プロジェクトがうまくいっていないときって思っているよりも透明性が不適切なことがあるって話
#普段よく話していること を文章に起こしておくの大事ですよねっていうことで、スクラムにおける透明性についてふわっとした話を書いておきます。深淵に迫るっていうよりは入門的な話です。
開発がうまくいかない場合には思っているよりも透明性が足りていなかったり、過剰だということを多々見かけていまして、その度に話しているような内容です。
前提:スクラムにおける透明性の説明でよく話されること
スクラムは特にソフトウェア開発において広く採用されています。このフレームワークは、透明性、検査、適応という三つの柱に基づいて構築されていて、透明性はこの中で特に重要な要素であり、プロジェクトの各ステークホルダーが現在のプロジェクトの状態を正確に理解できるようにするために必要です。
プロジェクトの可視性を高めることで、チームメンバー全員がプロジェクトの進行状況や問題点をリアルタイムで把握できるようになり、迅速な意思決定と効果的な問題解決が可能になります。例えば、スクラムではデイリースクラムを通じてチームメンバーが何をしたか、何をする予定か、何が問題かを共有します。このような継続的な情報共有がプロジェクトの透明性を保ち、チームの連携を強化します。
さらに、透明性は顧客との信頼関係を築く上でも非常に重要です。顧客がプロジェクトの進捗を容易に追跡できるようにすることで、顧客の不安を軽減し、顧客満足度を高めることができます。これは、特にアジャイルな環境下での変更が頻繁に発生するプロジェクトにおいて、ステークホルダーや顧客とのコミュニケーションをスムーズにするために役立ちます。
スクラムで規定している作成物(アーティファクト)は、プロダクトバックログ、スプリントバックログ、そしてインクリメントがあります。これらのアーティファクトは透明性を保つためのツールとして機能し、プロジェクトの目標と要件を明確にし、チームが焦点を合わせるべき優先事項を示します。プロダクトバックログはプロジェクトの要件を一覧で示し、スプリントバックログはそのスプリントで達成すべきタスクを具体的に定義します。インクリメントはスプリントの終わりに完成するプロダクトの部分または全体を示し、実際に顧客に提供される価値を具体化します。
これらのプロセスとアーティファクトを通じて、スクラムはプロジェクトの透明性を高め、チーム全体のパフォーマンスとプロジェクトの成功を促進します。透明性が確保されることで、プロジェクトはよりスムーズに進行し、予期せぬ問題に迅速に対応することが可能になります。
一方で透明性を高めようとしても高まっていないことがある
スクラムの透明性は、プロジェクトの成功に不可欠な要素ですが、透明性が不十分な場合には多くの課題が発生します。これらの課題はプロジェクトの効率、チームの協力、そして最終的な成果に大きな影響を及ぼす可能性があります。
情報共有の欠如: スクラムチーム内で情報が透明に共有されていない場合、チームメンバーはプロジェクトの全体像を把握できず、自分の作業が全体の目標にどのように貢献しているのかを理解することが困難になります。これは、個々の作業効率の低下だけでなく、チーム全体の生産性にも影響を与えます。
意思決定の遅れ: 重要な情報が全チームメンバーに透明でない場合、適切な意思決定を行うための十分なデータが不足します。これにより、プロジェクトの進行に必要な迅速な対応が遅れ、問題の悪化を招くことがあります。
ステークホルダーとの信頼喪失: プロジェクトの進捗がステークホルダーに対して透明でない場合、信頼関係が損なわれ、クライアントの不満やプロジェクトへの支持撤回につながる可能性があります。これは、特に期待管理が不十分な場合に顕著です。
チームの士気とコミットメントの低下: チームメンバーがプロジェクトの進行状況や課題を十分に理解していないと、そのコミットメントと責任感が低下します。これは、プロジェクトへの積極的な貢献を減少させ、チームの士気にも影響します。
リスクの認識不足: 透明性の欠如は、潜在的なリスクや問題を見逃す原因となります。チームが重要な情報を共有していない場合、リスクを早期に識別し、対処する機会を逸することがあります。
これらの課題は、プロジェクトの進捗に深刻な影響を与えます。透明性を確保することは、これらの問題を予防し、スクラムチームがより効果的に機能するための鍵です。それにより、全員が情報を共有し、協力して問題に対処する文化を育むことができます。
以降ではこれらの課題を説明していきますが、そのなかの多くは自分がやってしまったことですが、他にいろんな現場で見たり、勉強会で聞いたりしている内容を引き合いに説明していきます。
アーティファクトの不明瞭さ
スクラムにおいてアーティファクトの明瞭さは、プロジェクトの進捗と効率に大きな影響を与える重要な要素です。以下に、アーティファクトの不明瞭さが引き起こす具体的な課題を例を挙げて説明します。
プロダクトバックログの不明瞭さ:
例: プロダクトオーナー(PO)は、「ユーザーがより直感的にナビゲーションできるようにする」という要件をバックログに追加しました。しかし、この記述が抽象的であったため、開発チームは具体的にどのナビゲーション要素を改善すべきか、またそのために必要な技術的要件が何かを理解できませんでした。結果として、チームは多くの時間を無駄にし、最終的にはステークホルダーの期待とは異なる機能改善を行ってしまいました。
スプリントバックログの曖昧さ:
例: あるスプリントのバックログに「フィードバック機能の改善」というアイテムが含まれていました。しかし、どの部分のフィードバック機能を、どのように改善すべきかの詳細が書かれていなかったため、開発者は自分たちの解釈で機能改善を進めました。この結果、重要なユーザーの要望が反映されていないというフィードバックが後になって発生し、再度作業をやり直す必要が生じました。
インクリメントの不完全性:
例: スクラムチームがスプリントの末に「改善された検索機能」をリリースしましたが、このインクリメントの定義が不十分であったため、実際にはユーザーが期待する検索結果の精度が向上していませんでした。ユーザーからのフィードバックには、「検索速度は向上したが、求めていた情報が見つからない」というものが多数寄せられました。これは、チームがインクリメントの具体的な目標を明確に共有していなかったために起きた問題です。
これらの課題に対応するためには、アーティファクトを作成する際に具体性と透明性を確保することが不可欠ですが、具体的にどうするんだよっていうのが悩ましいところですので、参考ページを見てもらえると。
参考ページ:
スクラムガイド:アーティファクト:スクラムのアーティファクトに関する詳細なガイドが提供されています。
アジャイルアライアンス:効果的なバックログ管理:良いバックログ管理の方法についての具体的なガイドラインが提供されています。
意思決定の意図しない遅延
スクラムにおける透明性が低い状態は、プロジェクト内の意思決定プロセスに大きな障害をもたらすことがあります。適切な情報がチーム全体に共有されない場合、重要な意思決定が遅れることがよくあります。これにより、プロジェクトの進行に支障をきたし、結果的にデリバリーの遅れや品質の低下を引き起こす可能性があります。
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