監督指針は「法令/法令等」に該当するか?
監督指針は「法令」か、悩んだことはありませんか?
以前の記事で、「法令」とは何かについて説明しました。
監督指針は法律の委任に基づくものではないので、命令(政省令)には該当しません。
よって、「法令」ではありません。
この点に言及したパブコメがあります。
金商法施行令第15条の4第1号の、
「法令等(法令、法令に基づく行政官庁の処分又は定款その他の規則をいう。)」
に関する、金商法施行時の以下のパブコメです(152頁No12)。
Q: 金商法施行令案第15条の4第1号の「法令」には、法律、政令、内閣府令、告示、監督指針、検査マニュアル等のいずれを含むのか。「法令」に含まれないものがある場合、「法令等」に含む趣旨か。
A: ご指摘の「法令」には、「法律」「政令」及び「内閣府令」等が含まれるほか、法令で引用されている「告示」等の内容も、法令を遵守する上で参照されるべきものと考えられます。
また、「監督指針」や「検査マニュアル」は、当局が監督や検査を行う際の着眼点を公表しているものであり、法令そのものではありませんが、法令を遵守する上で留意されるべきものと考えられます。
なお、「定款その他の規則」は金融商品取引業協会や金融商品取引所の「定款その他の規則」を指すものです。
パブコメ回答の中で、
「『監督指針』は・・・法令そのものではありません」
と明記されていることが確認できます。
では、監督指針は「法令等」に該当するか、こちらはどうでしょうか?
法令や契約の中では、単に「法令」ではなく、「法令等」という用語が使用されることがあります。
例えば、契約で「法令等に違反したとき」が解除事由となっているとき、監督指針違反が解除事由になるか、という問題です。
上記のパブコメ回答では、
「『法令』に含まれないものがある場合、『法令等』に含む趣旨か。」
との質問に真正面から答えてはいません。
しかし、監督指針に関して、
「(法令そのものではありませんが、)法令を遵守する上で留意されるべきもの」
としており、法令以外の「法令に基づく行政官庁の処分」や「定款その他の規則」に該当するものではない旨が含意されています。
よって、監督指針は、金商法施行令上の「法令等」には該当しないと考えられます。
金商法及び金商業等府令においても、同内容で「法令等」が定義されていますので、監督指針は、同様に「法令等」には該当しないと考えられます。
契約においては、その契約内での「法令等」の定義次第ですが、わざわざ「法令等」の定義を規定している契約は多くありません。
この場合、当事者の合理的意思解釈の問題となり、その意思解釈において法令で用いられている「法令等」の定義は参考にされるものと思います。
そうすると、特段の事情がない限り、契約においても監督指針は「法令等」に該当しないと解釈されるものと考えられます。
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