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最近の記事

ウィリアム・モリス展

高岡市美術館(3月19日(日))  昨年,この美術館でバンクシー展が開催されたが,その時には地方の美術館とは思えないほど長蛇の列になっていて驚いたものだが,今回は開催2日目の日曜でも,ほどほどの人で,もちろん落ち着いて鑑賞することができた.  近年,ウィリアム・モリスの思想,社会運動に関心を持ち,勉強していたが,デザイナーとしてのモリスや,その人と私生活については詳しく知らなかったので,勉強になった.  資本主義の問題を乗り越えるために,「生活のなかの美」ということについて

    • バンクシーって誰?展

      11月20日日曜日に、高岡市美術館で開催されたバンクシー展を観に行く。混雑しているという噂を聞いたので、9時30分開館にあわせて行ったのだが、すでに長蛇の列ができており、驚いた。 展覧会は作品数からしても、ほぼ1時間ですべてを観終わるぐらいでした。 バンクシーは、数年前にアムステルダムを訪れたさいにちょうど展覧会が開催されていて、その地でけっこうの作品を観たことがあります。 それにしても、地方都市の美術館にこんなに人が集まるなんて、バンクシーはそんなに知名度や人気があっ

      • 人類の社会性の進化

        山極寿一・本郷峻『人類の社会性の進化(上)(下)』 前京都大学総長で,著名な霊長類学者として知られる著者とその弟子?による著作で,人間の社会性がどのように獲得されてきたのかが霊長類学や人類学の知見に基づいて記述されている. 一般読者向けのものなのでとてもわかりやすいが,iCardbookという独特な形式がとられた出版物である.すなわち,非序に多くの項目から構成されているが,それぞれの項目はごく簡単な記述からなっている.京大式カードというものがあるが,カードをまとめて一冊の

        • ゲンロン戦記

          若くして著名になった批評家の東浩紀が大学を辞めてから主要な活動の場としたゲンロンという会社での悪戦苦闘を描いたものである.ご本人が語っているように,さまざまな失敗について反省的に述べられている. 知識人の身の振り方として,なかなかそのような選択をする人はいないと思うが,もちろん考えがあってそのような選択がなされたこととは思うので,とても興味深い. ゲンロンはその名の通り,さまざまな言論活動を組織するものである.いまではその一つの柱となっているのが,ゲンロンによって運営され

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        • 哲学
          1本

        記事

          モラル・パニック

          先日,ポーランドの社会学者の講演を聴く機会があった.テーマは,増大したイギリスにおけるポーランド移民とその排斥に関するもので,この現象に対して「モラル・パニック」という概念を用いて分析がなされていた.モラル・パニックとは,簡単にいうと,モラルに反するような現象が見られたときに,それに対して激しい反応が見られることで,それはしばしば特定の対象への攻撃や排除に結びつくものである.おもに犯罪学などで使われている概念のようだ. イギリスの社会学者Stanley Cohenの1972

          モラル・パニック

          武器としての「資本論」

          白井聡, 『武器としての「資本論」』東洋経済新報社. 『永続敗戦論』以後,左翼陣営の旗手として脚光を浴びるようになった著者による資本論入門.それほど多くを読んでいるわけではないので,他の多くの資本論入門と比べることはできないが,比較的わかりやく書かれているように思う.そのわかりやすさは,現代の現象を具体例として取り上げていることによるもので,その辺りは巧みに処理されている.とりあえず手に取ってみて,『資本論』への手掛かりを得ようとするにはよいと思う. おりしも,株価の急騰

          武器としての「資本論」

          演劇の思想 鈴木忠志演劇論集成

          先日,SCOTのウィンター・シーズンも公演を観に行ったのですが,ほどなくして『演劇の思想 鈴木忠志演劇論集成」を送っていただきました. 利賀村でのSCOTの公演は,観劇料ではなく,寸志を差し上げるという形になっていますが,そのお礼と言うことなのでしょうか.公演を観せていただいたうえに,このような立派な書物もいただき,誠にありがたいことです. また今年も利賀村を訪れることができることを願っています.

          演劇の思想 鈴木忠志演劇論集成

          レコード・コレクターズ2020年12月号

          特集は大貫妙子さん.大貫さんのインタビューも含まれているため,購入した.内容はインタビューの他に,数名の方の批評や,ディスコグラフィーからなっている. 最近は,日本のいわゆるシティ・ポップが一部で関心を集めているようだが,私自身も大貫さんの近年の作品よりも,どうしても初期から中期の作品群を好んで聴いてしまう. 10数年,大貫さんのコンサートはそれなりに訪れている方だと思うが,昨年は,ここ数年,夏の八ヶ岳で開催されているコンサートに行ったのみである.このコンサートは,そもそ

          レコード・コレクターズ2020年12月号

          SCOT ウィンターシーズン 2020

          2020年12月27日に,鈴木忠志率いる劇団SCOTの,利賀村での公演を観る.夏に続いてだが,この時期の利賀村はすでに雪一面の世界.安全を期して,自家用車ではなく,富山駅からバスを利用した. 演目は,「ニッポンジン」と「世界の果てからこんにちはII」.昨日と本日の2回だが,観客は99名に制限されていた.夏とは異なり,さすがに屋内での公演だった.屋内での公演ゆえ,「世界の果てからこんにちは」での花火はなかった. 両作品とも,戦後日本社会の諸問題を浮かび上がらせたもので,特に

          SCOT ウィンターシーズン 2020

          英文「超」精読

          富岡英敬, 2018, 英文「超」精読, テイエス企画. 英文が正確に読めているのかは,今でもとても気がかりである.なんとなく読めているつもりではあるのだが,それは単にわかったように,都合よく理解しているだけではないのかという不安がつきまとっている.そこで,もう少し正確に英文が読めるようになりたいと思い,購入した一冊である. この本では,わたしの懸念した読み方が「忖度型つぎはぎ上手」として指摘されている,英文の構造を正確に理解することなく,自分に理解可能な形で勝手に解釈し

          英文「超」精読

          社会的なものの発明

          Donzelot, Jacques, 1984, L'invention du social: Essai sur le declin des passions politiques, Librairie Artheme Fayard(=20020, 真島一郎訳『社会的なものの発明』インスクリプト) フランスの社会学者の著作.フーコーの影響は色濃くあるが,フーコーに対する批判意意識も持って書かれたものである.題名の通り,社会的なるもの,特に福祉国家がいかに形成され,機能して

          社会的なものの発明

          イケダワイナリー 甲州遅摘み

          山梨県甲府市の駅近くにあるワイン専門の酒屋で購入.非常に多くのワインがおかれていましたが,山梨のものからおすすめを選んでいただいたうちの一本です.甘口ですが甘ったるくはなく,爽やかでありながら味わい深い.いろいろな用途で用いることができる,コストパフォーマンスの高いワインだと思います.

          イケダワイナリー 甲州遅摘み

          私たちはいまどこにいるのか

          小熊英二, 2016, 『私たちはいまどこにいるのか』, 毎日新聞出版. 『単一民族神話の起源』や『民主と愛国』『1968』の著書で知られる社会学者がさまざまな機会に発表した時評集. 目次

          私たちはいまどこにいるのか