アメリカの”ハンドメイド”ポルノの歴史って?
The People's Porn:
A History of Handmade Pornography in America
「みんなのポルノ:アメリカの手製ポルノの歴史」
by Lisa Z. Sigel
October 2020 (Reaktion Books)
ハ、ハンドメイドのポルノ?ってそれ何??
新刊カタログでこのタイトルを見て、まったくよくわからなかった。で、いまだによくわからない。まあ、解説文を読むと「商品として流通しているようなものではなく、あくまで素人の作成したハンドメイドな、ホームメイドなポルノ」らしいのだが、具体的にそれがなにかまでは書いてない。
なーんか、「ハンドメイド」とか「ホームメイド」っていうと、日本語のイメージとして、家庭的な、ほっこりするものを想像してしまうんだけど、そのあとに「ポルノ」ってつくと、あまりの違和感に、一瞬思考が停止してしまう。なんじゃそりゃ~!ってなる。
こういうときは、アマゾンの「試し読み」だー!と思って、見てみた。
けど。ない。「試し読み」=Look insideが、ない。
アマゾン・ジャパンでは、「試し読み」がない和書は多い。小さい出版社だと、最初の何ページかをPDFにしてアマゾンのウェブサイトにアップするなんていう手間をかけられないのかもしれないが、結構な大手や中堅どころでも、試し読みのない本は多い。
その点、アマゾンUSAやアマゾンUKなどは、Look insideがついているものが多い。出版社のホームページでは中身がみられないのに、アマゾンではみられる、なんてこともしょっちゅうだ。
それなのに、この本にはLook insideがない。
この本の出版社は、以前紹介した「シェイプ・シフター」と同じReaktion Booksだ。ここは、そういう方針なんだろうか。
それでも中身を知りたいときは、Book review=書評をさがすしかない。
さいわい、Reaktion Booksのホームページを見たら、この本の解説文の右側に書評をまとめたものが載っていた。
それをよむと、どうやら19世紀から21世紀の現代までの、本当に素人が作ったエロいものを集めたらしい。たとえば、長い航海のあいだに水兵が貝殻や鯨骨でつくったエロティックな彫刻とか。ううっ。しかし、ここで英語の壁が。。
prison pornographyってなんだ?プリズンだから刑務所で作成されたポルノ?っていうかポルノってこの場合なに??水兵とおなじく、やっぱ彫り物系?それとも、絵画系?まさかの小説系?それらひっくるめた全部?
pop-up erectionsは、ポップアップだから飛び出すアレ?ですか?どっから?素材はなに?
masturbating Santasやfeminist embroideryにいたっては、ググってもよーわからんかった。というか、ヤバいサイトに行っちゃいそうで、先に進めなかった。無念の調査断念。
でも、アメリカ人にとっては、「ははーん、あれね」的にわかるものなのだろうか。
どうも本書には97枚の写真が掲載されているらしい。それがhilarious=めっちゃウケる、と書いてある。見たい。見たいなー。
日本で言ったら「秘宝館」に展示してあるやつみたいなのかなぁ。
でも、よくぞそういうものを集めて研究したと思う。性風俗にかんするものは、はなから低く見られてて、調査研究の対象になりづらいから、ほとんどが時代とともに消えてなくなってしまうだろう。そういうものこそ、文化人類学の貴重な資料になりうるのに。
という以前に、サブカルチャー的な、猥雑なものとして、たんじゅんに興味あるなぁ。