記野式:サクッと!ゲーム業界講座 6月後半号
こんにちは。沖縄以外の緊急事態宣言はなんとか解除…あれ、でもまん延防止等重点措置に切り替わってる…。7時までですがお酒が飲めます、ってそんんな早くから飲みに行けるわけないじゃんね!怒。
今月は先月と違ってアメリカ市場データNPD速報が早々に届いています。こちらをお届けしつつ、中旬に行われたオールデジタルのElectronic Entertainment Expo(E3) 2021 からレポートしたいと思います!
この号の発行直前にNewzooが世界のモバイルマーケット情報をアップデートしてくれましたのでこちらも特集してみます。
今回の為替レートは1ドル=111円、1ポンド=154円で計算しています。
<記野式まえがき:E3について語る>
ゲーム業界の方ならもちろんご存じでしょうけど、世界最大のゲームの見本市(業界向けということあれば世界一だったんです!)Electronic Entertainment Expo(E3)。
1.E3 2021を軽くレポート
本年のE3 2021はオールデジタルで6月12日~15日で行われました。
毎年、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市内のLos Angeles Convention Center(LACC)で行われていたんです。下の写真は2019年のE3 2019のものです。
2020年は新型コロナ感染拡大の影響で、E3もご多分に漏れずリアルショーはキャンセルされました。今年は早くからE3 2021は「リアルショー」をやろうとしていたんですがこれも断念。結局オールデジタルのショーになりました。
E3 2021における記事はたくさん出ていますので詳しくはそちらをご覧ください。ココではMicrosoftと任天堂のプレスイベントの特記事項だけ軽くレポートしますね。
ソニーはデジタル移行後も引き続きE3には参加していません。ソニー独自のデジタルイベント「State of Play」を定期的に展開していますから、情報が出ないってことはないんでしょうけど、なんだか寂しいですね。
(1)Microsoftが冷蔵庫?
現地時間6月13日10時よりデジタル配信されたXbox &Bethesda Games Showcase。実は今年はXbox ブランドが立ち上がって20年記念の年なのです。
しかしながら、そんな話は大きく取り上げず、イベント名にはBethesdaがXboxと並んでつけられているところを見れば、去年行われた巨大な買収劇がMicrosoftにとってどんなに大事だったかがわかりますね。
この記事でも再三取り上げましたが、MicrosoftはXbox Oneでの失敗は「ソフト」だったと認めており、Xbox Series X|Sの発売に向けてエクスクルーシブタイトルへの投資を積極的に続けてきました。
そんな中、Bethesda開発のオリジナルタイトル『Starfield』がXboxエクスクルーシブで発売されるとの発表がありました。
MicrosoftはBethesda買収劇のさなかに「ほかのプラットフォームへの発売は阻害しないつもりだ」と言ってたのに、結局Xboxエクスクルーシブかよ!との文句がユーザーから上がっていましたが、これが…75億ドル(約8,250億円)の買収のパワーなのです。
Bethesdaのマーケティング担当の偉い人から「PlayStation プレイヤーには遊んでもらえなくなってしまってごめんね」との声明は出ていますが、ビジネスはビジネスなのでやむを得ないかと…。
今回のイベントではトータル30本のゲームを発表したのですが、そのうちの27本は同社のサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」にアップされるとのことです。また、年末商戦に発売される『Halo Infinite』、『Forza Horizon 5(フォルツァ ホライゾン 5)』を含む1stパーティタイトル5つをはじめ、新作ゲームを毎月追加していくとも発表しています。
そして…新ハードウェアの発表が!
Xboxは、Twitterが実施したキャンペーン「#BestOfTweetブランドチャンピオンシップ」において、キャンディのブランド「Skittles」との勝負をしていました。このキャンペーンの締切間際に、XboxのマーケティングトップのAaron Greenberg氏が「Xboxが勝ったら、Xbox Series Xのミニ冷蔵庫の生産を開始するぞ。エイプリルフールじゃないぞ!」とツイートしたんですよ。
そしたら、もう大変。1%の僅差でXbox勝利!ってことでMicrosoftは「Xbox Series X Fridge(冷蔵庫)」の生産に入った模様。小売価格は「Xbox Series X」と同じ499ドル(約55,000円)という説とまだ未定との説がありますが、私はちょっと買いたいなと思ってしまいました。笑。
元々Xbox Series Xが冷蔵みたいだ!と揶揄されたのがこの話の始まり。こういう遊び心って大事よねーって思ったりして。ということで怒涛のソフト紹介とXbox Game Passがさらに魅力的になってる件と冷蔵庫のお話でした!
(2)任天堂
現地時間6月15日午前9時よりNintendo Directの配信が行われました。
前号に書いたのですが、Nintendo Switchの新型が9月とか10月ごろ登場する!という発表が今回のE3 2021のNintendo Directで行われると予想されていました。が、実際には何も触れられず…。きっとまもなく発表があるはずですからもうしばらくお待ちを!
でも新しいハードの話ありましたよね?笑。
『The Legend of Zelda Game and Watch(ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説)』ですね。ゼルダの伝説35周年記念のレアものと思われます。2021年11月12日に発売で、価格はアメリカが49.99ドル(約5,500円)、イギリスが44.99ポンド(約6,930円)、日本が5,480円(税込)とのことです。
さて、配信内容ですが、まぁ怒涛のソフトウェアラインナップでしたね。1stパーティだけでなく3rdパーティさんのNintendo Switch向けタイトルもたくさん発表されていました。
ココではやはりNintendo Switchをけん引した『Legend of Zelda: Breath of the Wild(ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド)』の続編の発表に触れておきますね。
正式なタイトル名は未定のようですが2022年の発売を目標に開発を進めているようです。
2.E3 はオワコンとはこれいかに?
そもそも「EXPO」見本市ってことですから、E3は業界関係者向けのイベントだったわけです。ユーザー向けを兼ねた東京ゲームショウやドイツのケルン市で行われるGamescomなどとは意図が違うイベントなのです。
事務局のEntertainment Software Association(ESA:日本で言うCESA)が運営をするこのショーですが、最後の2019年には66,100人が参加しました。
実はE3は2019年の時点でソニー、Microsoft、Electronic Arts(EA)、Activision Blizzardなどの大手メーカーが出展していませんでした(今年のデジタルイベントではMicrosoftは出展していましたけどね)。オワコンだったのです…。もはや私が知っているE3ではなかったんです。空きスペースしこたま(笑)ありました。
これはもちろん主催のESAのやり方が悪いから、出展料がものすごく高いから、などといろいろという人がいて、それはその通りなんでしょうけど、実はメインの理由はもっと単純です。ましてや新型コロナ感染拡大がE3の縮小をもたらしたというのは間違いです。致命傷を食らわせることはあっても…笑。
そもそもE3はメディアおよび小売店、バイヤーなどに向けて行っていたものです。メーカーが年末商戦に向けてどういう商品を発売するかの発表の場だったのです。各ブースでは初出のタイトルがプレイできるようになっていて、メディアはそこで新作のゲームをプレイしてレポート、小売店のバイヤーはゲームを直に見てどれだけオーダーするか考えていたわけです。
3.Internet killed the onsite show
1980年のヒットソングで『Video killed the radio star(ラジオ・スターの悲劇)』を思い出してしまいました。この曲はテレビなどの映像がそれまで主流だったラジオのスターを消してしまったという歌詞なのですが…
Internet killed the onsite show… E3はインターネットにやられてしまった、と言えるでしょう。
長い間ゲームソフトは物理的な媒体(ROMやカートリッジ)で提供されていました。ところがインターネットが普及したおかげで、メディアはメーカーがネット上で特別に配布してくれるデータで開発中のソフトをプレイさせてもらえるようになったのです。
また、ストリーミングを見れば自宅でも職場でもリアルタイムで新しいソフトの情報はゲットできるので、発表の場にわざわざ出かけて行かなくてもよくなったのです。
では小売店のバイヤーさんはどうなのでしょう?はい、彼らもデジタルでゲットできるという意味では同じです。が、それよりも、小売店のバイヤーさんはゲームメーカーのターゲット顧客なのでしょうか?
4.Internet killed the retail stores
AmazonなどのECサイトがリアル店舗の存続を脅かしているという話はかなり前から聞かれていますが、ゲームを含むソフトウェアに関してはさらに話は進んでいます。
映像ストリーミングの話もそうですがソフトウェアは物理的なパッケージでなくてもインターネットを介して購入することができるようになってしまったのです。つまり、メーカーからすれば、小売店を挟まずともユーザーに直接販売ができるようになり、営業する先は小売店ではなく個々のユーザーにシフトしてきているのです。
B to Bの時代から B to Cの時代になったってことです。となると、EXPO、つまり業界関係者ショーは存在価値を失いつつあります。ましてや出展に数十億もかかるようなイベントに参加したうえ、プレスイベントやパーティを行い、大量の社員をその場所に移動させなければならない価値があるのか?とと言えば…否ってことです。
その金額を使えるならトレードショーではなくユーザーショーを。ユーザーショーよりもオンラインで全世界のユーザーに向けてデジタルイベントを個々のメーカーが行ったほうが効率も良いのです。
ってことでE3を語る、相変わらず長めのまえがきにお付き合い賜りありがとうございました。笑。
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