夢でハケンに引き込むなよ
こんばんなまらステ💖Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨
昨夜、サウナについていたTVでおぞましいCMを視た。
派遣会社パーソルテンプスタッフのCMなんだけど、こんなストーリィ。
学生時代の友人同士で女子会というか同窓会というかをしており、
主人公が今メーカーの営業職に就いていると言うと、旧友たちが学生時代に学級新聞を書いていたなど物書きがとても好きなエピソードから「てっきり出版社へ行ったと思ってた」と言われる。
主人公は自分のなかで諦めようとしていた夢をほじくり返されたことに苦悩する。
ここまではよくある話だよね。
ここまで視たとき、転職サーヴィスかなにかのスクールのCMだと思ったら、この先で衝撃的な展開を迎える。
派遣なら業界未経験🆗❗️とアナウンスされ、主人公は出版社の派遣社員になる。
最後に恐らくは正社員の男性から仕事の出来を誉められて、やり甲斐を感じる主人公が描かれてCMは終わる。
男性が正社員、女性が派遣社員というジェンダー的な問題はさておきだよ。
ヤバすぎるでしょ、このCM。
「派遣なら」のアナウンスから主人公はメーカーの正社員であった可能性が高い。
しかし夢を諦めきれず、派遣社員として出版業界に飛び込むわけね。
別に安定を棄てたのが愚かとかいうつもりはないよ。
だけど派遣社員はヤバいから。
まず最大3年間しかその会社で働くことができない。
この主人公は運良くクリエイティヴな仕事をさせてもらえているようで良質な派遣先ではあるけども、仕事が面白くなればなるほどいつかは冷酷な終わりが来てしまう。
ドラマとかだと優秀な派遣社員を当たり前のように引き抜いているシーンがあるけども、ホント非現実的。
派遣社員は派遣会社の商品であり、そんな簡単に手放すわけないじゃないか。
派遣先でそのまま雇用されるようになるには大抵の場合高額な紹介料が発生するし、そーじゃなくても色々面倒な話し合いが必要になることから、
現実には派遣先はなかなか派遣社員を自社には迎え入れられない。
優秀で人間関係もいいのに、結局切られてしまう派遣社員がたくさんいるのは、その人が劣ってるからじゃないの。
であるならば、派遣社員をしながら転職活動というよりは就職活動をして道を拓かなくてはいけない。
これがまた悲惨だよー。
世の中の会社の大半は派遣社員を不可触民として見ている。
派遣社員をキャリアとは考えないし、なんで派遣社員なんかやってたんですか❓とか平気で聞いてくる。
社会人として研鑽を積むべき時期に、まともに働いていなかったニート、というくらいの扱いだよ、マジで。
世の中には「ひとまず派遣で」といって、そのまま30代、40代とずーっと派遣社員として会社を転々とし続けている人がたくさんいる。
それは上記2つの理由からなんだな。
主人公の立場で本当にやるべきはメーカーにいたままの転職活動だよ。
まだ若いので最近は聞かなくなってしまった言葉だけど「第二新卒」というかたちで、メーカーで培ったスキルと出版社に入りたい想いを掛け合わせれば、どこかで雇い入れてもらえる可能性はある。
それも難しいならバイトでいいから応募すべき。
派遣社員とバイトなら派遣社員の方が時給はずっといいかもしれないけど、バイトは頑張り次第で契約社員、正社員へとステップアップできる可能性が高い。自社内で完結してるからね。
夢を追うために今の自分の地位を棄てる覚悟があるなら、飛び込むべきは派遣社員ではなくバイトだって。
ただ、今は若くても時間は残酷に過ぎていくから、考えつくだけのことをしてみてそれでも出版社に入れないなら、艱難辛苦を覚悟で派遣の世界に飛び込むのはひとつの手ではある。
でもそれは腹を括り、背水の陣で挑むべきものであって、夢に近づける手段では絶対にない。むしろ悪夢のなかから本物の夢を探す茨の道だよ。
それにしてもさ、何故派遣会社が人の夢で釣ろうとしはじめたのか。
これまでのテンプスタッフのCMって、多様な働き方という体で派遣社員の魅力を語っていた。
それは派遣会社として正しいんじゃないかな。
音楽や演劇や資格試験の勉強などをしている人がひとまずお金を稼ぐ手段としては全然アリ。
扶養の内外という話はさておき、主婦・主夫、あるいは定年退職者の再雇用としてもいいだろう。海外留学者の一時帰国中とかもさ。
自分自身、学生時代に派遣というかたちで仕事したこともあるしさ。
それが何故、本来なら転職サーヴィスがやるようなCMをやっているのかって❓
派遣社員が集まらないからだよ。
2010年頃って余る派遣社員に対して仕事は少なくて、仕事を取ってくる営業マンの腕が問われるのが派遣業界だったのね。
それが今ではどこの会社も人いないから需要は止めどないのだけど、逆に派遣社員がいないからクライアントオーダーに応えられなくなってしまった。
そこでこんなCMをやって、本来なら転職サーヴィスを検討するはずの正社員たちを誘惑してるわけ。
もし、この主人公のように別の業界に移ってみたくて悶々としている社会人が読んでくれてるのなら、はっきり言いたい。
まずは今の仕事を大切にしながら、転職活動をしろって。
しばやくやって結果出ないなら、その業界のバイト探せ。間違っても派遣会社に誘惑されるな、と。
かくいう自分だって最初は全然違うとこいたけど、旅行業界に行きたくて、一時期は旅行業界の派遣とか調べてた時期だってあったよ。
もしそこに入っちゃったら、今でもまだ派遣社員なのかもね。
小さな旅行会社に拾ってもらえて、結局経営上の理由でリストラされたけれど、でもそこにいたおかげで今がある。
だから拾ってくれた社長には今でも感謝してる。
あの時の自分には派遣なんかやっちゃダメ、なんて意識は全くなかった。たまたま派遣に行かなかった幸運があって生き延びてる。
自分だって派遣会社による一見輝いて見えるメッキに惹き寄せられそうになったからこそ、このCMが許せない。
派遣社員という働き方は、そこに本丸を置かない人に適したものだということを強調したい。
それじゃあバイバイなまらステ💖厚沢部煮切でしたっ✨