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モラル・パニック

先日,ポーランドの社会学者の講演を聴く機会があった.テーマは,増大したイギリスにおけるポーランド移民とその排斥に関するもので,この現象に対して「モラル・パニック」という概念を用いて分析がなされていた.モラル・パニックとは,簡単にいうと,モラルに反するような現象が見られたときに,それに対して激しい反応が見られることで,それはしばしば特定の対象への攻撃や排除に結びつくものである.おもに犯罪学などで使われている概念のようだ.

イギリスの社会学者Stanley Cohenの1972年の著作,Folk Devils and Moral Panic: the creation of the mods and rockersでこの概念は展開されているが,この本ではそのサブタイトルにあるように,1960年代のイギリスの若者モッズとロッカーズが,反社会的な存在とみなされ,いかにしてマスコミ等の報道によってそれが煽られたのかを分析したものであるが,その分析用具としてモラル・パニックという概念が用いれられている.

正直なところ,モラル・パニックという概念はこれまで知らなかった.だが,人々の不安の高じた現代社会では,不安が故にを攻撃する現象がたたみられており,この概念を上手く使うことができるのではないかと思う.

この概念について調べる過程で,牛渡亮さんという方の「スチュアート・ホールのモラルパニック論」https://www.jstage.jst.go.jp/article/tss/42/0/42_73/_pdf/-char/jaという論文を見つけた.


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