【デジタル庁】データ戦略推進ワーキンググループ(第2回)について考察してみた ~Part1~
最近政府から出てくる資料を見てそれに対して意見も述べてるつもりなのですが、こうすべきだという代替案を言っていないこともあるなと反省してました。ので、できるだけ今回から代替案含めて書いていくことを念頭に入れつつ見ていきたいと思います。
今回は12月1日に行われたデータ戦略推進ワーキンググループ(第2回)について見ていきます。いつもこれ情報量多くて捌くの大変なんですよね。。。ではいってみましょう。
議事次第
議事1)データ戦略の実装に向けた検討の方向性
この包括的データ戦略実装に関する全体アーキテクチャは第一回でも見た気がしますが、真ん中の「実現したい社会(Society5.0)」と「実装の方向性概要」が増えましたね。
実現したい社会はSociety5.0で固定。実証実験をやってるだけかと思ってましたがまさかいきなり実現したい社会として出されるとは思ってもみなかったです。そして、それがデジタルツインであるということのようです。デジタルツイン自体は私も流行りそうだなと感じているのですが、データ戦略としての目指す先ではないという認識。「新たな価値を創造する人間中心の社会」は重要だと思いますが、それに付け加え「データ」を活用した、もしくは使う人々が「データ」を意識しないような世界が待ってるよというメッセージがあるといいのかなと感じました。
トラストの方向性
3つ目のアシュアランス整理は、全関係者にとってとても重要になるでしょうね。訴訟や会計検査院を恐れて事例を見まくっていた人も、これがあれば安心して事例のない新しいシステム導入を決断できるかもしれません。今まで調達者達にリスクを負わせていた部分をこういう場で整理できれば重要な指針として活用されていくものと思います。
プラットフォームのルールの方向性
デジタル連携基盤を活用する際に取り決めるルールを作るということでしょう。ガイドを作った上で接続しに来る人たちの品質を上げていく。昨今のツールはETL的な動作はできるとはいえ、最低限の担保はここでして行った方がいいでしょうね。電子カルテとかここで決まった仕様に合わせてAPI化できなけりゃサービス買えないとかにして圧力かければいいんじゃないかと思ってます。
ただ、前回も多少苦言を申しましたが令和3年に設立したDSAという組織にこのプラットフォームを任せていいのだろうかと思うところはある。まぁ参加メンバーよく知らないのですが、API全部フルスクラッチで組まれるとかだったらもうこれは使い物にならない。
準公共・相互連携分野
もうSociety5.0が目標とか書かれ始めたのでもういいんですが、昔からIT室が戦略班でやってた範囲を無理やり残すのは微妙だと思うんです。外郭も似たようなものだし、「準公共」って分野で特別な法律があるわけでもなし分ける必要ないよなぁ。
お、国民の「くらし」に対してKPIつけるみたいですね。これは面白いEBPMチャンス!どんなKPIが付くか楽しみですね〜。
データ取引市場の方向性
データ取引市場ね、DeFi(Decentralized Finance)やNFT(偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)についての検討を進めるということでしょうか。こういう最近の情勢を踏まえた検討はいいですよね、世界的にも進み始めた分野だと思いますので、整理を進めて欲しいです。仮想通貨が流通し始めたら絶対税金処理なんて追いつかないと自信を持って言える。
ベース・レジストリ
優先度の付け方に疑問は残るものの、3つ(土地、事業者、行政)の分野に注力することを決定。課題と拡張性を意識した識別子、レジスター情報、メタデータなどの構造を決定。おそらくプラットフォームのチームと連携してルールを定めた上での整備を行うということでしょうか。令和3年度(今年中)に方針を整理するのは楽しみです。調達系の情報と併せてみると、このベース・レジストリが最も盛んに動いておりまして、個人的には最も楽しみな活動となっております。事業者側が行政データを活用して良いアプリケーションが作れるかどうかがかかっている(はず)です。何度も言いますが頑張ってください!
各論ていうかなんていうか。TOBE像を先に書いた後にそこに向けて進む際の課題を書いていくスタンスですね。データ構造やルールが他のWG/SWGと比べるとちょっと浅いかな?他のWGに任せるのかもしれないですね。
データマネジメントの方向性
これは、もう少しベース・レジストリやプラットフォーム、ルールとミックスして表現できたら良かったなと思います。書いてあるのは標準ガイドライン群の整備を進めるのと、環境省の活動を横展開していくという宣言だけという感じです。データ戦略の中のデータマネジメントなのですから、それこそSDGs、リーンやアジャイル的なものと関係付けて持続性のある品質向上ができる仕組みを検討するみたいなものがあると良かったなと思います。裏方ですが、個人的にはとても大事な部分だと考えます。
オープンデータの方向性
自治体と中央官庁に向けたオープンデータ 推進について書かれているようです。途中あった準公共や外郭はどうするのか整理したほうがいいかもしれません。このスコープってもしかしてデジ庁内でも周知もされていないのかな〜と感じてしまう次第。
積極的にやっていきたいと思っている人たちにとって、仕様書やPJレビューシートのひな形は有難いと思います。標準ガイドライン群もそうですが、テンプレート的なものはガンガン作ってもらえると皆ハッピーになれるんじゃないかな。
データ活用の方向性
似たような単語をそこら(連携基盤)で見た気がしますね。EBPMはいいと思いますが、もう少し現実的に進められるように現状の課題感やそれに伴った活動プランなども載せて欲しかったなと思うところ。
人材・組織
「データ統括責任者と各省との協力関係を構築する。」これは笑うところでしょう。僕は笑いました!普通ここまで具体的個人(デジ庁のこの役職は一人しかいないので)が頑張ります宣言するのはなかなかないですよね。病気にでもなったら他の人がやれると思えないですが、平本さんには体壊さない程度に頑張っていただければ。。。
最新ツールの導入(Archimate?)はいいのですが、使い方は正確にお願いしたいと思うところ。
国際展開
G7日本開催までにDFFTやデジタル連携基盤、pepolなど国としての立ち位置を明確化し、推進してる感を出したいということでしょう。私が好きな分野ではないですが、政府としては大事なのだろうということは理解しています。
議事1についての検討段階資料
検討段階ということはもう先ほど書いてきた内容については固まったということのようです。以下からのものは検討段階なので意見したら何か変わるかも?
トラスト
最初に整理するスコープ(目的)が重要ですね、それ次第でユースケースの幅も決まってきますしある程度のアーキテクチャも定まってしまうため。関係者が他と比べてかなり多く見えるのもそのスコープ案を多角的な観点から集めるためなのかなぁとか思ったり。
以前下の記事で書きましたが、実態調査として「デジタル化の進捗」と「デジタル化の阻害要因」を調査してそこを解消するためをスコープとしているように見えます。これが甘いと思ってて、最初の目標にあったようなデジタルツイン環境もそうですが、現状の困り事だけではなくて一般の人々(事業者含め)が将来どんなタイミングでトラストサービスを利用するかという拡張性も意識した検討が進むと良いと考えます。書いてないだけで考えてるかもしれないですけどね。
こういうとこ。こういうところですよ。良くないと思います。ベース・レジストリなど含めて検討しましょうよ同じWGなんだからさ。申請・届出だけじゃないでしょ。
プラットフォーム
ポンチ絵ですね。すごい情報量がこの中に詰まっているのだろうと思うが全部の意図まで読む元気はない。ただ、ポイントが3点挙げられています。
1. 多様なステークホルダーの懸念・不安感の選択肢を示したソフトロー
2. リスクベースアプローチ
3. ルールをアジャイルに更新
ソフトローという単語をググってみました。「法的拘束力がない社会的規範」だそうなのですがインターフェイス部分がそんなではデータ連携できないんじゃないかな?もしくは違う意味なのかな?法的に問題ないという根拠を示してあげるのが政府の役目な気がするんだけど。
リスクベースで各環境に対して必要なアシュアランスレベルやアクセス権決めればいいだけだと思うのですが法律をここで持ち込む理由なんなんだろう?良くわからないですね。ルール更新をアジャイルにするのはいいと思います。
あと、一応大事そうなのは、対象となるPFが決められている部分。
①が各省が保有しているDB、②がこのWG内の「連携基盤」で検討しているプラットフォームということでしょう。
分野間連携
あ、これ検討段階なんですね。確かにまだ未定稿って書かれてる。SIPね、確かにSIPの目的からするとそれを実世界に広げていこうってのは大事なんでしょうがあれって結局のところどんなことやっていたんだっけと下記URLを覗いてみましたが研究ぽいことばっかりで実稼働してる感があまりない。大丈夫かな?
準公共・相互連携分野
ふむ、「準公共分野」という単語を普及しようとしてる感がありますね。私もそろそろ認識を改めて適合しなければならない気がしてきた。ただ、「個人が複数のサービスを自らのニーズに応じて自由に組み合わせ、自らの生活に併せてデザイン できるようにする。」と書かれていますが、国民目線で言うと準公共だけ分けて考えるのも面倒なんでどこかに統合して欲しいというのが本音。
データ取引市場
良くみてみるとまだNFTのようなものは考えられてないみたいですね。「データは無制限に複製可」って書いてあるし。やっぱり日本はこういうの遅れるよなー。
ベース・レジストリ
たくさん絵はあったのですが既出だしごちゃごちゃするのでこの一枚だけにします。土地系面白いですよね、これと個人・法人(事業所含む)の識別子が噛み合えばそれだけでもなんか新しいサービスができそうな予感。3次元データとか今風でわくわくする。
データマネジメント
データマネジメントもそれなりに絵はあったんですがガイド整理が中心だったので割愛。大事なことはわかってるんですよ。
標準整備後の世界のイメージはこんな感じでいいと思うんですが、マネジメントなのでライフサイクル的な観点も欲しかったですね。新たな価値の創造が何故できるのかこれだけだとよく分からないかな、と。
オープンデータ
なんかデータマネジメント と似たようなこと書かれてる気がしますね。観点が外か内かみたいな。「連携基盤」に関してもそうなのですが、検討内容重複しないように事務方頑張って欲しいです。
パート1の総括
だめだ、すごい量の資料でコメントが書ききれないのでまたパートを分けて書いていこうと思います。ここまで議事1についての内容ですが、これだけでもなかなか濃いです。
しかしSWGがあるところはメンバーが多くてずるいですよね。データ取引市場やデータマネジメント 、オープンデータ 、人材、国際にも人がいればもっと精度上がると思う。ベース・レジストリはSWGもないのにこの進み方は異常、かとも一瞬思ったがデジ庁内に分野統括いるしそこの部隊がやってるから当然か。でもそれ言ったら人材や国際はもっと頑張れということになるか。まぁそこらへんはデータだけじゃないですものね。
などなど、色々考えることはありますが一旦この辺りで〆させていただきまして、次回で終わりまでまとめていきたいと思います。次回作は、今日でなければ来週予定がぎっしりなので大分先かな。