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食べてるところを誰かに見られたくない

子どもの頃、昼間に隠しておいたチョコレートを夜中にこっそり食べたことがある。

イケナイことをしてしまった罪悪感や秘め事を抱えた高揚感とか色んな感情が混ざりあって、何ともいえない幸福感を感じていたように思う。

花柄の包装のチョコレートを今でも鮮明に覚えている。




食事は楽しいものだ。楽しいと思えることは幸せだ。

家族がいると食べたいものを好きに選ぶことが出来ないことがある分、一人でお昼ご飯を食べるときに「何食べようかなー」とワクワクする気持ちは、子どもの頃の夜中のチョコレートと似たところがあるように思う。


とはいえ、家族との食事はとても幸せなものである。


誰かと美味しいを共有出来るのは素敵なことなのだけど、家族以外の人との食事はどうしても疲れてしまう。

何を食べているかとか、どんな風に食べているかだとか、相手に確認されているように感じてしまうのだ。


相手がそんなことを気にかけていないのもわかってはいるんだけど、見られている気がして気が休まらなくて美味しいに集中出来ない。

そのせいでセンスが良さそうなメニューを選んだり、マナーを理解して食事をしていると思われようとする自分に気が滅入る。



本当はパスタはすすって食べたいし、カレーはグチャグチャにして食べたいし、お寿司は醤油に浸して食べたい。


行儀が悪いのも身体に良くないのもわかってるけど、その方が美味しいと思うのが私。

なりふり構わず好きな様に食べたらいいんだけど、そんな食べ方をしている人を見たら引いてしまうのも私。

私自身の価値観で自分を縛り付けてしまっている。



偏屈な私になったのは、夜中にこっそりチョコレートを食べる幸せを感じたせいなのかもしれない。

いや、偏屈だったから、夜中のチョコレートを幸せに思ったのか。

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