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これは、私の話。私という人間の、何の変哲もなく、普通に世界に紛れ込んでいる、どこにでもいるような、私という人間の。

きっと他の人から見たらどうでもいい、そんな人生。でも、私のすべて。今の私を形作るものたち。


本が好きな子どもだった。ちょっと夢見がちな、本の世界が現実にもある、そう信じているような。ハリーポッターの世界がこの世には存在しないなんて!と絶望しちゃうような。

今も、本が好き。紙を1枚1枚めくっていくあの感覚、紙の匂い。紡がれる言葉たち、言の葉。言の葉が重なっている。だから本って、一冊の木って書くのかな。とか思ったりする。まぁ、本という字の源を調べればちょっと違うんだろうけど。本って、そんな意味も持っている気がする。ページを捲るたびに高まっていく気持ち、高鳴る胸。日本語って綺麗だ。どんな言葉を使うかで、印象が全然違う。言葉の重み。そんなことを思いながら、登場人物たちに感情移入したり、自分のことに置き換えて考えてみたり。そんな時間が好き。紙を捲る音も好き。


人が好き。あんまり詳しく知りたい、とか思うことはないんだけど。でも、人が好き。笑った顔を見るのが好き。泣き顔を見せてくれるのは嬉しい。その人の感情の一部分に触れられることが嬉しい。触れてもいいよ、と言ってもらえる、思ってもらえることが嬉しい。

人って、すごく悲しい生き物だと思う。でも同時に、すごく可愛い生き物。愛おしいと思う、そんな人間を愛したいと思う。
人間が人間たるには、理性が要る。そんな言葉を聞いたことがある。それでも人は理性だけでは生きられないし、多分、いざって時は本能に引き摺られるんだと思う。そんな人間が好き。

これまでに出会ってきた人、これから出会う人、一生出会わないかもしれない人。今も一緒にいる人、寂しいけれど色んな理由でお別れしてしまった人。全部大切にしたいと思う。


夜中、誰もいないぐらいの時間に散歩するのが好き。あの時間だけは何をしても良くて、自由を噛み締めていられる。いつもだったら見つけられなかった花や看板、貼り紙。全部鮮やかに見えて、いつもとは違う表情を見せる景色に、道に、溺れる。


今書いたのは、ほんの一部だと思う。私を形作るものなんて絶対もっとたくさんある。でも書ききれないのは、思い出せないぐらい私に溶け込んでしまっているからだと、そう感じる。

本当は、「私」というタイトルでフィクション風のノンフィクションを書くつもりだった。でも、言い表せないものや、あとからあとから溢れてくる思いをずっと書いていたら一生書き終わらないかもな、と思ってやめた。いつか書きたい、でも今はまだ整理できない。きっと、いつか書き終えたとしても、多分、まだ未完成だ。

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