マテリアリティポリシー(その3)
基準価額に誤りがあった場合の問題は、日本では、投信法 21 条の解釈問題として議論が展開されています。
投信法21条では、「投資信託委託会社・・・がその任務を怠ったことにより運用の指図を行う投資信託財産の受益者に損害を生じさせたときは、その投資信託委託会社は、当該受益者に対して連帯して損害を賠償する責任を負う。」と規定されています。
ここから、投資信託委託会社は能動的に賠償することが事実上求められており、たとえ1円の誤りであっても見過ごすことはできないと考えられてきました。
しかし、1円の誤りを訂正するのに膨大な作業とコストを要する場合、その訂正を強いるのは現実的ではありません。
実際、諸外国では、基準価額の誤りが重大でない(Materialでない)場合は訂正を行わないことが認められています。
例えば、法令や協会規則で、基準価額対比で0.5%(=50bps)以内であれば訂正を行わないことが認められている国があります。
業界では、これを50bpsルールといい、50bpsルールに係る規程をマテリアリティポリシーと呼んでいます。
日本においても、マテリアリティポリシーの必要性は認識されており、投信協会においてその案文が作成されたり、マテリアリティポリシーを認めてもらうために金融庁にご相談に伺ったりしたようですが、当時は良いお返事をいただけなかったようです。
<参考文献>