全ては幸福のスパイス
もしも今、自らが不幸の最中にいると感じている人がいるのならば、それはとても幸福なことだと気づいて欲しい。
不幸と一言で表しても、その状況は様々だろう。もしかしたら、他の誰かと比べて『自分はまだ恵まれている』と思うことで切り抜けようとしてしまうかもしれない
けれど、あなたが見る空の青色が、その他の誰かにとって同じ"青色"に見えている保証がないのと同じように、感情や心は比べようがないのだ。
ただ、どのような状況だとしても、あなたにとって心苦しい日々が、出来事が自らを取り巻いているのならば、一つだけ確かなことがある
あなたの心を窮屈に縛りつけ、立ち止まらせているものは、いつしか訪れる幸せをより引き立てるスパイスとなってくれる、ということを
誰かにとって当たり前な日常ですらも、痛みを知っているあなたにとってはかけがえのない幸せとなるだろう
それはまるで、初めて立ち上がれた赤子のように、ようやく言葉を発することができるようになった幼児のように、いつか訪れるであろう他の誰かでは日常だと見逃してしまうような普遍的な幸せですらも、たちまち世界が広がっていく感覚にしてくれるはずだ
あの頃があったから、今穏やかに、ゆるやかに日々を味わえているのだ、と思える時が来たら、あなたは今耐え忍んでいる自らを愛し慈しむことができるだろう
苦しみから逃げるのではなく、とことん味わい尽くしてしまえばいい
青草のような苦々しさが、無味の水ですら甘く感じさせるように、あなたは誰よりも幸せを敏感に感じ取れるようになる
いつか誰かに向けられる微笑みは、ヒリヒリとした焦燥感にじんわりと染み込み、ぬくもりを一層際立たせてくれるだろう
その時まで、もがき足掻きながら、ただ生きていればいいのだ。
あなたがまだ知らない日々が、瞬間が、ほんの何分か後にですら存在する可能性が限り、何ひとつ変わらないことはありえない。
だから、図々しく生き続けるのみだ、と私は開き直ってみる