新!記野式:サクッと!ゲーム業界講座 11月前半号
こんにちは。日本でも衆議院選挙が終わり与党が過半数割れするという大きな変化が押し寄せる中、アメリカの大統領選では「またトラ」、つまりトランプ元大領領の返り咲きが決まりました。
接戦と予想されていたにもかかわらず、ふたを開けてみれば意外にもトランプ氏の圧勝で終わりました。アメリカ人の多くが「協調」ではなく「アメリカ第一主義」を選んだという結果でしょう。これはアメリカ国民でもない私がとやかく言うことのできないお話ですから、今後アメリカがどのような動きを取るのか見守るしかありません。
さて、今号のまえがきは今年のアメリカの年末商戦についてゆるーくお伝えしてみようかと思います。そのあと前半号恒例のイギリス市場週間ソフトウェアランキング、アメリカの最新WAUランキング、最新Steam週間ランキング、特集「VRアップデート」、「アメリカのゲーマー動向調査」、「プラットフォームアップデート」に続きその他のニュースへと続きます。
本記事での為替レートは1ドル=153円で計算しています。
<記野式まえがき:アメリカにおける今年の年末商戦>
いつもアメリカのセールスデータを供給してくれるCircana(旧NPD)ですが、そもそもCircanaはゲーム業界のセールスデータだけを扱っているわけではありません。アメリカにおけるさまざまな業界のセールスデータ、一般消費者の購買行動についての分析を行っており、ゲームのセールスデータもそのうちのひとつなのです。
今年のアメリカの年末のホリデーシーズンの消費者感情についておもしろい分析をしてくれているので紹介していきましょう。アメリカにおけるホリデーシーズンとは10月末のハロウィン、11月末のThanksgiving からのブラックフライデー/サイバーマンデー、12月のクリスマスまでの約2か月強に及ぶ小売店にとっての年末商戦時期のことを言います。
1.年末のホリデーシーズンにはいくら使う?
今年 2024年のホリデーシーズンに対するアメリカの消費者の感情と意欲は、過去2年間と比較して改善はしていますが、2021年のレベルにはまだ達していません。
Circanaによる毎年恒例のホリデーシーズンの消費者の購入意欲調査によると、アメリカの消費者が今年ホリデーシーズンに消費する金額は昨年より平均2%上昇する見込みとのことです。
アメリカの消費者は年末のお買い物に、ズバリ平均771ドル(約118,000円)を使う予定です。これは昨年より2%高いものの、2021年よりまだ2%低い金額です。
ただし、「このホリデーシーズンを楽しみにしている(64%)」や、「ホリデーシーズン中に買い物に出かけるだけでホリデー気分になる(57%)」と答えた消費者の数は、過去4年間で最高となっています。
Circanaの分析によると、第4四半期(Q1)になり消費者の気持ちは上向いており、その前向きな感覚を保とうとしています。アメリカの消費者にとっての経済的懸念は依然として存在しますが、それは和らいでおり、このホリデーシーズンの小売業界にとってチャンスととらえるべきとのことです。
2.消費は癒し
アメリカの消費者は、2024年のホリデーシーズンを「世界で起きているあらゆることからの休息」と捉えています(66%)。
困難な時期に他者に喜びをもたらすためにより多くのギフトを贈る予定だと答えた消費者(40%)と、「癒し」として自分自身へのギフトを買う予定だという人(28%)はいずれも昨年から増加していますが、2021年のレベルにはまだ達していません。
3.日頃の不安を打ち消すホリデーショッピングへの期待
2024年のアメリカは、インフレの影響で家庭における食料品や消費財の費用増大したためホリデーシーズンの出費に影響を与えると答えた消費者が62%を占めました。しかしながら57%の消費者が今後の自分の懐具合に前向きな感情を抱いています。これは昨年よりも良い数字です。
市場経済状況についても前向きに感じている消費者も増えており、その割合は36%です。しかしながら、消費者の30%前後は、年末の購入決定に大統領選挙が影響すると答えています。う、トランプさんはどう影響するんだろう?
4.買うか買わないかはプロモーション次第?
アメリカの消費者の37%は、セールやプロモーションの対象となっている商品を購入する予定だそうです。今年の夏のプロモーションイベントでもその傾向は顕著でした。約4分の1(24%)の消費者は、ブラックフライデーのプロモーションを心待ちにしているようで、過去4年としては最大の期待値となっています。
調査では、消費者の半数以上がインフレによる生活費増加により、今年のホリデーシーズンには出費を減らす予定だと述べています。しかしながら、節約のために普段とは異なる店舗で買い物をする可能性があると答えたのは13%にとどまっています。
まとめると、2024年のホリデーシーズンはインフレによる出費抑制の可能性は否めないものの、消費者はこのホリデーシーズンも価値を求め続けていて、年末商戦、特にブラックフライデーにおける小売店側のセール、プロモーションによっては消費者が価値感を見出し購買意欲を湧きたてる可能性が高い!ということです。
アメリカでは1年の消費の半分以上がこのホリデーシーズンに費やされるという統計もあるくらい大きな「商戦」です。大統領選挙の結果がどう影響するのかも含めて消費指標を見ていくのもおもしろいかもしれません。
<イギリス週間ソフトランキングTop10(2024年10月27日~11月2日)>
2024年10月27日~11月2日(第44週)のイギリスのパッケージソフトウェアの週間売上ランキングTop10が発表されていますので、見ていきましょう。いつものことですが、本データはアメリカのCircanaデータの売上額ベースのものではなく売上本数のランキングとなっています。また、デジタル版は含んでいませんのでご注意くださいね。
GfKによると、『Dragon Age: The Veilguard(ドラゴンエイジ:ヴェイルの守護者)』がイギリスの小売ランキングで3位に初登場しました。
今週は他にも6つのゲームがトップ40に初登場しています。
『The Sims 4: Life & Death』が7位、『Life is Strange: Double Exposure(ライフ イズ ストレンジ:ダブルエクスポージャー)』が9位、『Monster High: Skulltimate Secrets』が17位、『My Universe: Pet Clinic Cats & Dogs』が27位、『Horizon Zero Dawn: Remastered』が30位、そして『Poppy Playtime Triple Pack』が37位にランクインしました。
『Call of Duty: Black Ops 6(コール オブ デューティ:ブラックオプス6)』は発売2週目も1位を維持し、『EA Sports FC 25』も2位を保っています。
『Hogwarts Legacy(ホグワーツ・レガシー)』は1ランク上がって4位、『Super Mario Party Jamboree(スーパーマリオパーティ ジャンボリー)』は1ランク下がって5位となりました。
『Mario Kart 8 Deluxe(マリオカート8 デラックス)』は1ランク上がって6位、『Nintendo Switch Sports』は8位を維持、そして『Super Mario Bros. Wonder(スーパーマリオブラザーズ ワンダー)』は8ランク上昇して10位に返り咲きました。
<WAUで見る!アメリカ市場ゲームソフトTop 15ランキング!(2024年第43週:10月20日~10月26日)>
Circanaが10月20日~10月26日のWAU(Weekly Active User:週間アクティブユーザー数)ランキングを発表しているので紹介します。
WAUですので売上高ではありません。どのゲームがその週に一番稼働しているのか?つまり遊ばれているのか?というデータです。本編売上のみのアプローチとなっているCircanaの通常データよりも生きたデータと言えます。
プラットフォーム別に見ていきましょう。
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