なぜおいしいかを語ろう
はじめに
「受講したらこんな知識やスキルが学べる」
「受講したらこんな認定が得られる」
などの「効果効能」しか語っていない認定講座をよく見かける。
その認定講座を作った経緯やプロセスは、語られていない。
「会員になったらこんな良いことがある」
といった「効果効能」しか語っていない協会もよく見かける。
その協会を設立せざるを得なかった経緯やプロセスが語られていない。
わざと語っていないのではなく、気づいていない。
そこを語ろうという発想をしていない。
かなり、もったいない。
というわけで今回は、
「経緯やプロセスも、しっかり語ろう」
という話をしたいと思う。
経緯やプロセスとは
「経緯やプロセス」は、講座や協会の価値を高める要素になる。
認定講座の場合、「受講したらこんな知識やスキルが学べる」以外の情報。
たとえば
講座が開発された過程
講座内容がどのように組み立てられたか
その根底にある価値観はどのようなものか
といった情報。
協会の場合、「会員になったらこんな良いことがある」以外の情報。
たとえば
協会が設立されるまでの過程
設立のきっかけや困難を乗り越えた経緯
その結果どのように今日の形になったか
といった創設のストーリー。
つまり「効果効能」以外の情報。
「効果効能」は表面上の価値に過ぎない。
料理にたとえれば、「効能効果」はたんに「おいしい」と言っているにすぎない。
「なぜおいしいのか」の説明も、あったほうがよい。
関サバの「おいしい」以外の情報
「関サバ」の例を挙げて説明したい。
関サバは、豊予海峡で漁獲され、大分の佐賀関で水揚げされるサバで、魚の高級ブランドとして知られている。
一般のサバに比べ、価格はうんと高い。
面白いのは、海にいるときは同じサバなのに、水揚げされてから価値に差がつくという点だ。
他のサバは、大量の網でまとめて捕え、しめ、出荷される。
それに対し関サバは一本釣りだ。
生きたまま港に持ち帰る。
網でまとめて捕まえたら、サバどうしが衝突し傷ついてしまうからだ。
さらに関サバは「競り」も特殊だ。
普通は、サバを計測器に置いて競る。
しかし関サバの場合、水槽に泳いでいる姿を見て決める(面買いという)。
出荷の際には、もっとも新鮮さを保てると言われる「活けじめ」で出荷される。
また、店舗のほうも、関サバの取扱店になるには、特別な認可が必要だ。
つまり関サバは、食卓に届くまでの手間やプロセスが多い。
このことが伝わっているから、関サバには高値がつく。
関サバは、「おいしい」以外の情報量が、圧倒的に多いのだ。
おいしいかを語れば、おいしくなる
同様のことが、認定講座や協会にも当てはまるだろう。
多くの認定講座や協会は、効果効能を中心に語られている。
「この講座を受ければ、あなたは〇〇の能力が身につく」
「会員になれば、あなたの生活は改善する」
というように。
しかしそれだけでは「おいしい」と言っているにすぎない。
「なぜおいしいか」が語られていない。
「おいしい」以外の情報を蓄積しよう。
講座や協会ができるまでの経緯や過程、その背後にある理念や価値観。
講座を通じて何を変えたいのか。
協会活動を通じて何を達成したいのか。
そしてその理由は何か。
これを明らかにし伝えることで、
講座はただの教育プログラムから、想いや使命が込められた「体験」へと昇華する。
協会は単なる会員システムから、共感や信頼を生むコミュニティへと進化する。