グジャラート新名所はインドの板門店⁉️ボーダー=ツーリズムは盛り上がるのか🇮🇳❌🇵🇰
はじめに
こんばんナマステ🧡💚Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️
今日は昨夜 #Clubhouse 『 #インドの衝撃 ( #インド大学 )』で話した内容のテキスト化。
音声版は約20分と比較的コンパクト❗️
そして今回は今月15日にnoteでチラッと書いた話を、もっとちゃんとカタチにしたいと思いClubhouseに持っていったということで、実は逆輸入になる。
今後もこういうスタイル、増えてくかもねー。
色々並行してネタを考えていくと限界もあるわけで、そこは松屋グループのレシピみたいに使い回していかないと。
んじゃあ早速、やっていこう‼️
一石二鳥のグジャラート新名所
先日の記事でも書いたように、4月10日にグジャラート州の最大都市アフマダーバードから北西200kmの #ナダベト にモディ首相の片腕、アミット=シャー内相が訪れ新名所をオープンさせた。
この新名所は「 #シーマダルシャンプロジェクト 」の一環として行われていて、シーマは線とか境界というような意味でここでは #国境 、ダルシャンは見るという意味でヒンドゥー教では聖者を通して神に出会うとかそんな感じでよく使われる言葉。つまり、国境を見に行くってことよね。
なのでシャー内相をはじめとした関係者は英語では #ボーダーツーリズム と説明している。あえて和訳するなら #国境観光 。音声版の表題がそれになってるよね。観光の原義は「國ノ光ヲ觀ル」だからそれを考え出すと違和感あるけどまあいいや。
んで、シーマ=ダルシャン=プロジェクトはグジャラート州政府観光局と国境警備隊の共同で行われ、パキスタン国境近辺の地域に光を当てるもの。
ナダベトは「グジャラートのワーガ」と銘打って、1971年の(第三次)インド・パキスタン戦争ににまつわる展示や
夕方の国旗降下セレモニー、ラクダ=ショーが見学でき、国境警備隊プロデュースのロック=クライミングやジップ=ライン、ライフル射撃などの体験が楽しめるアトラクションがあるほか、25km先にある国境線へのバスが運行されるみたい。
ナダベトの施設ができる前から近年国境観光の需要が高まっていて、ナダベトの施設ができてからは既に週末は1日1~2万人の来訪があるといい、現在は日帰りのみだけど将来的には宿泊もできるようになり、10年で10万人の雇用を生み出すほか、パキスタンからの密入国を防ぐ効果が期待できるという。
最後の話がちょっとなんだかなぁ、だけどモディ政権らしいっちゃあらしい。
クリケット🏏より盛り上がる応援合戦⁉️
さて、「グジャラートのワーガ」ということでできたナダベトの新施設なんだけども、その #ワーガ ってなんやねん、っていうとパンジャーブ州のシク教総本山でもあるアムリトサル近くにあるパキスタンとの国境。
国旗降下セレモニー時に両国のスタジアムに集まる観衆同士が応援合戦を
することで有名で、インドで一番面白かったコンテンツという人もいるくらい超人気コンテンツ。
ってゆーかここに集まってる人達って、普段何してる人なの❓
国から雇われてるんだとしたら、その仕事就きたいよ。だって夕方しか稼働しないんだからさ。
しかしながら、ワーガは両国民や外国人による頻繁な往来があり、パキスタン側もコンテンツを形成していることからして一方的にインド側だけが盛り上がろうとしているナダベトとは異なる。
ところでワーガはパキスタン側の地名で、インド側はアッタリというのだけど、どうやらインド人にとってはワーガの方が象徴的な地名なんだろうね。
ワーガの先には古都ラホールがある。
宇宙人も知る犬猿の仲
インド🇮🇳とパキスタン🇵🇰の国境線はカシミールからグジャラート州(インド)・シンド(パキスタン)のアラビア海河口まで3,323kmにも及び、インド側が建てた5万本の柱に設置した15万個の投光器により宇宙からもくっきりと見渡せるラインとなっている。
この長大なラインの上に人々が往来できる国境は前出のアッタリ🇮🇳・ワーガ🇵🇰国境と、2006年に開かれたラジャスターン州ムナバオ🇮🇳とシンド州コクラパール🇵🇰国境の2箇所のみとなっており、外国人はアッタリ・ワーガ国境しか通ることができない。
ムナバオ・コクラパール国境はラジャスターン州青の都ジョードプル🇮🇳とパキスタンを代表する港湾都市カラチ🇵🇰を結ぶ国際列車タール=エクスプレスが運行されている。外国人にも開放してくれたら回遊性が一気に広まるのにね。
2019年にはシク教開祖グル=ナーナクが晩年を過ごし、霊廟があるパキスタン側の聖地カルタルプールへインド側から向かう巡礼路が開通し、インド側のシク教徒に限りパンジャーブ州デラ=ババ=ナーナクからカルタルプールへの往来が許されるようになった。デラ=ババ=ナーナク自体が国境のせいで行けなくなったカルタルプールを遥拝する場所という感じだけどね。
この事例により、これ以外の国境沿い各地での国境開放論が噴出している。国境さえなければ往来したいと考える人達はたくさんいて、分離独立以来それをずっと我慢している人達からすればカルタルプールの開放は恨めしいよね。
シーマ=ダルシャンの元ネタはあの半島の国境線⁉️
アッタリ、ムナバオはともかく、インドとパキスタンの長大な国境線は基本的に冷戦状態といえ、その国境線の多くは一般的に国境が引かれる山脈や砂漠などの無人地帯ではなく多数の家族、親族のコミュニティを引き裂いている状況としてはかつての東西ドイツや現在まで続く南北朝鮮を思い起こさせる。
特に現在インド政府高官が言うシーマ=ダルシャン(ボーダー=ツーリズム)は韓国政府が掲げる #安保観光 と酷似している。というか元ネタは韓国なんじゃないかとすら思う。
安保観光は #板門店 や #DMZ (非武装地帯)に観光客を呼び込むことで、ナショナリズムの高揚、反北朝鮮・反共産主義思想の醸成、国境防衛の強化という意味合いが強く言われてきた。ナダベトにそっくりでしょ❓
ただし近年の南北融和ムードが安保観光のマインドを変えつつあって、南北の分断を憂い統一と平和を希求するツーリストが増えているともいう。
もしかしたらその怨恨は北緯38度線から独島にシフトしているのかもわからんけど、この話をこれ以上したくはない。
ただ、インドとパキスタンの関係は南北朝鮮に似ているということをあまり日本人は知らないし、そう説明すると結構わかってくれる。
求められるボーダー=ツーリズムのかたち
ところで、先日の記事でも書いたように日本にはボーダーツーリズム推進協議会なんて組織があり、
そこが掲げているボーダー=ツーリズムの定義としてはこうなっている。
1.国境・境界を離れたところから見る
2.国境・境界を実際に超える(またぐ)
3.国境・境界地域の文化・風土に触れる
シーマ=ダルシャンを上記に基づいて見ていくと、1は当てはまり、3も多少は該当するかもだけど、2の発想が根本的にない。
モディ首相はカルタルプール回廊の開通時にベルリンの壁になぞらえ国境の積極的な開放に言及しながら、一方で地元グジャラートでは板門店のような施設をつくる二枚舌。シーマ=ダルシャン=プロジェクトはモディ首相の関与も大きい。
というわけで、インドとパキスタンの関係は平坦なものでは決してないけれど、国境沿いに住む多くの人は国家より濃いもので繋がっていることも忘れてはいけない。
分離独立で引き裂かれた家族や親族をはじめとしたコミュニティの回復を図るべく、まずはカルタルプール回廊のような限定的な事例を積み重ねていくところからでもいい。
国境を介した自由かつ活発な往来があってこそ本当の意味でのボーダー=ツーリズムではないのかと思うのだけど。
ボーダーというコンテンツを活かせるか
インドとパキスタンの間で望ましいのは国境を介した交流だけれども、ひとまず現状での盛り上げも考えてみたい。
まず、通れる国境自体は少ないけれども、国旗降下セレモニーはパンジャーブ州フセインワラ🇮🇳とパキスタン側のガンダ=シン=ワラ🇵🇰の間にある国境や、
同じくパンジャーブ州のサディキ🇮🇳とパキスタン側のスレマンキ🇵🇰国境でも観ることができるので、アッタリとムナバオを含めてこれらを巡る旅もいいし、
ラン・オブ・カッチ湖や大カッチ湿原に沿った国境道路をドライブできるようなコンテンツもほしい。それこそ国境警備隊が護衛すべきとかじゃないかな。
この湖には昨年世界遺産になったインダス文明の #ドーラヴィーラ遺跡 もあり、パキスタンと歴史を共有することを感じられないだろうか。
そして朝鮮半島でもそうなんだけど、人の立ち入らない国境線は #生物多様性 が維持されるという副産物もある。
ナダベトでもバード=ウォッチングがひとつのコンテンツになっており、エコ=ツーリズムの観点からのボーダー=ツーリズムには大きく期待を寄せたい。
人々の交流の促進と自然環境の保護は両立されなければいけない。
というかインドにとってそれは得意な分野のはず。
おわりに
国境なんて自由な旅の邪魔、のはずなんだけど、国境を越える楽しさというのはあるんだよね。
そこに着目して観光を盛り上げることは大賛成なんだけど、あくまで開放的であってほしい。
とりあえずムナバオを外国人にも開放してくれたらいいのになっ💚
それじゃあバイバイナマステ💚🧡暑寒煮切でしたっ✨