見出し画像

ハリウッド SAG-AFTRAのストライキの原因はAIの役者の酷い扱いが原因。大至急全世界でAIの「元ネタ」の権利処理についての合意を形成すべき

もうだいぶ前の話になりますが、皆さんご存知のとおりアメリカ俳優協会(SAG-AFTRA)が全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)と今月の12日からストライキに入りました。期間は10月末までの予定となっていますが、そもそも6月末に前回のアグリーメントを12日間期間延長する際には、ストライキは回避できそうな雰囲気がありました。
それがなぜ急に決裂したのか?
正直懸案のストリーミングのインセンテイブやギャランテイその他の昇給ではほぼ合意されていたにも関わらず最終日の前日の段階で急に降ってわいたように出てきた「提案」が原因でした。

つまり交渉の場を根底から覆すような提案が会社側(ground breaking proposal)からあったためです。それはAIに関して以下のような提案があったためです。

役者の顔と声をAIにスキャンさせ
「一日だけの報酬のみでAIで全身をスキャン、それ以降は一切本人に対する支払いや補償もなく永久に映画会社は使えるようにする」

という提案をそれも交渉終了の土壇場に出してきた、ということらしいです。

正直私も耳を疑う提案で交渉がまとまりそうな感じだったのになぜ土壇場でこのような提案をしようとしたのか、いささかドサクサにまぎれて決めてしまおうという魂胆があったのではないか、という風にも思われます。

正直これではSAG-AFTRAのフラン・ドレッシャー委員長が怒るのも無理がない内容で、このような提案を当たり前のようにしてくるスタジオ側の発想は人を人として見ていない、肖像権等の知財を尊重する姿勢が微塵もないと思われても仕方ありません。

ただでさえ、AIは「クリエイターの仕事を奪う」とかAIで役者やモデルの仕事がなくなる、といった言質が独り歩きしているわけですが、ここで冷静になってAIの能力を冷静に分析しますと、前の記事にも書いてありましたが、

1.常識的な判断をすること

2.絶えず学び、その場で適応すること *

3.原因と結果を理解すること

4 倫理的な推論をすること

具体的には同じ作業の繰り返しをする、単純作業で成り立つ内容の仕事にむいているといわれてます。データの処理能力は膨大、かつ迅速でありデータ処理に関しては人間はほぼAIにはかないません。だが注目してほしいのは2の「絶えず学びその場で適応する事」
AIは確かに下記のようなこの世に存在しない美女やイラストを描くことができます。


AIによって描かれた画像

しかしこれらの画像データは「元ネタ」と呼ばれる画像、もしくは画像の一部があって、AIはただそれらの組み合わせを演算処理で生成しているのにすぎません

つまりAI は

元ネタがないとAIは何もできない

 という点を抑えておかねばなりません
そしてその元ネタには必ず肖像権、著作権、等の知財の権利が紐づけされているし、されていなければならない、
という点です。

先ほどのSAG-AFTRAのスタジオ側の要求はAIによる元ネタの違法使用を認めよ、と言っているのに等しくこれはあまりに酷い内容と言わざるを得ません。

ただ今の段階ですと資金と政治力のあるところが知財の権利を無視して暴走行為を行う可能性は決して小さくありません。欧米はともかく欧米と対立している中国、ロシア、といった国が取り決めを行う前に好ましからざる形で知財を無視した行為を行う可能性も否定できません。

その意味でも国関係なく全世界で以下の取り決めを急ぐべきだと思います。

AIを使用する際の規定

1.元ネタがなにかを必ず登録する
AIにコンテンツを覚えさせる時に「何を覚えさせたか」を必ず記録し、明示すること。そして覚えさせた知財の権利所有者ー肖像権か著作権等を必ず確認する

2.コンテンツ生成の際、元ネタに関するロイヤルテイ支払いのシステム構築
方法はいろいろあるでしょうが、1つの例として欧米が行っている肖像権の「チェーンオブタイトル」のようなロイヤルテイ支払い方法が考えられます。いずれにせよ元ネタの作者、所有者が何らかの形で支払いを受けることが重要です。

3.不正防止のため生成物を第三者が確認する
日本では決して数が多くありませんがエンタテインメントロイヤー等の第三者の監視により知財がきちんとロイヤルテイ処理がされているかを確認する必要があります

この規定を全世界的に早急に決定させる必要があります。これを早急に提言したいです。

噂レベルですが、某映画スタジオはクリエイターも役者も一切使わずにAIだけで映画を作ること画策しているという話を聞きます。また私の知り合いの音楽デイレクターもAIで「売れるデータ」を集積させたうえで作詞作曲、歌まで歌わせて「大ヒット曲を作って見せる」などと息巻いている人間がいます。だがその前に「元ネタ」に関する権利処理がきちんと処理されないと知財を違法に使用した、ということになりかねません。
(尚、私見ではそれで曲はできるだろうけどそれが実際に「売れるか」はまた別の話だと思います。音楽マーケットなんてそんな単純なものではありません)

法整備も必要かもしれません。著作権法も肖像権もそもそもAIの存在など想定していないからです。
世界的な規定と合意を作る必要があります。それも早急に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?