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山岡家は吉村家のきょうだいではなく、子どもなんじゃないのか

こんばんナマステ❤️Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ✨

ラーメンショップことラーショに興味を持って以降、札幌に来ると山岡家で食べることが多くなった。

山岡家は茨城県発祥の関東豚骨と呼べるジャンルだけど、東京都心部には死んでも出店しない。

車のない人間からすると都内から行きやすくて、比較的駅から近い店舗という意味でいうと蘇我、西大宮、新鎌ヶ谷あたりだろうか。

そこまでわざわざ行くことを考えると、札幌来た機会にすすきののど真ん中にある店に行けばいい、という琴似なる。

札幌に来ても札幌ラーメンにはあんまり興味無くて、昔は彩未だとかけやきだとか、歴史的な重要店といえるだるま軒、味の三平、てつやあたりは一応経験したけど、

いまは札幌に来ても家系ラーメンと山岡家しか行かない😆

札幌、北海道は山岡家が強い代わりにラーショがない。王道家直伝の家系やってるMEN-EIJIが期間限定でやってたラーショは食べたよ😋

今回は都合的に行けないけど、寅乃虎は高い頻度で行ってる。でもそれはカレー枠なんだよね、自分のなかで。

ってなことで昨夜も山岡家行ってきたわけだけど、これまでと違う感想を持った。

それは家系ラーメンと山岡家の関係性について。

山岡家はよく家系ラーメンだと間違われる。

好きな家系ラーメンのアンケートを取ると上位に食い込むほど。

まず店名がそうだし、豚骨醤油で海苔3枚に菠薐草というのも。

山岡家はとくに北海道で密度濃く拡がっているほか、全国にあり基本的に郊外のロードサイドにある。

そういうところには近年まで家系ラーメンなどなかったわけで、なんとなくTVなどで見た吉村家などと似ているから、これは家系に違いないと思い込むよね。

近年は町田商店をはじめ、セントラルキッチンから運ばれてきたスープを出す資本系の家系ラーメンが郊外にどんどんできているから、若い人ほど山岡家が家系ラーメンだと思わない人も増えているかもしれない。

山岡家の店内にはどこにも家系ラーメンと書いてないのに対して、資本系の店や異様なまでに家系をアッピールするからさ。家系最高❗️とかね。

山岡家は名乗らないどころか、家系ラーメンであることを自らが公式に否定している。https://www.facebook.com/yamaokaya/posts/999842200061014/

家系ラーメンは鶏ガラ、鶏油が入っているけれど、山岡家には入っていないと。

入ってない家系ラーメンもあるので答えになっているかどうかは置いといて。

じゃあ山岡家って何なのかっていえば、ラーショの系譜にある。

山岡家の社長が昔ラーショにいたという噂もあるけど、真偽ははっきりしないのでそれ以上は触れない。

しかし直接的なのか間接的なのかは置いといて、ラーショの影響を間違いなく受けている。

そーじゃなきゃネギラーメンを前面に押し出さないでしょ。丼も青磁だしさ。

家系ラーメンの総本山吉村家創業者もラーショにいた。こちらはホント。

それもラーショの総本山にね。

だから吉村家と山岡家はきょうだいであり、ラーショから別々に並行進化した店同士。

ずっと、そう思ってたんだよ。

だけど昨夜山岡家を食べていたら、そこに家系ラーメンの影を感じてしまった。

もしかして家系ラーメンをかなりヒントにしていないかと。

そのうえで家系ラーメンにはしなかったんだとしたら。

山岡家は元々東京都江戸川区における弁当販売のフランチャイズ、丸千代商事から始まっていて、競争が激化したことからラーメン店に転身する。

茨城県牛久市に山岡家1号店を出したのは1988年のこと。

牛久にはいまも日本一のラーショと呼ばれる牛久結束店があるし、実は結束のつかない牛久店も存在する。

牛久だけでなく周囲の茨城県南部にラーショは今も多く、この地域でなら山岡家で勝負できると思ったんじゃないかな。

ラーショの礎である椿食堂は屋台のあった京浜トラックターミナルが始まった1968年あたりの創業と思われ、

そこで修行をした吉村家は1974年9月創業。つまり先月で家系ラーメン50周年。

山岡家はラーショより約20年、家系ラーメンより16年遅れて始まった。

山岡家の社長がラーショの内側にいたのか外側から見ていたのかは知らないけど、ラーショのことを相当研究したはず。

ラーショは1970年代に急速に拡がったけれど、1980年代半ばにもなるとだいぶ息切れしていた。

また、内部分裂が起き、ニューラーメンショップをはじめとするいくつかの分派ができていた。

そーなった原因はフランチャイズにあると考えたに違いない。

分裂はラーショと同じ頃に拡大していったどさん子やくるまやラーメンでも起きた。

くるまやは1980年代前半に身内での分裂劇が起きた後直営主義に切り替えていった。

そーゆーのをしっかりと見ていたからこそ、山岡家は直営にこだわったはず。

山岡家って自分ではコメダ珈琲店のフランチャイズ引き受けてるし、昔は大阪王将もやってたけど、山岡家ブランドのフランチャイズは一切受け付けていない。

全店のスープを店炊きにこだわっているのは、ラーショがそーだからだとも言えるけど、ラーショは飲食業未経験の素人に簡素な研修やマニュアルを施す程度。

それに対して、山岡家は3年程度かけて店を任せられるクラスの人材が育たない限り新規出店をしない。

また、本来ラーショには醤油しかないはずなんだけど、大半のラーショで味噌があり、塩も少なからず存在する。

これは先述のどさん子、くるまやの影響が大きいと自分は考えているけれど、

醤油と違ってマニュアルなんてあるわけじゃないから、解釈もめっちゃくちゃ。

ラーショが1980年代半ばにはボロが出始めていたのは、素人の運営のなかで技術とセンスを身につけた店とそーじゃない店に差が生じていたからでしょ。後者が淘汰されていく時期に入り始めていた。

そんななかで味噌や塩はその格差をさらに拡大していくものだった。

だからこそ山岡家は醤油・味噌・塩それぞれをきちんと規格化した。

何でこんなこと思ったかというと、ラーショの醤油と違って山岡家の醤油はカエシが非常に立ってると感じたから。

何となく醤油をカエシにしているのではなく、3つの味のなかでの醤油という位置付けだからそりゃそーなるわなと。

またこの3つを取り揃えることは北海道進出を見据えた戦略でもあった。

実際に1992年にすすきのに進出、大当たりして札幌ラーメン、函館ラーメン、旭川ラーメン、山岡家が北海道4大ラーメンだと言う人がいるくらい。

冒頭に書いたように、北海道ではすすきのをはじめ都市部にも出店して、北海道に根付く味を目指しているのだけど、本州以南では郊外にしか出さない。

これはトラックドライヴァーをターゲットに考えているからで、一部店舗にはシャワー室すらある。

またテイクアウトをせず、パンデミック下においてデリバリィにも手を出さなかった。

24時間営業ということもそーだけど、徹底的にトラックドライヴァーの居場所になることを目指している。

これもラーショを見てのことだと思う。

京浜トラックターミナルから始まったラーショはまさにトラックドライヴァーのソウルフードだったはずで、

それを引き継いだような店も多いけど、やりたい人を分別しなかったから、家賃の高い都心にはないにしても、駅近などのラーショもある。

山岡家は直営でやるからこそコンセプトを集中させることが可能になる。

また、ラーショはあくまで個人店の集まりに過ぎず、早朝から昼過ぎみたいな店もあれば、夜通しやってる店もある。

山岡家は24時間営業にすることで、トラックドライヴァーがいつでも寄れるインフラを目指した。

山岡家は徹底してラーショを反面教師にしているんだね。

そんなラーショ研究のなかで、ラーショ出身ながら独自のラーメンを創り上げ不動の人気店に登り詰めた吉村家の存在をスルーするはずはなかった。

ラーショを超える店をつくろうと思えば当然参考にしたくなる。

でも家系ラーメンは手間とコストがかかり過ぎ、こんなやり方ではチェーン展開できないってことも見抜いた。

2号店の本牧家ができたのが1986年。

それまでもがんこ亭や長谷川家といった吉村家にいた人がつくった店はあったけれど、直の支店となると創業から12年もかかってるんだから、こんなのやってらんないと。

この見立てはかなり当たっている。

一時期の六角家であったり、いまの王道家といった手間暇かけまくった家系ラーメンのなかでも拡大しているところですら、直営にこだわり抑制的な拡大方針を取っている山岡家の拡大ペースに追いつけない。

町田商店のようなセントラルキッチンか、新中野武蔵家のようにだいぶ簡略化したところは増やせているけれどね。

急拡大中の大輝家や野中家も広い意味では新中野武蔵家系なんじゃないかな。アストラーレの店よりは複雑そうだけどね。

面白いもので町田商店を運営するギフトがやってる二郎系ブランドの豚山はちゃんと炊いてるのよね。

それだけ家系って大変なのだけど、青森県弘前市において従業員のワークライフバランスを守るために東池袋大勝軒を閉めて家系ラーメンに業態転換した話を見て、上には上がいるものだと思った💦

ただし東池袋大勝軒は暖簾分けの基準が緩過ぎて、粗製濫造も多いことは有名。しかしガチでやろうものなら家系ラーメンを凌駕する手間暇が必要になるということ。

ってなことで山岡家が選んだ方法は家系をリスペクトして模倣すべきところはするけど、家系を目指さない。

ラーショより美味くて、家系よりは簡素なものをつくるということ。

店名や赤い看板、吉村実氏が「海のものと山のもの」といった具材を模倣しつつ、鶏を使わない、豚骨もあんな複雑な抽出方法はしない、っていう落としどころで創り上げたのが山岡家のラーメンだということ。

だから家系無くして山岡家は生まれなかったし、実は家系の血を引いた隠し子なんだろうと。

なんで昨夜当然そんなことを思いついたのかは自分でもよくわからないんだけど、自分のなかでの家系ラーメンやラーショへの経験値がそれだけ増したのかなと。

なんにしても札幌の夜に食べる山岡家はたまらんね、ってこと。

それじゃあバイバイナマステ❤️暑寒煮切でしたっ✨

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