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教育時事の資料を読んでいると教員と教諭と教師と先生といろいろ使われ過ぎなので少し整理してみました

教員採用試験一次試験で欠かせない教育時事で重要になってくる、たくさんの資料たち。
それらは、文部科学省や中央教育審議会によるものがほんとどです。
絶対的信頼度のある、これらの資料なのに、資料によって「教員」「教諭」だけにとどまらず、「教師」や「先生」と、それを表すための言葉が、いろいろな場面で使われていて、またまた気になり始めました。

そこで、今回は「それら」について、ちょこっと整理してみましたので、
教員採用試験受験予定者の方以外の方も、よかったらのぞいてみてください。
ちなみに結果は「この記事のまとめ」だけを読んでもわかります。
途中は、法規等をもとに根拠を書いているので、少し読みにくさがあります。とばしても大丈夫です。


「教員」がいちばん根拠がっはっきりしている

まず最初に確認しておきたいことが、「教員」は、「教育職員」の略だということ。
これも意外に知られていないかもしれません。
わりとよく使われているのに、結構あいまいな「教員」。
しかし、これには「定義」があります。
教育法規によくある「この法律では」という但し書き付きですが、文部科学省のホームページでも、「教育職員の定義」として、この定義をあげていますので、私はこれをもとに「教員」について説明をしています。

教育職員免許法
(定義)


第2条 
この法律において「教育職員」とは、学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(第3項において「第1条学校」という。)並びに就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園(以下「幼保連携型認定こども園」という。)をいう。以下同じ。)の主幹教諭(幼保連携型認定こども園の主幹養護教諭及び主幹栄養教諭を含む。以下同じ。)、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭、助保育教諭及び講師(以下「教員」という。)をいう。

(教育職員免許法より引用)

教員」とは、免許状を有する、国立、公立、私立の、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校、幼保連携型認定こども園、主幹教諭((幼保連携型認定こども園の主幹養護教諭及び主幹栄養教諭を含む)、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭、助保育教諭及び講師のことをいいます。

「教員免許状を有する」というのは、
同法第3条に規定されていることです。
例外として、免許状を要しない非常勤の講師の方もいらっしゃいます(同法第3条の2)

教育職員免許法
(免許)


第3条 
教育職員は、この法律により授与する各相当の免許状を有する者でなければならない。

(教育職員免許法より引用)

また、「教員」に「校長」は含まれません。学校教育法第7条で「校長」と「教員」を分けているからです。

学校教育法
第7条 
学校には、校長及び相当数の教員を置かなければならない。

(学校教育法より引用)

教諭は少しわかりにくい

「教諭」については、学校教育法第37、49,62、70条、文部科学省「教員免許制度の概要(平成31年4月)」「教員養成の段階で修得すべき内容について(補足資料)」を参照にしました。

相当免許状主義
・ 幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教員は、原則として、学校の種類ごとの教員免許状が必要です。(中学校又は高等学校の教員は学校の種類及び教科ごとの教員免許状が必要です。)
・義務教育学校の教員は、小学校と中学校の両方の教員免許状が必要です。中等教育学校の教員は、中学校と高等学校の両方の教員免許状が必要です。 ・特別支援学校の教員は、特別支援学校と特別支援学校の各部(幼稚部・小学部・中学部・高等部)に相当する学校種の両方の教員免許状が必要です。
・児童の養護をつかさどる教員、児童の栄養の指導及び管理をつかさどる教員は、それぞれ養護教諭(養護助教諭)の免許状、栄養教諭の免許状が必要です。(教育職員免許法第2条、第3条)

(「教員免許制度の概要(平成31年4月)」を引用して一部を抜粋)

免許状の種類
幼稚園教諭、小学校教諭、中学校教諭、高等学校教諭、特別支援学校教諭、養護教諭、栄養教諭がある

(「教員養成の段階で修得すべき内容について(補足資料)」文部科学省より引用して一部を抜粋)

これらのこともふまえ、「教諭」は、
児童(生徒)の教育をつかさどる(学校教育法第37、49,62、70条)
教員免許状を有する(習得した内容で幼稚園教諭、小学校教諭、中学校教諭等になる)
「教諭」には、教員免許状による分類の他、主幹教諭や指導教諭を置く場合もある(学校教育法第37、49,62、70条)
ということがわかります。

教員採用試験を受験し、地方公共団体で任用されると、○○市立○○小学校教諭、○○区立○○中学校教諭、○○県立○○高等学校教諭などとなる、というのがわかりやすいでしょうか。

ちなみに「校長」は、小学校教諭や中学校教諭の免許状を有していても、「校長」という管理職になった時点で、「教員」には含まれないので、「教諭」でもないということになります。

「先生」はどんな時に使うのか

「先生」は、学校で使われることばかりではありません。医師や弁護士などに対しても使うことがありますよね。
「先生」は、「人名や官職名などの下につけて、または単独に用いて、その人に対する敬意を表す語「敬称」のひとつ」(デジタル大辞泉より引用)、と記されています。
たしかに、そのように使われていることが多いように感じます。

「教師」を使う場合

教師に求められる資質能力の再整理(文部科学省令和3年8月)」「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~「新たな教師の学びの姿」の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成~(答申)令和4年12月中央教育審議会、令和5年3月文部科学省更新」こういった資料で使われている「教師」。
これらの中では「教員」も使われています。

そういえば、文部科学省の「#教師のバトン」プロジェクトも「教師」ですね。
「教師」については、これまでも、いろいろ調べてきましたが、公教育に関わる場合で使用するとしたときの、根拠にするものがみつけられていません。
文部科学省の資料にも使われているので、モヤモヤするとこではありますが、試験には全く関係ないので、今のところはそのまま、にしています。

今回の記事のまとめ

ということで根拠をもとにまとめです

その1
「教員と教諭」
「先生と教師」を分けて考えたほうがよい。

その2
「教員と教諭」の共通点
基本、教員免許状を有する

その3
「先生と教師」の共通点
広く一般的に使われる
学校教育だけに使われるわけではない

その4
「教諭」は、
教諭は児童生徒の教育をつかさどる
養護教諭は養護をつかさどる。
栄養教諭栄養の指導及び管理をつかさどる

その5
校長は教員免許状を有していても「教員」でも「教諭」でもない

教員採用試験では、その4とその5を覚えておきたいですね。

今回は、いろいろと使われていて気になってしまう「教員」「教諭」「先生」「教師」でしたが、再度調べてみたら、やっぱり「先生」と「教師」はモヤモヤしたままになってしまいました。
できれば公的な資料は、「教員」や「教諭」に統一してほしいな。


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この記事はnoteを始めたばかりなのに、たくさんの方に読んでいただきうれしかった記事です。




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