🧚♂️家族へのおまじない
◇トイレをピカピカに磨く。
お風呂の桶や椅子を一部分ずつ磨いていく。
残っていた洗い物を終わらせておく。
たまった洗濯物を洗っておく。
家族の皆が寝静まった後、もしくは目覚める前の時間に私が始めたこと。
「家族のためになることを、気づかれなくてもいいから毎日ひとつやる。」ということ。
私の心に暗い影を落とす一番の原因は、家族のことだ。
特に母親とそりが合わず、上手に関わることができない。
完璧主義で、なんでも「普通以上」ができてしまう母にとって、不器用でマイペースな私のことを理解できないようで、何度も何度も責められる。
母の言うことが正しいからこそ、もう返す言葉は尽き、私は母の怒りが静まってくれるのを待つことしかできない。
ただただ「こんな私でごめん。これでも精一杯なんだけどな。」そんな思いを胸にしまい込んだまま、母の怒鳴り声をかき消すくらいの音量の音楽を無理に耳に流し込む。
そのわずかな隙間から聞こえる母の声は、一番私を苦しめる。
いつしか人の怒鳴る声が私のトラウマになった。
母が私を遠ざけるから、自然と弟も私を遠ざけて、私は孤立してしまっている。
もう20歳になって、家を出ることもできる。
そのことなら、もう何百回、何千回と考えた。
でも、将来やりたいことを考えたとき、お金のことがその選択肢を妨げる。
母の怒鳴る声を聞くたびに、何度も天秤にかけてきた。でも、毎度、わずかに「将来」の方に傾いた。
あと2年の辛抱。そう言い聞かせ、過ごす日々。
大半私に直すべきところがあるし、
仲良くできる時間は大好きだから、
だからこそ、家族を「嫌い」と言い切れない。
否定できない。
そこがさらに、辛い。
そう切り捨てることができたら、どんなに楽になれるだろう。
大好きで大嫌いな家族のために、今日も何かを一つ、こっそりやっておく。
いつか仲良くなれるように願いを込めて。
不器用な私のおまじない。