極真金融コンサル

金融について真実を極めるブログです。「他社ではどうしているか」ばかり追いかけていません…

極真金融コンサル

金融について真実を極めるブログです。「他社ではどうしているか」ばかり追いかけていませんか?文献は似通った内容のものばかり、肝心なことが書かれていないと思うことはありませんか?取材・ご相談はkyokushinfc7@gmail.comまで。

最近の記事

運用会社とマネロン(その3)

ややマイナーな論点として、 「運用会社が運用として行う有価証券の売買の媒介や代理に関し、取引相手方の取引時確認が必要か」 というものがあります。 問題となる規定は、犯収法施行令7条1項1号リです。 ここに取引時確認の対象となる取引(特定取引)の一つとして「金商法2条8項1号から6号…に掲げる行為」と規定されており、「有価証券の売買…の媒介…又は代理」が含まれています(金商法2条8項2号)。

¥100〜
割引あり
    • 運用会社とマネロン(その2)

      運用会社が顧客の取引時確認を行わなくても良い理由は、犯収法の中にあります。 取引時確認の対象となる取引(特定取引)は犯収法施行令7条1項1号に列挙されていますが、その一つである「投資運用業に係る契約の締結」から「当該契約により金銭の預託を受けない場合」が除かれています(同号ヌ)。 運用会社は、原則として顧客から金銭の預託を受けることが禁止されています(金商法42条の5)。投資運用業のうち自己運用業は除外されていますが、これは自己運用業の業務の性質上当然のことです。 その

      • 運用会社とマネロン(その1)

        金融機関におけるマネロン対策の歴史は古く、2003年1月に施行されたいわゆる本人確認法にまで遡ることができます。 2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が起こり、テロの資金源を根絶するための世界的な取組みの一環として、日本でも法制化されました。 本人確認法は、金融機関に顧客の本人確認を義務付けるものでした。主に銀行や証券会社が顧客の本人確認を行い、疑わしい取引がないかチェックするようになりました。 2008年3月に犯収法が施行され、本人確認法は廃止されました。確

        • 投信協会の定款諸規則等(英語版)の公表

          投信協会が定款諸規則等の英語版を公表しました。 これまで英語版は公表されていませんでしたので、参考になります。 しかし、もともと投信協会の定款諸規則等は日本語として難があるところが多く、これが直訳に近い形で翻訳されていることから、非常に分かりにくい英語版になっている印象を受けます。 投信協会では、2020年に、投資信託の運営に係る諸規則等の見直しに関する意見募集を行いました。 中心となる「投資信託等の運用に関する規則」をはじめとして33の諸規則等を対象としており、投信

        運用会社とマネロン(その3)

        ¥100〜

          少人数私募投信の特徴と留意点(アップデート)-6か月合算から3か月合算へ

          以前の記事で、勧誘人数のカウントに関する6ヶ月合算ルールに触れました。 発行日前6か月以内に同一種類の有価証券の勧誘を行った場合、その勧誘人数を合算しなければならないというルールです(金商法2条3項2号ハ、施行令1条の6)。 この度、この金商法施行令1条の6が改正され、「6ヶ月→3ヶ月」になりました。合算される期間が短くなったわけですから、規制緩和です。 https://www.fsa.go.jp/news/r3/shouken/20220128.html 施行は令和4

          少人数私募投信の特徴と留意点(アップデート)-6か月合算から3か月合算へ

          少人数私募投信の特徴と留意点(その6)-個人投資家の課税関係

          最後に、個人的にはこれが最大の阻害要因と考えているのが、個人投資家の課税関係です。 適格機関投資家私募は、「適格機関投資家」のみにしか勧誘することができません。 個人で「適格機関投資家」になるには、所定の資産要件等を満たしたうえで当局に届出を行う必要があります。この届出を行う個人は限られていますので(金融庁のHPで公表されています)、通常、適格機関投資家私募投信の勧誘の相手方は法人です。 少人数私募投信は、私募でありながら個人の投資家にも勧誘できるところに利点があるので

          ¥500

          少人数私募投信の特徴と留意点(その6)-個人投資家の課税関係

          ¥500

          少人数私募投信の特徴と留意点(その5)-49名以下にしか勧誘できない

          49名以下にしか勧誘できない点も、少人数私募投信の利用をためらう理由になります。 勧誘を行う相手方の人数が50名以上となると募集(公募)になってしまう(金商法2条3項1号、施行令1条の5)ため、勧誘人数を49名以下に抑える必要があります。 多くのお客様にご投資いただきたいと思っているのに大々的に営業することができません。これでは投資信託を組成する側として意欲がそがれてしまいます。 ところで、発行日前6か月以内に同一種類の有価証券の勧誘を行った場合、その勧誘人数を合算しな

          ¥300

          少人数私募投信の特徴と留意点(その5)-49名以下にしか勧誘できない

          ¥300

          少人数私募投信の特徴と留意点(その4)-約款の内容等を記載した書面の交付が必要

          また、少人数私募投信では、約款の内容等を記載した書面(以下「約款内容等記載書面」といいます)の交付も必要になります。 金融商品取引業者(投資信託委託会社)は、原則として、約款内容等記載書面を交付しなければなりません(投信法5条1項本文)。 もっとも、目論見書に約款内容等記載書面に記載すべき事項がすべて記載されていれば、当該書面の交付は不要になります(同項1項ただし書)。 公募投信では、この規定を使って約款内容等記載書面の交付を省略しています。 どの投資信託のものでもい

          少人数私募投信の特徴と留意点(その4)-約款の内容等を記載した書面の交付が必要

          少人数私募投信の特徴と留意点(その3)-運用報告書の作成・交付が必要

          少人数私募投信の利用が多くない理由の一つに、運用報告書の作成・交付義務があげられます。 投資信託委託会社は、原則として、投資信託財産について運用報告書を作成し、交付しなければなりません(投信法14条1項)。 適格機関投資家私募であれば、投資信託約款において運用報告書を交付しない旨を定めることによって免除され(同条2項)、実務上必ずそのようにしています。 しかし、少人数私募にはこの免除規定の適用がありません。 「私募なのに運用報告書を作成・交付しなければならない」 こ

          少人数私募投信の特徴と留意点(その3)-運用報告書の作成・交付が必要

          少人数私募投信の特徴と留意点(その2)-少人数私募と一般投資家私募は同じ意味?

          まず最初に、言葉の整理をしておきたいと思います。 少人数私募は金商法の用語で、一般投資家私募は投信法の用語です。 そのため、一般投資家私募という言葉は、投資信託でしか用いられません。 では、投資信託において、少人数私募と一般投資家私募は同じ意味かというと、法令上はそうなっていません。 金商法では、私募に該当しない場合は募集(公募)に該当することになっているのに対し(金商法2条3項2号柱書)、投信法では、公募(募集)及びその他の私募(適格機関投資家私募及び特定投資家私募

          少人数私募投信の特徴と留意点(その2)-少人数私募と一般投資家私募は同じ意味?

          少人数私募投信の特徴と留意点(その1)-はじめに

          投資信託は募集形態により公募投信と私募投信に分類されます。 そして、私募投信の中でも、さらに①適格機関投資家私募、②特定投資家私募、③少人数私募(一般投資家私募)に分類されます。 ①の適格機関投資家私募は、投資のプロである「適格機関投資家」のみに勧誘することができる募集形態です。通称「プロ私募」とも呼ばれます。 ②の特定投資家私募は、情報収集能力・分析能力が十分備わっていると認められる「特定投資家」のみに勧誘することができる募集形態です。 平成20年金商法改正により新たに

          少人数私募投信の特徴と留意点(その1)-はじめに

          投資一任契約と金販法の重要事項説明(その3)

          現在では、投資一任契約の顧客についても、「重要事項説明書」を交付するのみとされているのではないでしょうか。 ・「重要事項説明書」 ・(説明不要とする)「意思表明のお願い」文書 ・(説明不要とする意思表明の)「確認書」 の3点セットのうち、「意思表明のお願い」文書と「確認書」は、あまり見かけなくなりました。 この理由ですが、多くの人は、 ・通常の有価証券、信託商品や保険商品と同じように考え、契約締結までに1回説明すればよいと誤解している、 ・金販法施行時に、立法担当官によっ

          ¥300

          投資一任契約と金販法の重要事項説明(その3)

          ¥300

          投資一任契約と金販法の重要事項説明(その2)

          金販法の重要事項説明は、顧客から説明不要の意思表明がある場合は不要となります(同法3条7項2号)。 そこでまず考えられたのが、投資一任契約の顧客については説明不要の意思が推定できないか、というロジックです。 説明を受けるということは、その説明を聞いて、内容如何によっては顧客が個別の取引を行わないと判断することもあるということです。 判断に影響を与えない、単に説明を受けるだけというのでは、業者に説明義務を課した意味がありませんので。 この、顧客が判断する(ことがある)と

          投資一任契約と金販法の重要事項説明(その2)

          投資一任契約と金販法の重要事項説明(その1)

          投資一任契約締結の際には、契約締結前交付書面に加えて、重要事項説明書も顧客に交付されます。 契約締結前交付書面は金商法に基づく書面、重要事項説明書は金販法に基づく書面です。 どちらもリスクについて記載されます。だぶっているように感じます。 実際、金商法施行の際には、金販法上の説明義務を金商法に移行して金販法を廃止することも検討されたようです。しかし、結果として存置されました。 金販法は民法上の不法行為責任の特則を定めたものであり、業法規制としての金商法とは性質が異なる

          投資一任契約と金販法の重要事項説明(その1)

          監督指針は「法令/法令等」に該当するか?

          監督指針は「法令」か、悩んだことはありませんか? 以前の記事で、「法令」とは何かについて説明しました。 監督指針は法律の委任に基づくものではないので、命令(政省令)には該当しません。 よって、「法令」ではありません。 この点に言及したパブコメがあります。 金商法施行令第15条の4第1号の、 「法令等(法令、法令に基づく行政官庁の処分又は定款その他の規則をいう。)」 に関する、金商法施行時の以下のパブコメです(152頁No12)。 Q: 金商法施行令案第15条の4第

          監督指針は「法令/法令等」に該当するか?

          「販社様」(おまけ)- 成功報酬のシェアリング

          最後に、これは微妙な問題ですが、販売会社が成功報酬のシェアリングを求めてくることがあります。 国内投信ではシステムの制約などのためフェアな成功報酬の設定が難しいという問題がありますが、それでもいくつかの投資信託で成功報酬が採用されています。 この成功報酬、本来は運用パフォーマンスの対価です。 良い運用成績を収めた(アウトパフォームした)ときに、そのアウトパフォームした分に一定割合をかけて成功報酬の金額を算定するのが一般的です。 販売会社は、販売業務を行うだけです。 運用

          「販社様」(おまけ)- 成功報酬のシェアリング