マテリアリティポリシー(その5)
このような状態が長く続いていましたが、近年、この論点に一定の進展がみられました。
2019年9月9日に、投信協会内に設置された委員会より「基準価額算出に係る実務者検討報告書」が一般公表されました。
この報告書は、運用会社と受託銀行の両者が基準価額の計算としているという基準価額の二重計算問題について、一者による基準価額算出を行うとした場合の論点について整理したものです。
この報告書の中で、マテリアリティポリシーについて重要な言及がなされているのです。
具体的には、この報告書13頁の以下の記述です。
「本委員会では、一者による基準価額算出を導入する場合には、業界統一のマテリアリティポリシーは必須であり、その具体的なあり方を検討すべきではないかとの提案もなされた。現行の投信法 21条に照らせば、任務懈怠の範囲等は、個々の状況及び事象に応じて判断されるものであることに鑑み、個別の検討によってマテリアリティポリシーを利用する運営は、一概に否定されるものではないと考えられる。」
非公式でこのような見解を仄聞したことはこれまでもあったものの、書面でマテリアリティポリシーの可能性に触れられたものは、筆者の知る限り、この報告書が初めてです。
この報告書を踏まえ、投信協会規則としてマテリアリティポリシーが制定されることになるのか等、今後の動向に注視したいところです。
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