開業169年の鉄道一流国インド🇮🇳から見た開業150年の鉄道三流国日本🇯🇵⑤鉄道1.5流国スペイン🇪🇸の挑戦と限界
こんばんナマステ💚💚🧡💙💙❤️Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️
新橋(現汐留)ー横濱(現桜木町)間に日本初の鉄道が開業して150年になる10月14日からこの話をやっているんだけど、今考えればそれは大失敗だったかも。
なぜなら日本人は記念日に向けてムードを物凄く高めるのに、記念日が過ぎるとムードが霧消してしまうから。
クリスマスだって当日より前日が盛り上がるじゃん🎄
まあ、祝賀ムードに水を差す話をしてるわけだから、あえて時期をずらしたことで、みんなの空気を壊さずに済んでいるのかもね。
さて、日本は鉄道大国だというムードのなかで、三流であり150年の鉄道史を「失われた150年」とぶった斬ったなかで、
世界標準よりスペックの低い1,067㎜のケープ=ゲージを採用して放置してきたこと、
それでも、ケープ=ゲージに統一してきた意味はあったのに、新幹線や近鉄がネットワークをぶち壊してきたこと、今度はインドに日本の新幹線が入ることでネットワークが壊されることを問題視してきた。
今回は前回の話について視点を変えてみたい。
それはレールの幅が違えば列車は原則として直通できないということ。
それはあくまでも原則であって、裏技は存在しているしインドや日本でも採用しているものもある。
その裏技は3つ存在する。
1つは台車を変えてしまえばいいというもの。
自分も1,435㎜スタンダード=ゲージの中国🇨🇳と1,520㎜ロシア=ゲージのモンゴル🇲🇳の国境である二連浩特(エレンホト)で見たことがあるんだけど、
面白いけど時間がかかるし、少なくても新幹線から在来線に乗り入れるようなものには使えない。長距離国際列車ならでは。
運転距離10,000kmを超える世界最長の列車である平壌🇰🇵ーモスクワ🇷🇺間の列車はこれをやらなければできない。
ただ、将来的に新大阪でリニアから山陽新幹線でこのようなことが考えられている噂は聞いたことはある。
乗り換えより早くはならないけど、座席に座ったままで1時間以内で終わるんだったらそれなりの効果はある。リニアと東海道新幹線では東京大阪で1.5時間も違うからさ。
次に両方の車両を通せる線路にしてしまえばいい、というものがある。
こんな感じにさ。
デュアル=ゲージ、日本語では三線軌条というんだけど、
やろうと思えばこんなクレイジーなやつだってできる。
こんなクレイジーなことするやつ、どこのどいつだ⁉️
そうだよ、ドイツだよ🇩🇪
デュアル=ゲージは世界中で用いられていて、昨日ちょっと槍玉に上げたバングラデシュ🇧🇩では結構よく使っている。
インドでも世界遺産ダージリン=ヒマラヤ鉄道の始発駅であるニュー=ジャルパイグリ駅から途中のシリグリ駅までは1,676㎜のインディア=ゲージと610㎜のナロー=ゲージが共用する区間があるし、
日本では北海道新幹線と貨物列車が共用する青函トンネルが特に有名。
実際、山形新幹線や秋田新幹線はどうしてこれにしなかったのか、という批判が出た。
それに対して、JR東日本はメンテナンスが大変なのと、細くなってるところに雪が詰まりやすいということを理由にした。
3本のレールのうち新幹線と在来線の両方が使うレールはものすごい酷使されるので、均等にメンテナンスをすればいい通常のレールとはわけが違うのね。
秋田新幹線ではごく一部だけデュアル=ゲージにして新幹線列車同士が円滑にすれ違えるようにしている。
昔は小田原から箱根湯本までもデュアル=ゲージで、ロマンスカーを含む小田急電車と登山電車が両方走っていたけど、駅のホームと車両の隙間が大きくできて小学生が転落した事故が起き、取りやめてしまった。
ただし車庫が湯本の手前の入生田にあるため、入生田と湯本の間だけは今でもデュアル=ゲージになっている。
以上見てきたように、直通区間が限定的であること、メンテナンスが面倒なこと、北国では雪が詰まりやすいこと、車両の位置調整が面倒でホームと車両の間に隙間が空きやすいことといった難点がある。
それからね、それが直線であればいいんだけど、曲線になると狭い方のレール、つまりスペック低い方のレールの性能に合わせなきゃいけないという難点もある。
線路ってカーヴする際、遠心力を逃すために競輪場みたいに傾けるのね。
これをどれくらい傾けるのかをカントっていうんだけど、線路の幅が広いほど傾きを大きくできる。体幹を鍛えている人ほどアクロバティックな動きができるでしょ。線路の幅がそれに当たるのね。
レールを共用していると傾きを小さくせざるをえないので、本来期待できるコーナリングができなくなり、青函トンネルはそれを逆算して東北・北海道新幹線の地上区間よりカーヴを緩くしてある。
第一の方法、第二の方法、どちらにも難点はあり、それを克服すべく立ち上がったのがスペイン🇪🇸。
スペインは1,668㎜のイベリア=ゲージを採用しているため、スタンダード=ゲージのフランス🇫🇷との間には乗り換え、積み替えが発生していた。
じゃあどちらも乗り入れられる車両を造っちゃえばいいということで、本当にそれを実現してしまった。
スペインは線路の幅が広いので、カーヴを曲がる際に車輪の摩擦が大きくなって摩耗が激しくなる。
そこでタルゴというメーカーは車軸を取り払って、左右の車輪が別個に回転するようにして克服できるようにした。
もうひとつ車軸がなくなったことで車高を低くでき、低重心化でコーナリング性能が上昇するメリットもあった。
タルゴの初期構造ですら天才の所業だけど、これが開発された1948年の時点でフランスとの直通なんて頭になかった。
だけど、もしかしてこの構造は異なるレール幅の直通ができるんじゃないかって思いついて1968年に鉄道史の奇蹟を起こしてしまう。
同時期に競合メーカーも異なる幅を直通できる軌間可変列車を開発しているので、コロンブスの卵って一度割れちゃえばそこからは速いのね。
だから別にタルゴはイコール軌間可変列車ではないし、タルゴ以外の競合メーカーでも軌間可変装置をつけた列車を開発している。これをわかってない人が多い。
実はインドでもタルゴの車両を輸入している。それはタルゴのコーナリング性能に着目したもので、軌間可変が目的じゃないんだよ。
モディ首相が阿呆な決断をしなければ、そんなものインドに必要ないんだしさ。
1992年にスペインは初めての高速鉄道専用線であ
AVEをマドリードとセビージャの間で開業させるんだけど、こともあろうにスタンダード=ゲージで開通させてしまった。
セビージャ万博に間に合わせたいという意向で、フランスの技術をそのまんま持ってきたことに原因がある。
1日でも早く開業させるために、長い目で見て禍根を残す決断をしたのはインドと状況は同じ。
将来的にフランスとの直通を考えて、というんだけど、それならフランスとの直通に軌間可変技術を使えばよかったんじゃないのか。
かくして日本の新幹線に代表される世界の高速鉄道専用線は今のところすべてスタンダード=ゲージで造られており、スペイン、ポルトガル🇵🇹、アルゼンチン🇦🇷、そしてインド🇮🇳といったブロード=ゲージ圏はスタンダード=ゲージの高速鉄道を選択した。アルゼンチンは経済破綻で頓挫したけど😭
唯一の希望はロシア🇷🇺で、在来線でも250km/hを出しているけれど、さらなるスピードと輸送力を求めてロシア=ゲージでの高速鉄道専用線を建設する予定。
さて、在来線と互換性を有しないAVEを敷いてしまったスペインだけど、翌1993年にはもうそれが解決することになる。
AVE完成前から200km/hで走っていたタルゴ200がAVEからコルドバで在来線に乗り入れるマラガ行きの列車を設定し、さらにセビージャの手前で在来線に乗り入れてカディス、ウエルバとアンダルシアの主要都市に次から次へと路線網を伸ばしていった。
ただし、全線AVEを走るセビージャ行きは300km/hで走るのでその差はあったけど、それでも利便性は急激に向上した。
途中で分岐するマラガはまだいいとしても、カディスやウエルバなんて確実にセビージャで乗り換えさせた方が早いのに、それでも乗り換えがないことをカディスやウエルバの人は喜んだ。
1993年というと前年に山形新幹線が開業して、その光と闇が明確になってきた頃だから、日本人は大きなショックを受けた。
そしてこの年に既に住友金属工業がタルゴの軌間可変車軸のライセンスを受け、翌1994年には鉄道総合研究所で軌間可変列車の研究開発が始まった。
そしてそれはフリー=ゲージ=トレインの名で試験車の製造までは進み、佐賀県が新鳥栖ー武雄温泉間の建設を徹底的に拒んでいる西九州新幹線(当時は長崎新幹線と呼ばれてたけど)に投入する予定で動いていた。
しかし複数の車両から損傷が見つかり、構造に無理があることがわかって開発は頓挫。西九州新幹線は博多ー新鳥栖間での在来線経由と武雄温泉での乗り換えを余儀なくされることになった😨
そもそも軌間可変装置はモーターのない客車用に開発されたもので、現在はモーターと軌間可変装置を両立したものもあるけれどもスタンダード=ゲージに合わせるのとケープ=ゲージに合わせるのではモーターの大きさが異なる。
可変度合いの違いも大きくて、イベリア=ゲージを100%としたときにスタンダード=ゲージは86%、これに対してスタンダード=ゲージを100%としたときにケープ=ゲージは74%。
また地盤の軟弱な日本では軽量化も求められた。
こうしたことから無理が生じたのね。
そうでなくても、フリー=ゲージ=トレインは本当に走れたのか怪しい。
山陽新幹線の300km/hに対して270km/hまでしか出せずダイヤの邪魔になるばかりか、かつ通常の新幹線車両より重くて線路を傷めるためJR西日本は乗り入れに難色を示していた。タルゴよりは徹底的に軽くしたけどそれでも重かったのだ。
また、台車の性能が低いことや、遠心力を逃すための車体傾斜機能も付いておらず在来線では既存の特急より遅かった。
タルゴは秒殺でモード=チェンジが終わるのに、フリー=ゲージ=トレインは5分かかるというのも酷い。現在、武雄温泉での乗り換えは3分に設定されている。
ミニ新幹線だって以前はフル規格の新幹線より遅かったし、スペインのマドリードーマラガ間の実例を見ても、新大阪乗り入れの効果自体は高いと思うけど、そもそも博多折り返しになっていた可能性は高い。
とはいえ在来線の速度なら可能性はまだあるので、近鉄がスタンダード=ゲージの京都などからケープ=ゲージの吉野までの直通特急を走らせる予定となっている。
スペインだって最初は低速から始めて、40年経ってやっと高速列車に到達した。日本はスペインの先行研究が使えるとはいえ技術的な難が大きいのに、いきなり新幹線からやろうとするから無理がある。
そのスペインにしても、250km/hまではスピード=アップしたけれど、300km/hの軌間可変列車の開発を発表したきり音沙汰がない。頓挫したかどうかは不明だけど、やっぱり無理があるんだろう。
タルゴ製の300km/hを出す列車はあるけど、これはスタンダード=ゲージ専用でAVEしか走れない。
これを誤読している人が少なからずいるけどね。
もう一度書くけど、タルゴは車軸のない独立車輪を搭載した車両を造るメーカーで、すべての車両が軌間可変装置を持つわけじゃない。また、スペインの他のメーカーも軌間可変装置を搭載した車両を製造している。
タルゴ即ち軌間可変列車という誤解はインド即ち危険というのと同じくらいやめてもらいたい。
何にせよ軌間可変列車というのは何かしらの制約は必ず出てくる。
中国が何か言ってるけど、あんまり当てにしない方がいい。できるとしてもスタンダード=ゲージとブロード=ゲージの間の直通用だろうし。
スタンダード=ゲージだけで世界の6割、鉄道総延長世界3位のロシアと世界4位のインドをはじめ世界の鉄道総延長20傑でスタンダード=ゲージより狭い幅を採用しているのが11位の日本と14位の南アフリカ共和国🇿🇦しかないんだから9割にはなるでしょうよ。
なお、インドの高速鉄道に250km/hタルゴを入れられるかといえば、日本の新幹線の車重に合わせているのでそのまんまは無理。
ただし、インディア=ゲージの在来線と1,000㎜のメーター=ゲージのニルギリ山岳鉄道であれば可能性はゼロじゃない。
スイス🇨🇭がスタンダード=ゲージの路線とアルプスのメーター=ゲージの路線を直通できる車両を開発しており、今年12月から走り始める予定。そんなに高速じゃないし、機関車プラス客車なのでね。
インディア=ゲージとの可変幅はもっと大きいので
、もちろんそれをすぐに投入できるわけじゃないけど、スイスとインドの共同研究でチェンナイーウッティ間の直通運転は復活させてほしいし、
もっといえば762㎜のナロー=ゲージとの直通運転でデリーとシムラーの間も直通運転してほしい。
ケープ=ゲージと762㎜ゲージでの直通運転が可能ならば、黒部のトロッコを富山地方鉄道の黒部宇奈月温泉駅まで乗り入れさせて新幹線からすぐにトロッコに乗れるようにしてもいい。
観光要素の強い列車に限ればスイス式には可能性がある。世界の山岳鉄道に活かせそう。
以上、散々書いてきたうえでの結論としては、やっぱり裏技にはどこか無理があり、レールの幅を統一する以上の王道はないということ。
次回いよいよ最終回。
「失われた150年」、3つめの蹉跌とは❓
日本が開業200周年に向けて鉄道一流国に生まれ変われるのか❓
その鍵を握る鉄道大国とは❓
それじゃあバイバイナマステ💚💚🧡💙💙❤️暑寒煮切でしたっ✨