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水屋のいない2024年において

こんばんなまらステ💜Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

うーん。。。

よりによってKNTさんとあろう会社が貸切バスにドタキャンされ、修学旅行ができない事態になったのだという。

これに対してKNTさんの手配ミスという意見もある。

バス会社がとくにこんな大口顧客の約束を不履行にすることなど考えにくく、責任をバス会社に押し付けているのではと。

大口顧客を足蹴にするようなことがあれば、次から使ってもらえなくなるぞと。

うーん、こればかりはどちらなのか自分でもわからない。

2010年代に茨城のバス会社から前日にドタキャン連絡が来たことがあってさ。

理由としては東京のほかの旅行会社が金を払ってくれないから御宅も信用できない、とか言われてさ。

なんなら前金払う、今すぐ請求書送れって言ったら折れてくれたけどね。そりゃまあ零細企業の社長にしてみたら一度でもそんなことあれば、不安になる気持ちは理解できる。

ここの社長はとても純朴な人だったけれど、中には先約を無視して得意先なり権力者なり、金払いの高いところに乗り換えようとする人が出てくる可能性だってある。

ただ、これだけは確実に言えることがある。

まだ1週間前にもかかわらず代替手配を諦めてしまうような状況だということ。中小ではなくKNTさんでもね。

まあKNTさんは新幹線及び近鉄電車を使うことで修学旅行自体は無事履行するとのことで、後者は自グループのリソースだからいいとしても、新幹線代を払ってでも代替手配よりマシだという判断をしたということ。

大手だからできるということでもあるけどさ、それでも1円でも経費を落とすという企業の基本原理を覆す結論を出したことには驚きだよ。

ではここで、いま何故貸切バスが足りないのかを振り返ってみたい。

貸切バスが足りない、というのは厳密な表現ではなく、貸切バスを運転するドライヴァーが足りていない。バス自体は余ってるよ。

今全国的に話題になっている2024年問題というのは、ドライヴァーの残業時間を規制したところ、ドライヴァーが足りなくなっているということ。

逆にいえばそれだけ長時間労働に頼っていたんだから、成り手もつかなくなるよね。

と思っていたら、残業が減った途端「残業代を稼げない」ことを理由に退職するドライヴァーが出始めているのだという。

前世紀においてバスドライヴァーは高卒者が得る職としては比較的高給だった。体力は使うかもしれないけど、力仕事ではないので人気もあった。

バスドライヴァーの給与水準が高かった当初の理由は、自家用車に乗るのが贅沢だった時代において路線バス事業が儲かったから。

次第に路線バスは収益が望みにくいものになっていくけれど、貸切バスや高速バスはまだまだ金のなる木だった。

2000年に貸切バスの参入規制が緩和されると、低賃金ドライヴァーを使った新規参入が相次ぎ、過当競争の結果ドライヴァーの賃金がどんどん下がっていった。

また、十分な休息を取らせず走らせたことで事故も増えた。

我々旅行業界の責任もあって、貸切バスを安く買い叩き過ぎた。旅行者に転嫁すべきコストを価格競争のためバス会社に皺寄せさせたわけね。

2000年代から2010年代にかけてはバス事故が起きる度新たな規制が導入されて、それがちゃんと運用されればドライヴァーの賃金が上がりワークライフバランスも確保され、それによって運行の安全性が高まる、はずだったけど、そんなわけないじゃない。

バスドライヴァーは免許的にいつでもトラックやタクシーのドライヴァーになれる。そっちも人手不足だけど、そっちは人手不足だからこそ稼げている。そう聞けば気持ちが移るのも当たり前。

まあ残業規制自体は長い目で見れば競争力を持つようになると思う。クオリティオヴライフを上げなきゃさ。

でもどの業界だって賃金は上げていかなきゃ維持発展は絶対に望めない。日本社会全体もね。

この問題を簡単に解決することはできないけれど、ひとまずこーゆー問題があったところで、それでもKNTさんほどの大手旅行会社が手配を諦めてしまうのはそれだけじゃない理由がある。

それはバス手配においては水屋を追い出してしまったから。

今「バス 水屋」とか検索してみても的を得た回答は出てこないんだけど、トラック運送の世界では水屋が生きている。

2000年代までバス手配は水屋が幅を利かせていた。

旅行会社が直接水屋に声をかけるというより、旅行会社から声をかけられたバス会社が水屋に声をかける感じ。

バス会社が水屋に声をかけて、最終的にやってきたのが自社のバスだった、という笑えるような笑えないような話もある。

バスの世界から水屋が追放されてしまった理由は2012年の関越道高速ツアーバス事故で水屋が捕まえてきたバスが事故ってしまったから。

このとき運行受託数の制限及び孫請けの禁止が決まり、水屋の介在ができなくなった。

事故の性質を思えばこの措置は当然だと思ったけど、この先バス業界も旅行業界もこの先厳しいだろうなと。

そしてその通りになった。

あの時から今日までとくにバス手配で心掛けているのは、常に先回りしておくことや無理がある案件は引き受けないことだけど、それでも直前に穴が開くことってあって。

そーゆー時に一発逆転ホームランを打つ手立てはもうないんだよ。

今回の件、真相はそのうち明らかになるのか有耶無耶にされるのかわからないけども、どちらの力不足であっても対岸の火事で済まされないというか、改めて気を引き締め直そうっと。

それじゃあバイバイなまらステ💜厚沢部煮切でしたっ✨


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