7月21日のものがたり
その舞台の只中でずっと
星空の下にいるような
気持ちだった
ふと
いつかモロッコで会った
砂漠の民の顔が浮かんだ
砂漠の民は 花を持たない
毎日 毎日
星が瞬き出すまで
彼らは色のない砂漠を
駱駝と歩きつづける
だから
休息のひととき
広げられる絨毯はせめて
色とりどりの花の模様なんだと
つまり
彼らの魔法の絨毯は
移動可能の花畑って訳だ
この絨毯があれば
空の下にも
星の海にも
どこまでも飛んで行ける
だから
彼らはどこへも帰らないでいいんだ
と 妙に納得したことをおぼえている
さて
昨夜の砂漠から戻り
手元に残ったのはtotoさんの詩集
いい色の緑の文字で
ひとつひとつ
打たれた言葉たちの色
「色をつける」
ただそのことを
生まれてからずっと
やっているのかもしれない
と いま
うちの空飛ぶ絨毯の上で
考えているところです