もしSaaSが日本で普及したら。
いま現在、チャネルトーク(Channel.io)とWalk Insightsという2つのプロダクトの日本展開を1年半ほどやっています。2つともいわゆるBtoB SaaSと言われる領域のサービスで、韓国を中心としたグローバルではトラクションがありますが、日本ではまだまだシード~シリーズA程度のアーリーステージです(と勝手に思ってます)。
2019年はSaaS(Software as a Service)が拡大するといった見込みが各所で言われているようで、日経でも取り上げられています。
また、こちらの記事ではBtoBのSaaSが日本の働き方改革や労働生産性に影響する点についても書かれています(書き手の方が提供されているSaaS、クラウドサインの1ユーザーとしては非常に共感)。
ただ、私個人としては、BtoB SaaSの伸びはそんなに目立っておらず、今年IPOするだろうZoomなどの海外SaaSに比べ、日本ではそもそもユニコーンすら生まれていないということに危機感(?)を覚えています。
なぜだろうかを考えると、やっぱりSaaSは目に見えづらい価値に対する費用を含む、特殊なプロダクトであるからだと思います。
PMF(Product Market Fit)を達成しても、それだけでお金を十分に生み出すことは難しいし、MVP(Minimum Value Product)はあくまでもミニマムなので、スケールするほど(使う人が多くなるほど)その魅力は低くみえてしまいます。
事実、うちのチャットサービスも最初の頃のものをみせてもらったときは”よくこれでお金払ってくれるところいたな”というレベルだったりします。(かといって、完成度が低いという意味ではなく、理想の製品とは程遠い、という意味に近いです。子どもは子どものままで完成はしているけれど、大人ではない、みたいな…?)
一方、日本はSI(System Integration、いわゆる下請けに近いかたちで顧客の要求に合わせてものを作る)文化が強いため、何かを利用するときはすでに必要なモノが出来上がっている、ということが前提として置かれることが多いかなと思います。(これは製造業における摺り合せの文化もある程度は響いているのかな、と個人的には考えますがそれはまた別の機会に)
実際に営業ミーティングなどでも「こういうことってできませんか?」という話をいただくことが多いのですが、そうしたくても物理的に実装できるのは半年後とかだったりします。
なので、わかりやすい価値だけで比べてみたらおそらくSaaSによる既存システムの代替は結構しんどい。ちょっと乱暴な図にするとこんな感じです。
不確定性に対する不安や未来に対する信頼の低さがあると、おそらく左の安心感にまさることはないでしょう。
逆に、SaaSを使いこなすには「いまはこれしかできないけど、この価格ならそれで十分だし、こういうふうにすればなんとかなる」という工夫で乗り切れたりできる必要があるので、結構頭を使わないと行けない≒システムにオペレーションをあわせる必要が出てきます。
大変だけど、何か変化を生み出している感はあるのかなと思います。(変えることが必ずしも是ではないが、「よくする」という意味だと捉えてください)
SaaSが普及することは、明日は今日よりよくなる、という未来志向的な空気の再来になるかもしれない。そんなことを考えながら働く日々です。
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