見出し画像

コーチのお仕事〜練習編〜

前回は準備編ということで練習が始まるまでの準備内容をお伝えしました。今回は実際にどんな感じで練習しているのかを書きたいと思います。

1.コースセット

まずは選手が滑るコースをセットします。これは前日にやっておけると楽ですが、営業終了時にピステンが入る場合は当日の朝にセットすることになります。準備編で書いた様に水を撒いたコースには基本的にピステンは入りませんので、前日にセットすることが可能です。

当日セットするとリフトに乗る時間も含めて30分ほどかかります。前日にセットできると降雪があった際にも排雪に時間を割くことができますし、余裕をもって準備することができます。

コースはその日の目的にあわせてセットしていきます。コーチで事前に話し合い、インターバルや振り幅、コンビネーションの立て方など決めます。ワールドカップ前などは事前にセッターが分かっているのでそのセッターの特徴に寄せたり、自国のコーチがレースでセッターをする場合はそのコーチがメインでセットします。

コースの長さも重要で、技術習得やマテリアルのテストを目的とする場合は比較的短め(30秒前後)で何度も(10本前後)滑ることができる強度に設定します。これによって多くのスキーのテストができたり、反復練習が可能になります。逆にレースと同等の強度で行う場合は本数を少なくします。

マテリアルテストや反復練習が目的になると雪のコンディションは非常に重要になります(いつも重要ですが)。常に同様の条件で滑る=掘れにくい雪が必要ということです。そのためにも準備編の内容が大事ということです。

2.ビデオ撮影、タイム測定

この二つがないと分析ができません。フィーリングだけで方向性を決めるのはリスクがありますし、コーチの目も正確なわけではありません。しっかりとビデオを撮り、タイムと照らし合わせることで初めて分析することができます。

また、ビデオを全て撮影しておくことで怪我をした際の原因究明などにも役立ちます。できるだけスタートからゴールまで全てのランを撮影します。

常にではありませんが某大学からスーパースローモーションが撮れるカメラで撮影してくれるスタッフが来る時があります。スーパースローでは主にスキーの挙動を見て、サービスマン、メーカースタッフと共にマテリアルの分析も行います。

コーチはできるだけ選手とラウンドしてタブレットでビデオを見ます。選手は映像と自分の感覚をすり合わせ、コーチはビデオをもとにコーチングをします。

3.撤収と翌日のトレーニング準備

練習が終わると撤収し、翌日の準備をします。深くなってしまった溝やポールが倒れてできた穴などはスコップを使い雪を入れて埋めます。怪我のリスクはできるだけ排除することが重要です。

必要に応じて排雪、水入れをして山を降ります。

4.ビデオとタイムの分析ービデオミーティング

山を降りたらすぐにビデオの名前を編集します。基本的にはイニシャル本数ビデオポジション_日付といった感じです。
例:河野恭介 1本目 上部 2020/11/20
KK1a_201120

こうすることで後からも検索をかけやすくなりますし、数日分のファイルを送った時も受け取る側が管理しやすくなります。

タイムは現在使用している機器で勝手にPDFを作成してくれるのでだいぶ楽になりました。手入力しなければいけない場合はExcelシートに入力します。

選手とのビデオミーティングの前に1時間〜2時間ほどコーチで分析と反省をします。各選手の分析のほかにミーティングで話す内容や翌日のトレーニングの内容やコンセプトを決めていきます。

選手がコンディショニングを終える時間から夕食までの2時間で選手1人ずつとビデオミーティングをします。





さて、ここまで来れば大体仕事は終了です。
あとはビールやワインを飲みながらスタッフでワイワイやって楽しくコミュニケーションをとってゆっくり寝るだけです。

こんな感じの日々を過ごしてます。


きょうすけ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?