いつにも増して風を感じて
玉転がし(ゴルフ)の試合の時の話。
結果とかは覚えていないけれど何かの決勝大会の時のこと。
自分のキャディバックだけを積んで自分で押して回るためにある手引きカートを用いて、ゴルフ場を歩き回っていた。
基本的に試合中は自信満々、私の玉転がしみりゃんさい!ぐらいのテンションで(心の中だけ)
脳内BGMもガンガンに流してノリノリでラウンドしている。
確か少し日も短くなってきた頃の秋。決勝大会で自分や同じ組の親も見ている中でプレーを進めて午前のラウンドが無事に終わり、お昼休憩でほっと一息ついてから午後のラウンドへと向かった。
ちょっと風が出てきたな。
午前の風・午後の風と、朝と昼では風の質が変わる。風向きとか強さとか、ちょっとニュアンスが変わるみたいな感じだ。なのでそんなことを思いながら、ちょっと膨れたお腹をひとつぽんっと叩きつつ最初のホール。
ナイスショット!
セカンドに繋がるいいティーショットを打った後には、お昼を食べて重くなったはずの体も軽やかな足取りで次の場所まで歩いて行った。
なぜだか涼しい。
後ろから方向どりをしてる時にあることに悟った。私は恐る恐る視線を向けると、ズボンのチャックがこれでもかってぐらい口を開けている。
あーあーあーと顔を赤くし、みんなに気づかれないようにとりあえず打ったショットは控えめにグリーンの隅にオン。
私もそのくらい隅に行きたいと懇願したものの、どこを見渡しても緑が続くゴルフ場をいつもより風を感じながら漂う高校生の私だった。
えのもときょうか