#24 雪は瑠璃色の中に / Snowfall and Lapis Lazuli
I. 解説: 初夏の雪
夏も目前だというのに,季節感ガン無視で雪の曲を書いた.イメージ的にはパワーバラード.より仔細な情景を記すと,この曲は少し肌寒い部屋の中で赤子をあやす母の曲である.ほぼ思考停止で書いたので解説するようなこともないのだが,何も書かないわけにもいかないため,何とかひねり出すことにする.
冒頭,ただの前奏ではあるのだが,この曲で終始登場するモチーフになる.コードはBm > A > G.右手の方でsusっぽい響きを拾っている感はある.薄く曇った窓ガラス越しに,静かに降る雪を眺める様である.
[A]で最初の主題.コードは相変わらずのBm > A > GからのG > A > D(Bm).この曲を作るにあたって意識したことが,極力同じリズムを繰り返しつつも音を変えるということ.規則的なようで不規則的な雪をそんな風に表したかった.[B]では内声が加わり若干勢いを増すと共に,サビ([C])の爆発感を高めるため,少し緊張感を強める.
[C]はサビ.懐の中で優しい寝息を立てて寝ている小さな命に目を向ける.暖炉の中,ゆらゆらと安楽椅子を揺らしながら,背中をたたくのである.進行は,世間的にはカノン進行と呼ばれるものなのだが,これをカノン進行を呼ぶのは業腹なため,ここでは変形カノン進行と呼ぶことにする.D > A > Bm > A > G > D > Em > Aである.本家のカノン進行ではBm > AではなくBm > F#m,D > EmではなくD > Gである.
[D]はCメロ+Bメロのつもり.Bメロを後回しにしてCメロとくっつけて,そのままサビにもう一回突っ込んだらおもろくない?という何ともいい加減な理由での配置である.
[E]は間奏.冒頭の動機である.VI♭ > VII♭> Iのノンダイアトニックがド定番だが,敢えてのIII > IV > Vがドえっちなことに気付き,ここにねじ込んだ.一応転調ということにしているが.転調前のVと転調後のVIが同じことを利用しているわけだ.ここではVsus4(転調しているので正確にはVIsus4)を挟み,FM7 > G7 > Asus4 > Aである.
間奏が終わってAメロ[F]再び.[G]はちょっと面白い(自賛)ことをしていて,旋律自体は[C]のサビと全く同じなのだが,つけているコードが異なる.IIm (ここではEm) でスタートすることでBメロっぽい感じになるのだ.
71小節目はAcid Black Cherry『イエス』のラスサビ前のオマージュ.
ご本家様だとIV > IV > III (C > C > B)で,これを契機としてト長調から変イ長調へ転調する.このたった三音のキメがカッコよくてずっと何かで模倣したいと思っていたのだが,今回ここで放つことにした.私の場合は単にこのキメの部分を入れただけで転調はしないのだが.
で,そんなとっておきのキメを入れて何が始まるのかというと,大サビ[H]である.ここの譜面をみると,先程の「極力同じリズムを繰り返しつつも音を変える」という方針が分かりやすいだろう.
そして最後に[I].冒頭の旋律に戻り,雪のように消え入るような終わり方をする.
II. 楽譜&音源配布
ここに書いてあるルールを守ってくれれば使途は問わない.
《楽譜ファイル (PDF)》
《高音質音源ファイル》
WAV形式のCD音質 (44.1kHz/16bit, 1411.2kbps) / 容量超過につきnoteに直接アップロードできないため,以下の外部アップローダーからダウンロードしてください.以下のリンクに飛んだ後「ダウンロード」を押すか,「ダウンロード」の右にある「v」を押して「標準ダウンロード」を選択すればダウンロードできます.
《並音質音源ファイル》
MP3形式のストリーミング音質 (320kbps)
III. あとがき: 私の音楽遍歴
恐らく私のことを知っているひとなら,まさか記事でAcid Black Cherryの名が出てくるとは思わなかったと思うのだ.今一度ここで自分の音楽の遍歴を整理してみようと思う.
まず結構勘違いされるのだが,ピアノを習っていたわけではない.まあ詳しい経緯はパンドラの記事に任せるとして,かいつまんで話すと,「中学2年生のときに」「曲を作りたくなったので」「弾けた方が色々便利だからピアノを頑張って習得した」のである.したがって小さいころからクラシックに触れてきたなんてことはない.
母はバンギャ(ヴィジュアル系オタク)で,父はパンクとかメタルとかのギターがごりごり鳴っているのが好きなタイプ.まあいずれにせよギターがじゃんじゃか鳴っているような音楽だ.基本的にそういった土壌があったので,今でもギターがないorギターが軽いような曲はちょっと違和感がある場合が多い.
ABCを知っているのはV系好きな母の兼ね合いである.『イエス』の発売当初は家の中でも車の中でもずっとヘビーローテーションしていたので飽きたのだが,それでも初めて聴いたときのラスサビの先述のキメと転調は鳥肌が立ってずっと記憶に残っていた.
また,私が変拍子を多用するのもV系の影響だったと思う.母が聴いていた曲で変拍子の曲があって,独特の雰囲気が印象に残っていた.ただ,その曲が誰の何だったかは覚えていない.母のV系コレクションも膨大で,母に聴いてもどれか分からないのだ…….
さて,そういったギターの受動喫煙を受けていた中,音楽を自発的に聴くようになったのは小5の頃.この頃から深夜アニメを摂取するようになり,その兼ね合いでOPやEDの曲のCDを少ない小遣いで買うようになったのだ.BLに本格的に染まり出したのもこの頃だった.
中学では吹奏楽部に入った.雑かつ不誠実極まりない理由なのだが,新入生向けのオリエンテーションの際の部活紹介で吹奏楽部が演奏していたのを観て,「こんな間抜けなツラした奴らでもこんなかっこいい演奏出来るならワイでも出来るやろ」と思ったのである.なんやこのクソガキ.
担当はトロンボーンだったのだが,この担当が決まった経緯も中々雑で,「お前は背高いからトロンボーン映えるやろ」という何とも言い難いものである.
まあそんなこんなで,吹奏楽に入ったことでクラシックや流行りの音楽の類も(半ば強制的に)摂取させられることになり,音楽の嗜好の幅がかなり広がったわけだ.
また,この頃にオタクの友達が出来てVOCALOIDなるものの存在を知り,支配的な嗜好がボカロに向いた.たまに,ボカロはあくまで演者が機械というだけであって,音楽のジャンルではないよなとは思うのだが,それでもボカロの曲には何故か好きな曲が多い.楽器屋の楽譜コーナーにもボカロが単独で立項されている辺り,いちジャンルとして市民権を得ているのだろう.
以上を綜合すると,「母のV系」「父のハードロック」「部活」「ボカロ」の4点が私の音楽の起源のように思える.
IV. クレジット
作曲・執筆: kyoka (@kyoka20011218)
動画編集・浄書: Noah
見出し画像: フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
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