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化石のナッジ
「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、
人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック
を指す。
たとえば…
感染予防のための消毒液を使う人を増やしたいと考えたある病院。
「真実の口」のレプリカを作り、そこに手を入れるとスプレーされるようにした。
すると消毒する人が増えた。
「真実の口」って、映画「ローマの休日」で有名になったアレです。
口の中に手を入れて嘘をついたら切り落とされるという伝説のアレ。
アレのレプリカから消毒液が出るのを人々は面白がった。
おかげで病院の院内感染が減った。
ナッジとは、こういう感じのもの。
無理やり感はない。
ナチュラルに人を動かす。
▽
恐竜の化石がよく見つかる国立公園でのお話。
来訪者がよく化石を掘って持ち去るのを止めさせたいと思った管理者は、こんな看板を出した。
「年間で何十トンもの化石が持ち出され、失われています」
どうなっただろうか。
じつは、化石の持ち出しが増えた。
(3倍に増えたという)
これは、読んだ人が
「そっか、みんなも持ち出してるんだな。じゃあ、自分も持ち出そう。自分1人が我慢しても意味ないしな」
と考えたからと言われている。
みんなと同じ行動をとると安心するという
「同調バイアス」
が働いたようだ。
「同調バイアス」とは、他人が行っていることを自分も行うことで安心感を得ようとする心理傾向のこと。
「年間で何十トンもの化石が持ち出され、失われています」
というメッセージは、多くの人が化石を持ち出しているという印象を与え、その結果、
「自分も持ち出しても問題ない」
という考えを促してしまった。
反省した管理者は、後に看板メッセージを変えた。
「化石を持ち出す人はほとんどいません。ひきつづき化石の保全にご協力をお願いします」
これで化石の持ち出しが減った。
▽
この事例を協会運営や会員獲得、メンバー活性化に応用する方法を考えてみる。
ポジティブメッセージの強調:会員や参加者に対してポジティブな行動の例を強調し、そのような行動が一般的であることを示すことで、望ましい行動を促進する。たとえば「多くの会員がこの活動に積極的に参加しています」といったメッセージを通じ、他の人々も参加しているという印象を作る。
成功事例の共有:成功した会員や活動の事例を共有し、模倣することで同じ成功が得られることを示す。これも社会的証明を利用して、望ましい行動や参加を促すことにつながる。
透明なフィードバックシステム:会員からのポジティブなフィードバックを公開し、良い行動をした人を表彰することで、他の会員にも良い行動を促す。これにより、「良い行動が正常である」という印象を強化する。
参加者の声にフィーチャーするキャンペーンの実施:会員や参加者自身によるポジティブな体験談や証言をSNSやニュースレターで積極的に共有する。たとえば、「私たちの活動に参加して変わったこと」というテーマで、実際の会員の声を集め、公開することで、他の人々の参加を促すことができる。これは、実際に活動に参加した人々の肯定的な経験が他の人々に強い影響を与えることを利用した戦略となる。
行動誘導サインの設置:他の多くの人が参加していることを示すサインやバナーを設置する。たとえば、「今月はすでに〇〇人が参加しました!」といったメッセージを掲載することで、見た人々にその活動が人気であることを示し、参加を促す。