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「意味のある〈関係性〉」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』


「意味のある〈関係性〉」 【いみのあるかんけいせい】

 「特定の存在が“他者”として現前するのは、それが“自己”に対して意味を持って区別されたときである。そして“意味がある”ということは、そこに何らかの〈関係性〉が成立しているということに他ならない。つまり「現存する顔見知りの人間」にはじまり、浜辺の小石のような「無生物」に至るまで、あらゆる存在は、自己に対して「意味のある〈関係性〉」を成立させ、それによって“他者”となるのである。」 

上巻 207-208

 差異性や異質性を含んだ「意のままにならない存在」として語りかけてくる〈他者存在〉に対して、人格的主体としての私が、応答を通じて何らかの意味を見いだした〈関係性〉のこと。

 例えば「私」は、亡き「祖父」と対峙することによって、自身の人生をも顧みることができるが、「祖父」の人生のなかには、「私」が望まない過去があるかもしれないし、「私」にはその不本意な事実を消すことなどできない。しかしそうした側面が含まれているからこそ、「私」と「祖父」の〈関係性〉には、重厚な意味が形作られると言える。

 〈社会的装置〉に依存する「〈ユーザー〉としての生」が拡大すると、人々は自身にとって都合の良い「意のままになる他者」とのみ関わりたいと願うようになるが、「意味のある〈関係性〉」が成立するのは、相手が「意のままにならない他者」だからであるため、結果として〈自己存在〉は揺らぐことになる。

上柿崇英『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版、2021年)

 このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。

 (現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。

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