確実にやれよと通知されているわけで、各省はこれから少ない予算でどうやって処理すべきか悩ましい日々が続くことでしょう。

ちょっと話がそれましたが、こんな感じでデジタル臨調の進捗や方針について、上位の会議であるこの場で出しています。まぁ筋を通しただけであまり面白みはないですね。

デジタルから考える デジタル田園都市国家構想

これも紹介しようかと思いましたが、デジタル臨調と同じで11月11日に開催されたデジタル田園都市国家構想実現会議(第1回)について紹介されただけで面白みはないですね。

一つだけ紹介しますと、Twitterでも少し話題になったこちらの図は面白いですよね。この時間軸ぽく見える横軸も暮らし・知・産業の縦軸、API GWからふわふわ浮かぶ地面、その他諸々書いてある位置にまるで関係性がないのにあるかのような描きっぷり。これを見て自分がどう関係するか想像できる人がいるのでしょうか、いないでしょう。ただそれっぽいのでよく見なければきれいな資料に見えるという不思議。

三木谷構成員提出資料

1.総論
9 月 28 日のデジタル社会構想会議(第 1 回)のプレゼン資料の記載内容については、かなり取り込んでいただいているものと認識。その上で、今回の重点計画案で取り込まれている部分について、工程表と KPI を明確に定めることで着実に進めていくことが必要記載が十分でないものについては、引き続き、できる限りの具体化を図るべき

総論からぶっ込んできますね、さすが三木谷さん。良くも悪くも影響力がありそれを支える地盤もあるので強いです。工程とKPIを明確化させるのはおそらく最終版の重点計画で行われるはず。次から各論で書かれた内容を見て行きます。

①ゼロキャッシュ政策
下記の「現金原則」撤廃とも関連するが、現金決済は毎年莫大なコストが発生しており、トラッキングも困難なため、例えば 2030 年を目標に「ゼロキャッシュ政策」を打ち出してはどうか

現金無くす、まぁむりですよね。

②デジタル人材
国内での人材育成のほか、外国人材の活用。短期と中長期に分けた具体的打ち手。なお、足下では外国人材の入国が困難となっており、困っている状況にある
【具体的打ち手の例:短期】
政府(特にデジタル庁)での外国人デジタル人材雇用の仕組み(お雇い外国人制度)導入、そのための公務員制度見直し、高額報酬の確保官民人材プール(デジタル人材を予備役的に登録し、プロジェクト毎にアドホックに活用)、そのための報酬予算確保政府(特にデジタル庁)の英語教育、Englishnization
【具体的打ち手の例:中長期】
大学における関連講座の拡充・再編とデジタル分野への重点的予算配分、デジタル関連大学教員の待遇改善企業におけるデジタル人材育成・リカレント教育に向けた投資の支援(企業から大学に対する教育投資の税額控除等)移民政策(外国人にとって日本が魅力ある場となるため、税率引下げ、英語で不自由しない環境、9 月入学 等)

WORDに改行いれるのやめていただきたい。それはそれとして、短期では職員の報酬見直し、中期では育成&移民政策。私は移民については批判的ではないのですが、治安確保と併せてやる必要があり大量採用には至らないという考え方です。

③アナログ 10 原則の撤廃
デジタル臨調でも「デジタル原則」の具体化の議論が行われると認識。新経連としては以下のアナログ 10 原則撤廃を掲げており、できる限り取り込むべき。また、国の明確なコミットメントの下、着実に実施すべき

この辺りから怪しくなってきましたが、民間でもなしこの原則の撤廃を先に考えたら国民のためのサービスを提供するという目的が疎かになるのではないかと考えますので論外かな〜

④新しい時代に対応した制度改革(規制改革、税制改革、会計改革)の一体
的改革デジタル時代に備えた最先端国家を目指し、企業・個人によるイノベーションを引き出す必要。そのため、最先端技術の活用に当たって支障とならず、さらにイノベーションを促進する「デジタルフレンドリー」な法制度・税制・会計制度に向け、デジタル臨調の場等で見直しを進めるべき
【見直し対象の制度例】
・有価証券のデジタル化への完全適応に向けた包括的な法整備電磁的記録
・電子署名へのブロックチェーン活用における法制度上の明確化
・STO・ICO によるトークン発行・保有等に関する会計基準整備
・暗号資産に関する法人税制・個人税制企業イノベーションを促進する税制(研究開発税制見直しなど)

会計基準・税制に関してはどうしても明確な定義がないと国民も困るので必要だと思うんですが、それ以外に関しては技術毎に法律を変える必要があるのか?と思っています。法律などは技術の革新に柔軟に対応すべきで、ある程度どのような技術だとしても仕切りが可能、という状態にしておくだけに留めるのが最善なのではないかと思います。一々技術毎に法改正議論してたらスパゲティがさらにこんがらがりますよ。

総括して

長くなった。。。が、最大の論点である新重点計画の議論内容が見えないのであまり中身がないですね。国民の声は整理という名のもと都合の良いものだけ集計されてるし、自治体チームの声は最もなんだけど何かを先に進める材料としては薄い。三木谷さんの資料は「思い」をぶちまけただけだし、何故それをすべきかも分かりにくい。
なので、今回は提案系の何かを書く気力もわかず。前回も同じようなことを書きましたが、また年末に出てくるであろう新重点計画を待つというスタンスを継続したいと思います。ではでは。

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