いちじくの木のもとで
灼けるような大地のうえで
少女は真実を探していた
さらさらと足を撫でた
砂と風をうしろに置いてきた
この世界に生まれた時から
安全ではないと感じた
ほんとうのことを探求する
「癒し」
それ以外にはなにも知らなかった
すれ違う行商人は
じろじろと少女を見た
少女は
汚れた水によって内側から腐る
いちじくの木のように静かに朽ち果てたかった
のだけれど
ジリジリと照りつける太陽に
熱せられた砂
その上で蒸発したのは
キオクとコトバ
記憶と言葉
彼女は死んだ
いちじくの木を一滴うるおすこともかなわず
嘘の中で
絶えず侵入する何者かに安全を脅かされながら
彼女はただ無意味に死んだ