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「生きた地平」(に立つ)とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』


「生きた地平」(に立つ) 【いきたちへい】

 「〈存在の連なり〉のもとで掌握された過去には、現実と対峙していくわれわれを励まし、勇気づける力があるだろう。そこにあるのは、われわれが立ち返ることができる“意味の源泉”としての潜在力である。つまりわれわれが現実と向き合う際、こうした無数の「意味のある過去」をそのための足場として定めること、それがここで言う「生きた地平」に立つということなのである。」 

下巻 14

 われわれが自らの置かれた現実と対峙する際、その現実をさまざまな「意味のある過去」が連なって形作られた地平として捉え、またその現実に挑む〈自己存在〉を、さまざまな「場の連続性」や「〈生〉の連続性」を負いながら、その地平に立つ者として理解すること。

 人間存在にとって、時空間的に孤立した自己として向き合うには、現実はあまりに悲哀や残酷に満ちている。しかし目の前の現実をこうした〈存在の連なり〉のもとで理解することによって、過去は単なる事実としての過去ではなく、自身が現実と向き合う“意味の源泉”としての潜在力を持つようになり、現実と対峙していくわれわれを励まし、勇気づけてくれるものとなる。

上柿崇英『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版、2021年)

 このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。

 (現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。

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