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アメコミの『兎用心棒』は今年40周年!

Usagi Yojimbo: The Ronin
「兎用心棒:浪人」
Stan Sakai
January 1987 (Fantagraphics)

いや~今年で『兎用心棒』も初出から40周年ですよ。
早いね~

なんて言葉が著者と編集者のあいだで交わされたのかどうか、私は知らない。
私も洋書業界には長く身を置いているが、この『兎用心棒』は、ついこのあいだ初めて知った。そしたらもう40年も前に登場しているというではないか。

言い訳させてもらうと、ウチの会社が扱ってる洋書はアカデミックがメインだからね。こういう柔らかい本は、ふだん扱わないのよ。
でもごくたま~に、そういう本の注文が入ることがある。

著者はStan Sakai。ウィキペディアがある。「スタン坂井」というらしい。

1953年京都生まれ。ハワイ育ち。日系アメリカ人3世となっている。今はカリフォルニア在住。

この『兎用心棒』が彼のほとんど唯一の代表作にして大ヒット作。
大ヒット作?!
ぜんぜん知らないけど?!なんで??

有名な証拠に、『兎用心棒』もウィキペディアがある。

擬人化された動物たちが生きる16~17世紀ごろの日本が舞台。兎の姿をした剣士、ミヤモトウサギ(宮本兎)が主人公だ。ミヤモトは浪人で、用心棒で日銭を稼ぎながら武者修行の旅をしている。

なかなかおもしろそうではないか。
著者のスタン坂井は、英訳された漫画版の『子連れ狼』や、黒澤明の映画に影響を受けたそうだ。

『子連れ狼』って漫画だったのね。知らんかった。
萬屋錦之介版のドラマがオリジナルだと思っていた。しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん、「大五郎」「ちゃーん!」ってやつだ。年がバレるなぁ。。
ちなみに『子連れ狼』の英語タイトルは、Lone Wolf and Cub.
cubって動物の子どものこと。

今だったら、コンプラ的にアウトなんだろうなー。だって殺し合いの場に子ども連れていっちゃダメだよね。

さて、『兎用心棒』。ミヤモトウサギの絵を見たときに、どっかで見たことあるなぁ、と思ったら、細田守監督のアニメ映画『サマーウォーズ』のキングカズマだ。


仮想空間「OZ(オズ)」のなかで最強の戦士。カッコよかったなぁ~

ミヤモトウサギは、それにくらべるとビミョーだけど、でもなんたって1984年ですからね。そこは考慮して温かい目で見てほしい。

黒澤明の映画の影響、とくれば、スバリ『用心棒』だろうな。
三船敏郎、世界のミフネだもんね。

1年ぐらい前に読んだチェコ人作家アンナ・ツィマの『シブヤで目覚めて』にも、ミフネに心酔するチェコ人の女の子が出てきた。

周りの女子が『ハリー・ポッター』のダニエル・ラドクリフや『トワイライト』のロバート・パティンソンに夢中になっているとき、主人公のヤナは、『酔いどれ天使』の三船敏郎にゾッコン。DVDを何度も見返し、敏郎(三船、じゃなくて敏郎!)がシャツを脱ぐシーンで一時停止して、胸毛のないすべすべの上半身をうっとりと眺めている。

ちなみにヤナの二番目のお気に入りは、仲代達也。うーん、渋い。渋すぎる。

それはいいとして、サムライ好きというのは、外国でも一定数はいるようだ。『兎用心棒』も、アメリカのそんなサムライ好き達に受け入れられたのかな。

このシリーズは、第1シリーズ38号までをファンタグラフィックス社が出しているが、その後3つの出版社を渡り歩き、今はダークホースコミックス社という、わりと大きなアメコミ出版社から刊行されている。

どうやらアニメの『ミュータント・タートルズ』にクロスオーバー出演したこともあるらしい。

おっと、そしてなんとこの『兎用心棒』をベースにした「さむらい・ラビット:ザ・ウサギ・クロニクル」(Samurai Rabbit: The Usagi Chronicles)というアニメがネットフリックスで2022年にリリースされたという情報まである!

ぜんぜん知らなかったけど、すごいな、『兎用心棒』。
なんで日本に逆輸入されないんだろう。。
一回読んでみたい。


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