
「ウィンドウズの比喩」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「ウィンドウズの比喩」 【うぃんどうずのひゆ】
「ひとつは、そこではそもそも〈関係性〉自体が成立していないというものである。実際、われわれは日々数10人から数100人という人間と物理空間上は接触していながら、その大半は、あたかも互いに“並行世界の住人”――あるいはPCのデスクトップ画面上に重なる形で表示されていながら、内実は異なるタスクによって完全に分断された個々の「ウインドウ」――であるかのようにさえ見える。言うなれば、ここには〈間柄〉もなければ、「〈我‐汝〉の構造」もないのである。」
〈社会的装置〉に依存する「〈ユーザー〉としての生」が発達した社会において、〈社会的装置〉の文脈を伴わない人々の接触が存在論的には意味をなさないものとなること、物理的には接触していても、そこには〈関係性〉自体が成立していないことを、マルチタスクのOSであるWindowsを引き合いに揶揄したもの。

このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。