👠ヒールを履いて。背筋を伸ばして。
165㎝。
平均より高い、この身長が凄く嫌いだった。
女の子は小さい方がいい。
男性は小さい子の方が好み。
などこからか聞こえてきたそんな情報に苦しめられてきた。
高身長は一番のコンプレックスで、
猫背が私の癖だった。
ハイヒールが大好きだったけど、出番はいつもお部屋での一人ファッションショーの時だけ。
でも、あるとき、当たり前なことに気づいた。
小柄な可愛らしい女の子にどんなに憧れても、私の身長は縮まない。
「憧れる」というのはとても素敵なことだけど、それだけでは「自分」は何も変わらない。
私は縛られていた何かから解き放たれた。
高い身長を「好き」とはまだ言えないけれど、
受け入れてあげられるようになったのだ。
自分の意思では変えられないことで悩む時間はやめにしよう。
ないものねだりは、やめにしよう。
持ち合わせたものもピカピカに磨こう。
自分の意思で変えられるものに時間を注ごう。
そう思うようになったのだ。
「自分」を好きになりたい。
そんな「自分」は身長が高い。
そんな「自分」はヒールを履くのが好き。
「自分」を形づくる大事な欠片たちと一生懸命向き合ってあげたいと思うようになった。
もちろん、今でも、身長が同じくらいの男性と並ぶときは、弱気な自分がひょっこりと顔を出すし、
小さくて可愛らしい女子を目にすると嫉妬心で心の中はざわついてしまう。
「自分」の全て丸ごと慈しむにはまだ時間がかかってしまうかもしれない。
けれど、「自分」の一番の相棒は「自分」だから。
少しづつ。
背筋を伸ばして、ヒールを履いてお出掛けできるようになったのは、私にとっては物凄い一歩なのである。