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怒っちゃいけないの?ー娘のひと言が教えてくれたこと
「怒っちゃいけないの?」
これは、娘が癇癪を起こしたとき、なんとか娘を落ち着かせようとした私に向けられた言葉です。
長女は言葉の遅れがあり、泣き叫ぶことで気持ちを伝えようとします。冒頭の娘の問いかけに、私は「怒っていいんだよ」と返します。
私たちはどんな感情を抱いてもいい
そもそも、湧き上がる感情自体は制御できません。だからこそ、その感情にまず自分自身が気づき、認めることが大切です。それが、感情を適切に扱う最初の一歩。
しかし、怒りや悲しみといった感情を抑え込んでしまうと、ストレスが積み重なり、やがて「爆発」したり、「心身を蝕む」ことにつながります。だからこそ、湧いてきた感情を上手にリリース(手放す)することが必要なのです。
とはいえ、感情をうまく伝えることは簡単ではありませんよね。私は長年、怒りやストレスを飲み込んでしまう癖がありました。娘だけでなく私にとっても難しい課題です。
「これを言ったら相手を傷つけるのではないか」
「悲しませたくない」「嫌われたらどうしよう」
そんな思いが瞬時に浮かび、感情を丸呑みしていました。
そんなふうに、感情を飲み込む癖がある私ですが、実は昨年末からずっと胃の不調が続いていました。しっかり治したいと思っていたときに、アントロポゾフィー医学の書籍で次のような内容を見つけました。
胃はあらゆる心の揺れに対して敏感な臓器。胃の機能は感情と結びついています。胃の患者は充分に消化させずに、すべてを自分の内側に飲み込みます。そして緊張してこわばり、自分を解放することができません。
怒りとストレスは会話を通じて処理されるべきです。
『オイリュトミー療法の基本要素』マルガレーテ・キルヒナー・ボックホルト著より要約
これを読んだとき、「まさに私の課題だ」とハッとしました。
娘の癇癪に対し、私も「いい加減にしなさい!」と怒りで返してしまうことがあります。昨晩も、娘に「おもちゃを片づけなさい」と言ったら、「雑用(chores)をしなきゃいけないの?」と返され、その言葉に過剰反応し、「私はみんなのchoresをやるためにこの家にいるのではない!」と怒りを爆発させてしまいました。
でも、これは「会話を通じた処理」ではなく、一方的に感情をぶつけただけ。娘と同じように、私も癇癪を起こしたのです。
「怒っちゃいけないの?」という娘からの問い。
かつての私はどこかで
「怒ってはいけない」
「いつもニコニコの母でいなければ」
「いつもいい人でいなければ」と思っていました。
それなので、娘に怒ってしまったときなど、自己嫌悪に陥ったりしていました。
でも、今は違います。まずは怒りの感情に気づき、それを認め、受け止める。そして次のステップとして、「怒りを言葉にして、相手に伝える」ことが必要なのだと分かりました。
娘も学びの途中ですが、私も同じです。
「癇癪を起こしちゃうこと、あるよね。でも、叫んでしまうと他の人はびっくりしてしまうし、助けたくても助けられない。だから、言葉で伝えてみようか」
こんなふうに、娘にも自分にも言い聞かせていこうと思いました。
家族は学びの場。親も子も、共に成長する。失敗しても、そこから学べばいい。
そう思えたら、少し肩の力が抜けました。
完璧な親でなくてもいい。感情と向き合いながら、言葉で伝えることを少しずつ練習しよう!
今日もまた、娘と一緒に学んでいこうと思います。