「〈ユーザー〉の倫理」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「〈ユーザー〉の倫理」 【ゆーざーのりんり】
「〈生〉の三契機」の実現を〈社会的装置〉への委託によって成立させる「〈ユーザー〉としての生」が拡大した現代社会において支配的になる倫理の枠組みであり、そこでは「自己実現」が人生における至上の価値とされ、それを頂点とする形で「学校教育」は「経済活動」の手段、「経済活動」は「自己実現」のための手段といった具合に価値が再編される。
こうした社会では、「コミュニケーション能力」を含む、こうした価値を具現化する際に有利となる特定の能力や指標のみが突出するため、そうした能力に適性がある人々にとっては「自己実現」のための機会と場が限りなく与えられた世界として認知されるが、そうした価値や能力に適性が低い人々や適応できない人々は、自己肯定ができなくなる。
このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。