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よければ一緒に ~KANちゃんのこと③~
12月30日。今年がもうすぐ終わる。
何年も前から、レコード大賞は12月30日の放送になった。
でも、32年前は大晦日。
当時はまだ、大晦日にレコード大賞も紅白歌合戦も放送されていて、
チャンネルをあちこち変えながらテレビを見ていたものだ。
我らがKANちゃんは今年、「特別功労賞」に選ばれたらしい。
何というか、複雑である。喜んでいいのか?
亡くなったアーティストが受賞する賞である。
しかし…今年は本当にたくさんのアーティストが星になられた。
まさか、自分の推しがそこに含まれるとは思ってもみなかったけれど。
親交のあったスキマスイッチが「愛は勝つ」を歌ってくださるとのこと。
どんな演奏になるのか、楽しみにしている。
あ、録画しておかなければ…と思ったら、すでに自動で予約されていた。
そうだ、我が家のレコーダーには「KAN」というキーワードを入れていたのだった。
そんなことで、ちょっとシンとした。
実は私には推しが何人かいるのだけれど、
皆、好きになった瞬間というのがハッキリしている。
KANちゃんの場合は、1991年の大晦日。
レコード大賞を受賞され、歌う姿に一目惚れした。
エンドロールが流れるその奥の、ウルッとした目でカメラを真っ直ぐに見た、その瞬間に恋に落ちたのだ。
確か、掃除の仕上げをしていただんだか、夕食の準備を手伝わされていたんだか、そんな時に「大賞が決まるから」と手を止めて、テレビを見つめていた、その時だ。
まさか、そこから32年の間、自分の人生の第一位に君臨するアーティストになろうとは。
あの日から、ずっと心の中にKANちゃんがいる。
本気で「結婚したい」と思っていた人だったわけで。
(そこは、aikoさんと気が合うかもね)
オバさんになってしまった今でも、KANちゃん、KANちゃん言っているなんて、高校1年生、15歳の私には想像も付かなかっただろう。
32年経った今、15歳のあの大晦日の私に言いたいのは…
あなたの感覚は間違っていなかったよ。
素晴らしいアーティストを好きになって、そのおかげで、いろんな世界を見せてもらえたよ。
KANを好きになるなんて、とんでもなくハイセンスだよ。
15歳のワタシ、ハイセンスだ。それは誇れること。
1月2日から開店していた、自宅から徒歩3分のレコード店(今も営業中)で、最初に買ったKANちゃんのCDは、
「プロポーズ/恋する気持ち」の両A面シングルだった。
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このCDを買って良かった。さらに深い沼へ落ちていくには、時間がかからなかった。
「プロポーズ」は、今でも3本の指に入るほどの名曲だと思っている。
本当は、まだ何年も何年も、ファン歴を更新していくはずだった。
いや、更新されていくんだけれど、そこにご本人が不在であることが、悔しく寂しい。
そんなことを本当は考えたくないのだけれど。
奇しくも、私がファンになったあの日の映像が、ご本人の訃報を伝えるニュースで、たくさん使われた。
あの日のことを思い出すと同時に、とてつもなく悲しい気持ちに襲われた。
なんなら、今、これを書きながらも、涙が止まらなくなっている。
あの日の映像を笑って見られる日が来るのだろうか。
(レコード大賞のあとに出演された、紅白歌合戦では、モーツァルトの扮装で登場し、度肝を抜かれた。しかし、歌っている姿が見えなくなり…いろんな意味で、インパクトありすぎの映像だった…)
今年もレコード大賞の放送日がやってきた。
そして、ファン歴32年の記念日を前に、書いてみた。
こんな拙い文章、オタクの独りよがりの文章に「いいね!」してくださる方がいてくださって、有り難いです。
こんな感じがしばらく続きますが、どうぞ引き続きよろしくお願い四万十川。