整備新幹線、貸付料はどーあるべきか
こんばんナマステ💚💚💙❤️Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ✨
財務省が整備新幹線の貸付料値上げや駅整備費のJR負担を検討しているという報道。
財務省はパンデミックの前から言い出していたんだけども、パンデミックでJRの経営が苦しくなったことで暫く棚上げにしていたということだろうと。
すごく基本的なことから書いていくと、整備新幹線というのは国鉄分割民営化以降に整備された、ないし整備中のフル規格新幹線のことであって、
国鉄時代に建設された東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線盛岡以南、上越新幹線、それから在来線への直通運転を行なう山形新幹線、秋田新幹線は含まれない。
東北新幹線盛岡以北、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線、西九州新幹線について指す。
現地から整備論が叫ばれる四国新幹線などはあくまで構想路線であり、整備新幹線ですらない。
国鉄の債務超過で分割民営化を急ぐことになったけれど、以後新幹線の建設をどうしようかと。
国としては東北・上越新幹線に多額の建設費を要したことと、民営化されたJRがこれ以上新幹線はいらないと突っぱねたことで困ってしまった。
なぜJRは新幹線を欲しないのか。
ひとつは建設費の負担。もうひとつは、新幹線ができると並行する在来線の経営が苦しくなってしまうため。
そこでJRには建設時にイニシャルコストとして負担してもらうのではなく、新幹線ができてから貸付料というかたちで建設費を負担してもらうことにした。
貸付料については新幹線ができたことによる受益から新幹線がない仮定を引いて算出され、30年間定額を支払っていく。
それと同時に並行する在来線はJRから経営を分離していい、ということにしてJRは納得したわけね。
地方自治体にも多少負担させているのと、簡素な造りにして最高速度を260km/hに固定したことで建設費を抑えた。1990年代には既設新幹線で270km/h以上で走っていたというのにさ。
貸付料は建設費の償還に充てるのが原則だったけれど、新たな矛盾が噴出する。
並行在来線の多くは貨物列車が走る。
国鉄分割民営化の際に決めたルールで、貨物列車はJR旅客各社に本来支払うべき線路使用料を大幅に減免してもらっていて、これをアボイダブルコストルールって呼ぶ。
貨物列車は重いから線路にかかる負荷も多いんだけど、それをきちんと請求すると貨物輸送が成り立たなくなってしまうから、そこはJR旅客各社が我慢してね、って話。
並行在来線を引き継いだ第3セクターに対して、JR貨物は同じようにアボイダブルコストルールを求めるけど、そんなことしたら第3セクターの経営が成り立たなくなるので拒否。
そこで仕方なく、あるべき線路使用料とアボイダブルコストルールの差額を貨物調整金というかたちで貸付料から出すことに決めた。
ところで貸付料は30年間で終わりだからね。
そもそもその後の整備新幹線のあり方自体全然議論が進んでいないなかで、どーすんのかと。
長野新幹線区間は1997年開業だからもうすぐ30年が経ってしまうわけで。
最近になってこの区間の並行在来線を運営するしなの鉄道が持続可能な経営を目指すために線路を複線から単線にする、なんてことを言い出しているのもこの問題が切実にあるから。
国としても貸付料収入の終わりには危機感を持っていて、パンデミックの前は延長することも言い出していた。
また国庫負担の多くを既設新幹線をJRに売却した収益で賄っているけれど、これは当然有限。
そして近年建設費が非常に高騰していることもある。
こうしたことで財務省は貸付料を増やすことを言い出している。
今回の財務省の主張は、当初の見込みよりも整備新幹線の収益は上振れしているのだから、そに見合った貸付料を取るべきだというもの。
これは税金の考え方ではあるけれど、整備新幹線の貸付料の考え方ではないように思う。
上振れしているのはJRが営業努力をしたからに尽きる。
東北新幹線盛岡以北なんて国が造った時代遅れのインフラを320km/h対応にするために、JR東日本が自腹で工事している。
これによる5分の短縮がその後の収入の差を大きく分けると見込んでいるからね。
貸付料に累進性を取り入れてしまうと、JRの営業努力を殺いでしまう可能性がある。
物価上昇に伴う貸付料の見直しは必要だと思う。30年間物価が上がらないと思っている方がおかしい。
そうであったとしてもあくまで受益に対する計算方法は変えてはいけない。
安価な貸付料のなかである程度自由に営業できるという意味で、いまの整備新幹線は公共施設における指定管理者やコンセッションに近いんじゃないかな。
ちなみに公や第3セクターが保有して鉄道会社に貸し付けている路線は結構たくさんあるのだけど、他は大抵建設・保有・管理・租税といった額になるため、もっと負担が大きい。
整備新幹線はJRがそれを拒否ったからこそ、こーなっている。
整備新幹線資産は30年後どーするのかも何にも決まっていない。
廃止とか国営化というのは考えにくいので、貸付延長または譲渡、それに有償または無償というマトリクスになる。
JR東日本は有償での貸付延長を想定しているようで、
https://www.jttri.or.jp/members/journal/assets/no58-04.pdf
JR九州もどうやらその様子。
恐らく貸付料の半恒久化というところで話はまとまるだろう。
高速道路の料金は建設料金の償還を以って無料にすることが前提だったのが、いつの間にか新規建設のためのプール金や旧道路公団の債務返済に置き換わっていったのと似たような空気があるけどね。
貸付料を半恒久化するのであれば、思い切って貨物調整金ではなく並行在来線の経営分離自体を無くすことを考えるべきだと思う。
つまり貸付料から並行在来線に特急が走らなくなる分の損失を減免するということ。新幹線開業前の運行本数の維持を条件とすればいい。
こーなると並行在来線の沿線自治体から経営分離の同意を得なくてもいいことになり、政治的なコストがだいぶ下がる。
佐賀県の場合は西九州新幹線そのものの建設費負担も渋っているので、そこはまたハードルではあるけれども。
現在、並行在来線を引き継いだ第3セクターは、特急が走らなくなった余剰リソースを使って生活列車、観光列車ともに増便しているけれど、これについては地元負担とすればいい。
この枠組みは旅客輸送については維持、発展ともに良好な案で、かつ貨物輸送も保持される。
ただし、特急廃止の余剰リソースで貨物列車を増発できるかというところでは穴がある。
全国に新幹線ネットワークを拡げることを主張した田中角栄の本来的な主張はそこだったんだから。
何故貨物列車の増発がしにくいかというと、アボイダブルコストルールが邪魔をするから。
JR貨物が増発を願い出ても、JR旅客各社はそれはいくらなんでも定価払え、って言うだろうからさ。
JR貨物は経営改革で黒字化したけれど、これはアボイダブルコストルールに乗っかっているものでしかない。
思い切ってアボイダブルコストルール自体を撤廃、国が都度欠損補助をしていきながら取扱量を増やすことでの赤字脱却、という方が自然だと思うんだけどね。
トラックドライヴァーも足りないわけだし、そこは流石に道路予算から流してもらいたいものだけど、なかなかね😩
それじゃあバイバイナマステ💚💚💙❤️暑寒煮切でしたっ✨