【イギリス旅行記②】シェイクスピア・グローブ座で演劇観が180度変わったハナシ
イギリスの演劇といえば、シェイクスピア!!
真っ先に思いついたのではないでしょうか。
演劇にあまり親しみがない方でも名前は聞いたことがあるような、ないような人、、、。
中世のロンドンで劇作家だけでなく、俳優や詩人としても活躍したとても有名な人物です。「ハムレット」や「マクベス」、「ロミオとジュリエット」などの作者です!
加えて、現代に通ずる英語を作った人物とも言われています。
念願のグローブ座とのご対面
ロンドン到着したその日に観劇するという無謀な計画をたて、宿泊場所に一時荷物を置いた後、いざグローブ座へ!
Blackfriars駅で下車し、橋を渡っていると見えてくる円形の茅葺き屋根の建物!!!!
本物のグローブ座を見て、一気にテンションが上がり、ロンドンに来たことを実感した瞬間でした。憧れていた光景が目の前に広がって、勢いで来て本当良かったと思えました。
いざ、劇場の中へ!
チケットは事前にオンライン上で日本で購入していきました。
テムズ川沿いに劇場の大きな門があり、グローブ座のスタッフさんが前に立っていたので、自信満々にチケットを見せると……
ちょー爆速英語炸裂!!!!
私「uh……OK……????」
しっかり英語の洗礼を受けました。
一つだけ言うとするなら、イギリス英語かっけぇ。
どうやら入口が違うらしく、もう少し奥に行く必要があったみたいです。全く聞き取れなかったけど、指差している方向にとにかく行ってみることに。
もし、行く機会があったらお気をつけください……。
少し歩くと、このようなガラス張りの入口があります!
入口付近でチケットを見せると、いよいよ劇場の中に入っていきます。
劇場の狭い通路を抜けると、
どどーん!!!
と、大きな張り出した舞台が目に飛び込んできます!
もう、これだけで感動。木を基調とした造りが特徴的で、中世にタイムスリップした気分になります!!!!
そして、私が観劇した作品が「夏の夜の夢」だったので、元からある舞台構造に森をイメージさせる根っこのような美術が施されていました。
グローブ座の客席で特徴的なのが、舞台の目の前の平土間です!
上演中、観客は立って、舞台上を見上げる形で観劇します。時々役者が降りてくるかも!
2時間超立っているのは大変ですが、役者との距離が一番近く臨場感があり、なんと言っても一番安い席なのでオススメです!
「グローブ座に行くなら、このヤード席でしょ!」
と意気込んでいたものの、1週間前にチケットを取ったので、ヤード席は売り切れでした、残念。いつかリベンジしたい!!あと、計画性をもっともってよ、わたし。
そんなこんなで劇場に感動していると、
役者登場!!!!!!
かっけぇーーーーーー。
劇場の迫力に負けないエネルギー量で役者たちが登場してきました。中世の雰囲気を漂わせる衣装はもう言葉に表せないほど、上品な色使いで世界観を演出し、もうこれだけでお金払ってみる価値がある。まだ一言も喋ってないけど。
台詞始まる。
とてつもなく響き渡る声。そしてクリアすぎる滑舌。英語の意味はわからないけど、聞き取れる。役者の鏡だ。
その後も続々と登場人物たちが集まってくる。
目にも止まらぬ速さで、動き回り、会話が繰り広げられる。
台詞の音声だけでも誰が話しているのか分かる明確な口調の違い。
そして、誰に話しかけて、誰が相手なのか的確にわかる受け答え。
返答すればするほど、階段を二段飛ばしにしていくように盛り上がっていく会話の流れ。
そして、弱強五歩格の台詞まわし!
簡単に説明すると、↓↓↓
特に韻文で用いられ、台詞にリズムが生まれます。
日本語に翻訳されるとそのリズムが生まれにくくなってしまいます。
シェイクスピアは、英語で聞くと何倍も面白い!!
日本語で読んでいる時は修飾語が多いなぁ、長いなぁと感じていました。ただ、実際に観てみると、その修飾語が面白さを引き出しているのではないかと実感します。利用しているようにも見えます。(私は英語を聞き取れている訳ではありませんが。)
観客の大爆笑が作品をつくる!
「夏の夜の夢」の上演中、観客は大爆笑で終始大盛り上がりでした。
捲し立てるカップル同士の言い合いが滑稽すぎて大笑い。
妖精パックのイタズラにニヤリ。
機屋ボトムの茶目っ気に笑い止まらず、一時中断などなど。
こんな盛り上がる、そして観客の反応がいい演劇公演は初めてでした。
こんなに声出して笑っていたら台詞が聞こえなくなってしまわないのかとも思いましたが、それを上回る勢いで役者が話し出す。観客も負けじと盛り上がる。そしてそして、役者はさらに観客を笑わせにかかる。
何より私が感動したのは、役者が観客の反応をしっかり受け止めて演技をしていることでした。舞台近くでクスッと笑ってしまった観客に近寄っていってちょっかい出したり。
私自身も凝視していた俳優さんが演技中にも関わらずニヤッと目線をくれたり。
舞台上と観客を分けるような、第四の壁はなく、舞台上と観客が一体となって一つの作品を作っているようでした。観客の能動的な作品への介入が作品をどんどん面白くしていっていました。
役者と観客、どちらが欠けても成り立たない演劇
本来、「夏の夜の夢」は観客が参加しないと演劇自体が成り立たない作品ではありません。観客がただ観ているだけでも成り立ちます。
最近、”観客参加型の演劇”というものを見ます。個人的に好きです。演劇は観客がいないと始まりませんから。
でも、”参加型”と銘打ってなくても、本来演劇で観客は能動的に参加できるのが良い作品なのではないかと考えています。それは、笑いでも、拍手でも、野次を飛ばすでも。
私が今まで日本で見てきていた演劇は、舞台上だけで完結され過ぎていたのではないか、と疑問を抱くようになった瞬間でした。完璧に完成されたものをお披露目する。観客はそれを見る、感想を持つ。本当に観客の役割はそれだけだろうか。
今後
私は演劇や舞台芸術の創作側として、観客と共に舞台を楽しむことを意識していきたいとこの頃から考えるようになりました。そして、観客のための余白をどのように作っていくのかを考えるきっかけになりました。
グローブ座で感じた、演劇の楽しい、面白い、心踊る体験を、私も演劇創作をする際にお客様に感じてもらえるよう、励んでいきたい所存です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
「夏の夜の夢」のレビューもできればとも思ったのですが、1年以上前の記憶のためかなり曖昧で。特に印象的だった役者と観客について書かせていただきました。
ということで、来週11月12日(火)は、
ウエストエンドでミュージカルが観たかったけど……
を書こうと思います!お楽しみに!