見出し画像

【現地観戦】鬼門メスタージャでマドリディスモ発動、新年一発目奇跡の大逆転

昨シーズン、ヴィニシウスを筆頭になんやかんやあった鬼門のメスタージャ。今回もヴィニシウスが標的となり「Vinicius balón de playa(ヴィニシウスはビーチボール)」と侮辱的なチャントを浴びせられます。バロンドールを逃したヴィニシウスにはビーチボールが似合う、との侮辱だそうです。
またバレンシアの熱狂的なサポーターはわざわざビーチボールをスタジアムに持ってきて試合中に飛ばしてました。

そんな完全アウェイの中、バレンシアは立ち上がりから激しくハイプレスをかけてきます。対するマドリーはディフェンスラインを経由しながらプレス回避を試みますが前線のヴィニシウス、エンバペにマークを外す動きが見られないため、中盤から前に良い形でボールを供給できず、攻めきれない展開が続きます。
前半7:18~のシーンのようにベリンガムの持ち出しによりチャンスになるようなシーンは何度か見られました。しかしヴィニシウス、エンバペが足下でボールを受けたがるため、なかなか相手ディフェンスの背後をつけず、押し戻されてしまいます。15:20~では上手く相手の死角から飛び出しているので、このような動きがもっと増えれば攻撃が活性化しますし、相手が怖がってどんどんラインを下げればバルベルデのミドルの脅威も高まります。

前半半分を消化したあたりからバレンシアのハイプレスを剥がしながら少しずつ人数をかけた攻撃を展開していきます。しかしバレンシアの5-4-1システムが中央をがっちりと固めておりなかなかゴールへと迫ることができません。仕方なく外側経由でゴールに迫ろうとするのですがエンバペとヴィニシウスがなかなか前に出ていかないため、ロドリゴにボールが入ったときにパスコースがありません。おそらくバレンシアはそこを狙っており、ロドリゴに対して2、3人をぶつけてきます。それに対してロドリゴは単独突破を試みますがほとんどうまくいかず、カウンターを打たれてしまいます。

そんなシーンが続いたあげく、ロドリゴのところでボールを奪われ、そのカウンターで失点してしまいます。もちろん周りはバレンシアサポーターばかり。みんなものすごい喜び様で飛び跳ね、スタンドはかなり揺れていました…

失点後、マドリーはヴィニシウスにボールを集め、左サイドからの攻略を試みますが、試合開始時からの侮辱チャントのせいなのか、らしくない仕掛けが続きます。ちょうど熱狂的なバレンシアサポーターの目の前で封じられ、煽られるというシーンが多く、かなりやりにくそうな印象でした。

早く1点を返したいマドリーに対し、バレンシアは5バックでドン引きます。しかし前線からのハイプレスは継続、2~3人を前線からぶつけ、他は割り切って引くという型でマドリーを迎え撃ちます。
しかし、ルーカス・バスケスとメンディがどんどん高い位置をとりにいくため、バレンシアの両サイドバックが吊り出されます。そうすると3センターバックの脇に大きなスペースができ、かなり攻めやすくなります。
そんな状況でもエンバペはなかなかそこを狙わず、攻め切ることができません。

そんな中36分に良い攻撃が生まれます。バルベルデが最終ラインに落ちてボールを受け、ロドリゴがルーカスに引っ張られた相手の背中をとり縦パスを引き出します。それを完璧に止めて前を向き、ベリンガムにパス。残念ながらベリンガムのトラップが少し右に流れてしまい決定機とはなりませんでしたが、もしゴールに向かってボールを止めることが出来ていれば、かなりゴールに近づいていただろう良い攻撃でした。

また、42:38~は先程お話した3センターバックの脇をヴィニシウスが完璧に突きます。上手く抜け出したヴィニシウスでしたがゴールまでの角度がない上、左足ということもあり、決めきれません。ここで、エンバペが中央でフリーになってくれていればそこにパス、という選択肢もあったのでしょうが彼はペナルティアーク付近で歩いていました…

そんなこんなで中途半端な感じで前半が終了します。

ハーフタイムには吹奏楽団的な人達がバレンシアのイムノを演奏しながらピッチをぐるっと回ります。前回メスタージャに来たときもやってました。また、メスタージャはハーフタイムにクイズがあります。メスタージャに来た際はぜひチャレンジしてみてください。
両チームハーフタイムでの交代はとくになく、後半が始まります。
後半立ち上がりからマドリーはハイプレス?的な感じで前半よりは前がかりな守備で1点を返しにいきます。その流れでヴィニシウスがボールを上手く突き、エンバペがチャンスを迎えます。ペナルティエリア内で相手のファウルを誘い、エンバペがPKを獲得します。キッカーはベリンガム。
スタジアムのバレンシアサポーターも失点を覚悟したようで少し落ち込んでいましたが、まさかのベリンガムがPK失敗。先制点以上の盛り上がりで再びスタジアムが物理的に揺れます。
後から映像で確認するとやり直しも妥当なのかなと思うようなシーンがありましたが、現地ではとくにやり直しだろといったようなアピールも特になく、選手が少し抗議するだけでスムーズに試合が流れました。

58:48~ベリンガムが中央でボールを受け、エンバペにパス、エンバペがものすごい身体能力を発揮しネットを揺らします。このシーン、ベリンガムがゴールを向く格好でボールを止めることが出来たため、決定機に繋がりました。
しかし、まさかのVAR介入でオフサイド判定。ここまでギリギリの場面が全てバレンシア側に傾くとは、まさに鬼門です。

その後もマドリーは人数をかけて押し込みますが攻守のトランジションのところで差が出ます。バレンシアはピンチを凌いだ後すぐにディフェンスラインを整え直します。一方マドリーの攻撃陣は攻撃が切れたあと歩いて次のプレーに移行する場面が増えます。こうなると点をとることは容易ではありません。

そして68分アンチェロッティ監督は最初の交代カードを切り、左サイドバックにカマヴィンガ、右ウイングにブライムを投入します。カマヴィンガはサイドバックに入りましたが攻撃時は高い位置をとりつつ、中央にも入っていき臨機応変にポジションチェンジします。また、ブライムのとろこではブライムが主にペナ幅でプレーし、そしてルーカス・バスケスがさらに上がり、ウイングの役割を果たします。

そんななか事件が起こります。バレンシアのゴールキーパー、ディミトリエフスキの挑発に乗ったヴィニシウスが顔面を突きとばし、1発レッドカードで退場になります。これにメスタージャは大歓喜。チームが苦しいときにエースは一体何をしているのでしょう。

この退場を受けなのか、アンチェロッティはセバージョスに変え、カピタンのモドリッチを投入します。

10人になったマドリーに対し、バレンシアはマンツーマンでハイプレスを仕掛けてきます。それを外回りでうまく回避しながら、時折ベリンガムが2列目から飛び出してゴールを狙います。そのため中盤はかなり間延びし、目まぐるしく攻守が入れ替わります。

そんな状況の中、モドリッチが値千金の同点ゴールを決めます。起点はモドリッチ。カマヴィンガにボールを預けるとすぐに高い位置をとり、その後カマヴィンガからブライム、ブライムからベリンガム、ベリンガムからモドリッチとボールが繋がりフィニッシュ。出したあと受けての選手を越えていく&狭いスペースでも前を向くというとこが繋がった素晴らしいゴールでした。

こうなると逆転の兆しが見えてきます。アディショナルタイムが9分と発表されるとスタジアムはざわつきます。バレンシアサポーターも逆転負けが脳裏を過ぎったのでしょう。こうなるとその予感は的中します。バレンシアのミスが2つ続いたところをベリンガムが突き難なくネットを揺らします。ここで大半のバレンシアサポーターが帰路につきました。

しかしラストワンプレーにとんでもないピンチが訪れます。カマヴィンガのミスをついたバレンシアのルイス・リオハがカットインからのミドルシュートでバーを叩きます。反対側のゴール裏で見てたのですが打たれた瞬間これはやられたと思いました。

そんなこんなで最後に大ピンチを迎えながらも2-1でマドリーの逆転勝利。最後まで残っていたバレンシアサポーターは不服そうでしたが最後のミドルシュートに対して温かい拍手を送っていました。僕はマドリーのマフラーを巻いていたので帰り際バレンシアサポーターからかなり野次を飛ばされました笑

マドリーは先制点をとられ、PKを外し、得点の取り消し、エースの退場となかなか波乱の展開でしたが奇跡の大逆転で鬼門を突破。
余談ですが初めて大逆転を経験したエンバペはこの次の日練習帰りに車を止めてファンサをしたそうです。彼は移籍初日以降ファンサをしてないらしくそれも奇跡に等しい出来事であったそう。



いいなと思ったら応援しよう!