グローバリズム=新自由主義という誤った認識が広まった日本の不幸ーパラダイムシフト時代対応に足かせ
さて、私が管理するFacebook グループ"New Paradigm casting - The future of entertainment" ですが今まで映画や音楽といったコンテンツ制作のグローバル化について論じてきました。
その「グローバル化」について論じているうちに私自身がかなり誤解されている印象を持ちました。というのも日本ではグローバリズムを論じる際にどうしてもグローバリズム=新自由主義という観点から私が新自由主義者であるかのような印象を持たれているという点です。
確かに日本で発売されているグローバリズム関係の本の殆どが新自由主義とグローバリズムを同義語として用いているケースが多いです。
しかしそれは大きな誤りである、と申し上げておきましょう
そもそもグローバリズムと新自由主義は全く無関係のはずで両者は全く別のものであります。しかし日本だけでなく全世界でそうですがいつのまにかこの2つは殆どセットとなってしまっていて、いつのまにかグローバリズム=新自由主義というイメージができあがり、ネットでもかなり拡散されています。
それは日本にとっては大変不幸なことと言わざるを得ません。
これというのもグローバリズムを初めて論じた人間が政府の経済諮問会を事実上仕切っている経済学者のT氏(あえて名指しはしません)でこのひとはある意味筋金入りの新自由主義者といっていい人物だからです。いや、本人は自分が新自由主義者であることを否定していますが、政策において弱者切り捨てを事実上容認するような政策、弱肉強食を寧ろ奨励するような政策はやはりフリードマン経済学的(新自由主義のバイブルといわれる経済学)と言わざるを得ません。時々T氏のコメントとか動画でみても社会的弱者を軽蔑しているようなニュアンスを感じ、私自身もとても不愉快な気分になります。
だが繰り返し書きますが、世界がグローバルになることと、弱者切り捨てを正当化する新自由主義は本来無関係で別のものです。その両者が殆ど同義語になってしまったのは、ただでさえムラ社会的な志向がある日本人にとって実に不幸であり、とりわけ国境関係なくコンテンツが配信され制作されることが当たり前になっている昨今ではパラダイムシフトの折の対応の足枷になってしまいます。
詳しい話は私のブログ記事に書いてありますのでよろしければお読みください。
■映画、音楽の分野でのグローバリズムについて
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2017/04/post-589d.html
フリードマン経済学は本場のアメリカでももはや時代遅れの経済学として扱われており、ある日本のエコノミストが「自分はフリードマン経済学を研究している」と自慢気に海外でいったらバカにされたという話も伝え聞いています。
ではグローバリズムと新自由主義で何が違うのか、わかりやすく表にしてみます。
ここでポイントはグローバリズムは確かに世界中の人との競争がありますが、弱者切り捨てではなく誰でも機会均等にしかも何度でもチャンスが与えられる点です。
例えば小泉新自由主義の時は弱肉強食であったと同時に既得権益層は事実上温存され、下層にいる人たちが新たなチャンスに恵まれる、というケースが少なかったと思います。その時にグローバリズムなどという言葉があふれましたが、それは真のグローバリズムではありません
行き過ぎた新自由主義のグローバリズムは結果として投資関係や大企業のように「持てるもの」に恩恵が集中し、「持たざる者」には大した恩恵をもたらしませんでした。新自由主義で根本的に欠けている観点は「誰にでもチャンスが訪れるー機会が均等に訪れる」という点でしょう。
つまり本来グローバルで自由な社会のはずが必ずしも「誰でも機会均等に富を追求するシステムではなかった」という点を抑えなければなりません。だからこそ格差が生じたのであり、貧民層を中心にグローバリズム=自分たちを不幸にするシステム、というイメージが広がり、トランプのような人種差別主義者の大統領就任を始め、イギリスのEU離脱、そして欧米各地で極右政党が台頭する結果をもたらしました。
そして昨今のアメリカをみてもそこの部分が解決されているように見えません。しかし少なくともエンタテインメントの世界は違う方向に今動いています。
新しい映画や音楽の世界のグローバリズムは特定の人間のみが潤うシステムではなく、誰にでも均等にチャンスが訪れ、誰でも均等に成功者になるチャンスが訪れるようなものでなければなりません。
そしてFacebook グループ"New Paradigm casting - The future of entertainment" はその真の意味でのグローバリズムを目指します
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