どうせ○○だから…はできない理由にならない
あるセミナーで、ちょっと変わった話し方をするな、と思った女性がいた。一番前の席に座り、積極的に講師に質問していた。
なんと、生まれつき耳が聞こえないという。
もうめちゃくちゃ驚いた。
補聴器をつけてもやっとなんとなく聞こえる状態なのに、一日がかりのセミナーに参加しているのだ。
どうやって話を理解しているのか?
「読唇術」というものを使っているそうだ。相手の唇の動きで言葉を読み取る技術だ。
懇親会で彼女と話をすることができた。
それはそれは驚きの連続だった。
小学校からずっと普通の小学校の普通のクラスで学んだ、と。
毎年彼女のお母さんが担任の先生と話をして、なるべく黒板に書いたり、子供たちのほうを向いて話をするようにお願いしたそうだ。
普通に高校受験もして、なんと、大学からは1人暮らし。
有名な一般企業に就職したと。
今は同じく耳の聞こえない旦那さんと、お子さんが2人。そして犬2匹と幸せそうな家庭を築いている。
さらに一人でお子さんを連れて、海外旅行にも行ったことがあると!
英語が話せなくて聞き取れないのは他の日本人と一緒だから。とあっけらかんと笑って言いのける彼女に、確かに!とうなずくしかなかった。
私の中で、ハンデを持った人への固定観念が、音を立ててガラガラと崩れた一日だった。
なにしろとにかくとにかく明るいのだ。
その場にいるメンバーの誰よりもエネルギッシュで、楽しそうに大笑いする姿を見ていて、彼女のお母さんの育て方が気になり質問してみた。
とにかくスパルタだった、と言っていた。
お母さんは「手話はあなたのためにならない!」と一切使わなかったから、彼女は高校まで手話は知らなかったそうだ。すべて口の動きで会話をし、発音練習もものすごく頑張ったそうだ。
・・・ヘレンケラーとサリバン先生を思い出した。ワガママ放題で育ったヘレンケラーは、サリバン先生の愛のあるスパルタ教育によって開花したのだ。
彼女も「すごく大変だったけど、お母さんには本当に感謝してる」と言っていた。
周囲の目、根気、挫折、苦しみ、悩み…
今の明るい彼女からは想像できないけれど、おそらく並大抵のものではなかったはずだ。
そして今なお、自分の新しい可能性を広げるためにこうしてセミナーに参加し、挑戦を続ける彼女を見て、なんだか身体の芯からブワァッと熱いものが出てきた。
◯◯だから…
どうせ◯◯だし…
私には◯◯なんてとてもとても…
言い訳を作って自分にリミットを作ってる場合じゃない。
可能性は自分で広げるもの。
よしっ!
年の始めにステキな出会いがありました。
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